オープニングフェイズ1「奈落の魔犬」 シーンPC:月居天音
時は、わずかに遡る。
GM:描写です。 シーンの雰囲気説明のことで、シーンの最初にちょっと入る場合が多いです。
……と、シーン制の説明も必要ですね。
F.E.A.R.のTRPGでは、映画の場面切り替えのように、ゲーム中の場面ごとにシーンで区切ってプレイします。
シーンにはシーンPCが設定され、そのPCを中心に場面が展開する……と、まさに映画か芝居のイメージで捉えてもらえればわかりやすいですね。
時は、わずかに遡る。
とある町の路地裏。
天音は奈落の魔獣クウエルスに羽交い絞めにされている真っ最中だ。
敵の本来の姿は、身の丈3mは超える巨大な獣だが、今はスーツ姿のサラリーマンに寄生している。
GM/クウエルス:「ふん、月居天音か。 貴様は本当にしつこいな」
天音:「あんたを倒すまで喰らいつくんだから……っ、うー、離せバカぁっ!」(じたばた)
GM/クウエルス:「ふ……今は動けまい。 下手なことをすれば、この人間が死ぬかもなあ?」
寄生している相手は一般人なので、クエスターパワーで暴れたらまあ、普通に死ぬんですね。
天音:「っ、……ほんとイヤなヤツ」とりあえずじたばたしてるのはやめます。
GM:動きを止めた君を見て、奴が笑ったような気がした。
「少しばかりツメが甘かったな、さらばだ!」
その言葉とともに、羽交い絞めにされていた腕から力が抜けていく。 合わせて、獣の気配もかき消えた。
天音:「……絶対次は倒すんだから!」と気配の去った方向を睨みつつ。
「じゃないと、いつまで経っても、記憶なんて戻んないじゃない……」
GM:その場には君と、意識を失った一般人だけが残された。
その君の携帯に、連絡が入る。
GM/ラオ:『もしもし。 どうも、また逃げられたみたいアルネー』
GM:あ、適当にコネクションから人選したんで、場合によっては人変えてもいいんですけどね。
あとラオは多分こんなキャラじゃない。
天音:「ラオさーん。 ごめんね、逃げられちゃった……でも、次は絶対仕留めるからね。 まっかせて!」
GM/ラオ:「しょうがないアルネー。 あの手の寄生系はどうしてもネー。 でもうっとうしいから早めに仕留めてほしいアル」
天音:「うん、がんばるね! 大船に乗ったつもりで待っててくださぁい」
GM/ラオ:「さすがプロアルネー。 また情報伝え……」
天音:で、電話をぴっと切ります……おっと(笑)
GM:ファッ!?……まあ自分で探り当てた、でもいいんだが。
ラオと協力した結果、しばらくして七瀬市という街にクウエルスの気配を察知し、君はそこに向かうことになった。
天音:はーい。
GM:で、「クエスト:クウエルスを追う」を渡してシーンエンド。
このクエストは、シナリオで達成すべき目的ですね。
天音:オープニングの舞台は七瀬市ではないのですね。
GM:うん、なので「本編数日前」のような言い方にしてたわけだ。
天音のモチベーションは、クウエルスを追って仕留めたい、ということです。
いやまあ、乗り気じゃなくてもいいんだが(笑)
天音:やつざきにしちゃうよー。
源一郎:あれ、意外とこのアイドル好戦的。
GM:そういやそうだな。 プリプレイでは言うほどやる気なさそうだったんだが……(笑)
天音:記憶を取り戻すためにはクエスターのお仕事をやらないといけない、と思ってるので。
オープニングフェイズ2「クエスター覚醒」 シーンPC:曲尾智
その日、智は幼馴染でクラスメイトでもある少女、三上葉子と下校していた。
GM:わかりやすい!青春!
天音:あまずっぺーですね!
智:いいなぁ。
昔なら……部活に必死に打ち込んでいたころのキミなら、こういう事はなかったかもしれない。
しかし、今のキミにとってこれが嬉しいか、というと微妙な状態かもしれない。
GM:「あ~、ようやく今週も終わったね~。 今日は宿題多目に出たから、ちょっと憂鬱だよ!」
などと葉子が明るく話しかけてくる。 うん、冷静に考えると話題はダウナーだった。
智:「ほんとな~。 まあ、適当におわそうよ」
GM/葉子:「毎日毎日勉強に追われて……あたしたちの青春よいずこー!って、気分滅入ることばっかじゃしょうがないよね。
ねえ智、日曜日は空いてる?」
智:「もちろん空いてるよ。 さあ、我らの青春と取り返すとしますか」
GM/葉子:「よっし!先週から始まった映画見に行こうと思ってるんだけど、よかったら一緒に行かない?」
智:「いいね、俺も見たかったんだ。 午後からでどうよ?」
GM:葉子は、満面の笑顔で頷く。 しかし――
その時、智たちを何かの影が覆った。
「ふむ、活きのよい子供が2匹か……」
おどろおどろしい声が、脳裏に直接響く。
智:「なんだ、頭にっ」
GM・葉子:「な、なに!?犬の化け物!?」
GM:君たちが見上げる獣の顔が、大きく歪む。 どうやら、笑っているのだ。
「その恐怖に引きつった瞳、たまらぬな。 ちょうど新しい身体が欲しかったところだ。
貴様の身体を貰い受けることにしよう」
GM:葉子に覆い被さる、黒い影――。
智:「!? 危ない!」
GM:智が庇おうとして前に出た、瞬間。
「邪魔だ、小僧」
無造作に獣が振るった爪が、その身体を引き裂く。
智:「がっっっ!!」
GM:君の意識は、瞬時に途絶えて。
「いや……っ!? 智ぉぉっ!」
葉子の悲鳴が、耳に響いた――。
・ ・ ・
GM:というところで、シーン内で場面転換します。
意識を失ったはずの君は、気づくと真っ暗な空間に浮かんでいる。
智:「……ここは?」
GM:「智! 闇に囚われてはいけません! 目を開いて!」
優しくも力強い声が響く。
智:「俺を呼ぶ声……? だれだ?」
GM/ガイア:「私はガイア。 この世界を守護する者です。
どうか私の話を聞いてください。 あなたを襲った怪物――奈落についての話を――」
智:「葉子は……葉子はどうなったんですか?」
GM/ガイア:「彼女は、まだ無事です。 しかし今にも奈落に心身を取り込まれそうになっているのです。
この世界は奈落という邪悪に狙われています。 奈落はあらゆる事象を無に返す恐るべき存在、世界の敵です」
智:「奈落……世界の敵……」
GM/ガイア:「ですが、奈落に対抗する者もまた存在します。
“救済者(セイヴァー)”となる可能性を秘めた、神々の欠片(シャード)に選ばれた戦士――クエスターが。
智。 あなたは、大切な人を守るために、戦う覚悟がありますか?」
智:「その、クエスターになれば、葉子を助けられるんですね?」
GM/ガイア:「今ならば、助けられます。 だから、受け取ってください。 私のシャードを――」
闇の中に、大いなる輝きを秘めた石が浮かび上がる。 その輝きが、空間を埋めていく。
智:「わかりました。 ……これがシャード!」
GM:シャードが君の手に収まると同時に、光もまた君に宿り、世界を満たす輝きとなる。
「その力で、あなたの大切な人を、世界を救って――」
次の瞬間、君は元の場所に戻っている。 その手にはシャードを握った状態で……シャードの位置、どこだっけ?
智:防具になってるけど、服になりますかね?
GM:その場合、防具にはめ込まれてるイメージだね。 とりあえず胸元にシャードが付いているというイメージで。
致命傷だったはずの傷もなく、立っている。
智:おお、癒された。
GM:シャードの加護だね。 神々の力だ。
智:「急いで葉子を追わなければ!」
GM:うむ。 葉子の姿は無い……どこに行ったのか、その形跡を示す物もなにもない。
というわけで、クエスト:「葉子を救う」を与えよう。
智:了解っす。
GM:ではシーンエンド。
源一郎:……このシーンみたいなやりとりを見ると、ダマされてるダマされてる と思うんだよな。
「代償:世界の敵と戦い続けなければならない」
マヤー:ブギー○ップみたいですね。
GM:今すぐ僕と契約するんだ!
俺のBGMがま○かマギカになってるのはそのせい……いや、ナンデもない。
オープニングフェイズ3「黒い石が運ぶ災厄」 シーンPC:知花マヤー
誰もが寝静まる深夜。 マヤーは七瀬市を巡回している。
最近、奈落に汚染された人間が暴れる事件が多発しているためだ。
マヤー:「サラリーマンは足で稼ぐっっす!」
GM:で、そんなパトロールの途中に、路地裏でうずくまっている人影を見つけました。
マヤー:「な!大丈夫っすか?」と駆け寄ります。
GM:うむ。 近づいたキミに対し、その男……背広着たサラリーマン風の、普通のおじさんのはずなんだが。
うつろな表情の中に、殺意を込めた視線だけがぎらぎらとマヤーを貫く。
マヤー:「殺意のおじさん!? やばいっす」
GM:「ガァァァァ!」と雄たけびを挙げると、両手を振り上げてキミに襲いかかる!
エキストラなんで適当に料理してください。
マヤー:「うひゃー!」って叫びながら銃把で首の後ろを殴る。
GM:ほいほい。 それで相手は昏倒します。
マヤー:「やばいっす。 反射的にやっちまったです」様子を伺う。
GM:倒れた拍子に、相手の胸元から、いかにもあやしい黒い石のペンダントがこぼれ落ちます。
マヤー:「つい訓練での反射が……なんすか? これ? とりあえず拾うっすか」
GM:キミがそのペンダントを拾って見ると、黒い石からは明らかな奈落の気配を感じる。
マヤー:「これは奈落のものっすか、携帯で写真もっておくっす。 上司に報告っす」
GM:ほいほい
マヤー:「きな臭いというかやばいっす」
GM:「クエスト:“黒い石”を調査する」を渡して、シーンエンド。
マヤー:ほい。
GM:ここ最近、こんな事件ががちょいちょい続いたのでマヤーも巡回して原因を探している、というイメージでお願いします。
オープニングフェイズ4「忍び寄る闇の気配」 シーンPC:往来司源一郎
GM:で、次は源一郎のシーン。
源一郎:「依頼か」
GM:フォーチュンサービス七瀬市支店の店長室……ってはええよ!(笑)
源一郎:「わざわざ自分を呼び出す、ということは依頼だろう? まさか世間話をしに呼んだわけでもないだろう」
GM/古凛:「いやまあそうなんですが、こちらも演出の都合というやつがですね」
店長である灰原古凛の呼び出しを受けて、ここにやってきたというシーンです。
源一郎:ガチャリと扉をあけた途端に「依頼か」と聞いたイメージかな。
GM:それなら辻褄は別に合わなくはない。 「OK、わかった。 問題はない。 だから仕事の話をしましょう」
源一郎:「詳しい話を聞かせてもらえますかね(電子煙草ぷかー)」
GM/古凛:「実は、ここ一週間で奈落に汚染された人間が多数発見されまして。 その原因を調査してもらいたいんです。
で、手がかりですが」
と、テーブルに敷かれた布の上に、黒い石のペンダントがひとつ。
「被害者がみんな、これを持ってたらしいんですよ」
源一郎:「(顔をしかめて)いやな感じがするブツだな。 汚染……スペクター、いや違うな。 騎士か使徒でも出たか」
GM/古凛:「ダークレイスの気配が検知されたそうですが……」
源一郎:特に今は魔法的なものは何も感じない、でいい?
GM:今はまあ、ただの石だな。 奈落の気配も……いや、かすかな痕跡はあるかもしれんが。
源一郎:では石を手にとって。
「ふ、ん。 これをばらまいているヤツを見つけろというのが依頼でいいのか」
GM/古凛:「どうも『これを持ってると幸せになれる』って噂になってる代物らしいんですが、出所がわからないんですよね。
ですから、まずはその線でお願いします」
「クエスト:古凛の依頼を果たす」を配布。
源一郎:「了解、ま、依頼料はいつもの口座にお願いしますよと」
GM:ほい。 そう言って源一郎が背を向けてシーンエンドでいいかな。
源一郎:はい。
GM:で、オープニングフェイズ終了でーす。こ こからミドルフェイズ、本編の展開部分に入ります。
天音:はーい。
マヤー:ういっす。
GM:オープニングフェイズとの違いは単純で、ここからは積極的に他PCに絡んでいきましょう。場合によっては戦闘もあります!
智:はいなー。
GM:登場判定を行えば他PCのシーンにも出られますからね。
最終更新:2015年02月26日 16:54