アットウィキロゴ
君の笑顔





最近、真名のうなり声が妙にきこえてくる…。



ときたまにみるその表情は、どこか寂しげにみえる…。



彼女の疲れを癒してあげたい…



そう想っていた―




「真名ー♪年齢詐称薬を手に入れたから、飲んで欲しいでござる」



 …年齢詐称薬?どういうことだ?普通の人間には手に入らないはずなんだが…



「細かい事は気にしちゃダメでござるよ?」



こ、こいつ…人の心が読めるのか?



なんてことを考えてるうちに私は無意識に詐称薬を口の中にいれていた。



   ボン!!



一気に小さくなる私の身体。昔の服に着替えてるうちに楓もいつの間にか小さくなっていた。



「さぁ、行くでござるよ♪」



「お…おい、何処に行く気だ?わっ!そんなにつよく…!」



楓は私の手をとり、そのまま寮の外へ飛び出していった…。





外の様子を見ていた桜子、釘宮、柿崎が軽くうろたえる。



「ねぇ…。今外を出て行った小学生達、誰だろ…?」



「さぁ?でもよく考えると、ここって中等部用の寮よねぇ…?」



「うにゃははは。細かい事は気にしなくていーと思うよ♪
迷っちゃっただけかもしんないじゃん?」



のんびり言う桜子に対し、釘宮、柿崎は「そーか?」と首をかしげた。





そこは映画館。幼女姿の楓と真名は、堂々と中へはいっていく。



楓と真名には妙なトラウマがあった。



…いつもいつも大人料金を請求される。



おばちゃんに「中学生だ!!」と訴えても、全く信じようとしない。



…今日も大人料金だろうな…



真名のそんな不安を、楓はやすやすと打ち破ってみせた。



「小学生2枚でござる♪」



「かっ…楓!?」



「大丈夫でござる。真名。」



なんとその日は珍しく子供料金で入場できた…。



楓が妙にニコニコしている。



子供料金で嬉しかったのだろうか。



まぁ、年齢詐称薬のおかげで小さくなったからだろうからな…。




…楓の無邪気な笑顔。心から嬉しそうな顔をしている。



なんの邪もない、子供のような、笑顔。



私もその楓の笑顔につられ、つい笑みが零れた。



-楓もまだまだ子供なんだよな…。まぁ、わたしもだが。




いつもと違う映画鑑賞をたっぷり堪能したあと、真名の部屋へ帰り、楓はただの映画に対してとても満足そうに「面白かったでござるなー♪」と私に言ってきた。



これじゃあ普通だったとは言えまい。楓の期待を裏切らないように、笑顔で返答した。



すると、楓が安心したように



「やっと笑ってくれたでござるな…」



と、優しい眼で私をみつめた。



「…え?」



私の口から漏れた、間抜けたひとこと。



「刹那から聞いてるでござる。…真名、最近うなされているのでござろう?それに、最近笑わなくなってたでござる。」



楓の優しくて、まっすぐな瞳は私を映していた。



その優しい雰囲気に包まれて、ついに私は今まで溜め込んでいた感情を外へ全てさらけだした。



「うっ…ぐぅ…ふあぁぁん…ふあぁーん!!」



真名の三白眼から…涙が溢れでた。



楓は真名をそっと抱き寄せる。



楓の胸の中、涙を流す真名。



その涙が楓の服を濡らしていく。



でも、その涙は、冷徹な一仕事人が流すような冷たい涙ではなく、



普通の女子中学生の、あたたかい、涙だった…。




「真名、落ち着いたでござるか…?」



優しく楓が聞き返す。



さすがにずっと楓の胸に顔をうずめているのは相手に悪いとおもい、軽くつくり笑いして大丈夫だと返した。



しかし楓にはごまかせなかった。



私の顔を強引に押し込んでいく。



「ふっ、ふがもが!?」



「無駄なごまかしはやめるでござるよ。…遠慮は無用でござる。むしろ、どんどん頼って欲しい…。仲間でござろう」



「…仲間…」



「真名は、大事な仲間。親友なんてレベルではないでござる。…それ以上だ。」



優しく、真名の頭を撫でる。



「真名のために…真名が元気になるためなら、拙者は、なんでもするでござる。…それだけだ。」



…楓の優しさが、じんわり心に沁みた。涙があふれでる。



「…すまない。ありがとう、楓…」



「あいあい♪」







楓は、冷徹な仕事人の私に、とても大切なコトバを教えてくれた。



…仲間。



もう、まよわない。



そのコトバを信じ、私はこの道を歩いていく。



…大切な仲間



「楓」と、一緒に…。
最終更新:2009年03月22日 01:14