いぬみみ。
「…まいったでござるなぁ…。」
今日は久しぶりに買い物に来ていた。
その時ふとあるお店によってしまい、何の目的もないのに商品をぶらぶら見て回っているうちに、
とあるものを見つけてしまった。
別に欲しかったわけではないのに、不思議と何かに惹かれるようにその「あるもの」を手に取り、会計を済ませてしまった。
そして、買った直後になって、楓は悩んでいたのだ。
「別に拙者は欲しいと思わなかったでござる…。」
寮に戻り、「あるもの」をつけてみる。そのまま鏡の前に立ってみる。
「ん~、風香殿史伽殿のほうが似合う気がするでござる。」
二人にプレゼントしてみようか、とも考えたが、ひとつしかない分、取り合い、喧嘩してしまう可能性もある。
本当にどうしようか、そう思っていた。
「…そうでござる♪」
しばらくして、楓はいい方法を思いついたのか、かすかにニヤリと笑った。
「真名ー、いるでござるかー?」
インターホンを押して真名を呼ぶ楓。右手には紙袋を提げていた。
中には先程の「あるもの」が入っている。
真名が、部屋から1人で出てくる。どうやら刹那は居なさそうだ。
「どうかしたのか、楓?」
なにか心配そうな表情で楓を見つめている真名。
「ちょっと話が在るゆえ、お邪魔してもいいでござるか?」
真名はなんの疑いの様子も見せず、楓を自室に招いた。
「…で、話とは何だ、楓。」
真剣な眼差しで楓に問いを投げかける真名。
そんな張り詰めているような空気を簡単に無視し、紙袋に手を突っ込んで、
中の「あるもの」を取り出した。
「あるもの」=「いぬみみのカチューシャ」である。
それを見た真名は驚愕の声を上げる。
「かっ、楓!!?お前、いつの間にそんなもの…!!!」
「まぁまぁ真名、見ているでござる♪」
カチューシャをつけて、変化の印を組む。
「ドロン♪」
そして、真名の目の前では、幼女と化した楓が居た。
いぬみみのカチューシャをつけて。
『真名は確か仔犬が好きでござる♪これで真名を焦らせるでござるよ☆』
楓の行動は、極めてちっちゃな悪戯心だった。
しかし、今は服はぶかぶかで、ただのTシャツをばふっと被っているような状態。
しかもいつもと違う、ちっちゃい楓。
それに、真名は楓が好き。
それに、いぬみみ。
ブフゥゥゥゥゥ――――――――――――――――――――――――!!!!!!
楓が見たのは、血を大量に(鼻から)流している真名の姿だった。
「まっ、真名!!?」
楓が駆け寄り、
「たっ、龍宮!!?」
そして、ちょうど刹那も帰ってきてた。
その時の刹那の目にこの光景はどう映っていたのだろうか。
鼻血を大量に流す真名。
幼女犬耳Tシャツぶかぶかの楓。
しかも、今にも脱げそう。
「……おい、楓、龍宮…、」
しばし間をおいて、
「人の部屋で何やってんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――!!!!」
大声で叫んだ。
そして、クラスメイツが「何々?」とぞろぞろと集まってくる
この後目が覚めた真名が楓をすごい剣幕で怒ったコトはこれまた別のお話。
おわる。
最終更新:2009年05月28日 22:45