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男が記憶喪失になったようです17」を以下のとおり復元します。
登場ジャンルより表記一例 

男の父親=父親 
新ジャンル「こっくり」=狐 
新ジャンル「猫雪女」=猫雪 
新ジャンル「火銀燈」=火銀 
新ジャンル「居座り女騎士」=騎士 
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狐 「あ! そういや今日は男はんのお父上が帰国するそうで、2~3日くらいらしいけど」 

猫雪「んお? あのオッサン帰ってくるんがいね?」 

火銀「あ!! お、男の事何て言ったらいいのかしらぁ……どうする?」 

騎士「ん? それなら私があのデンチュウを倒したではないか、問題無いだろう 
   それに合わせて記憶も戻っているだろう、うん。で、ご飯はまだなのか?」 

狐 「……あんさんは少し黙っとき。そやねぇ、まあ嘘付くのも無理があるさかいなぁ」 

猫雪「でもいきなり猫雪たちが言うのもアレだぎゃにゃあ……どにゃいする?」 

火銀「お、おお! だよな、だよなぁ!」 

騎士「いや、だから……とりあえずご飯はまだかと言ってるんだが、さっきから」 

狐 「もう! あんさんそないお腹減らしてるんやったら庭の草でも毟って口に運んどき!」 

猫雪「そうだがね! 今は男の一大事をどうやって誤魔化すか皆で考え――」 

がちゃ 

父親「は~いエブリバディ、愛しいパパのお帰りだよ~……ってどしたの? 部屋真っ暗で」 

狐 「……」 
猫雪「……」 
火銀「……」 
騎士 ←凹み 

父親「どうしたんだいロウソクを皆見つめちゃって……誰かのお通夜? それとも儀式?」 

狐 「ささ♪ お父上様、くいっと一献♪」 

父親「おっとと。いやぁ、まさか騎士君が電柱を叩き切るとはねぇ……どうりでこの辺一体停電な訳だ 
   で、当の本人は庭で何をやってるんだい? その、地面を指でほじっちゃってるんだが」 

火銀「へ、うへへへ、何かね蟻んこ潰して新世界の神ごっこだとかなんだとか……その」 

父親「……そりゃだいぶ歪んだ趣味だねぇ、って彼女そんな子だったかなぁ」 

猫雪「お、オヤジぃ♪ 久々にぬっこぬこするがいねぇ~うにうにぃ~♪」 

父親「ハハハ、ただいま猫雪。それにしても少し体温低くない? 少し凍えそうなんだけど」 

猫雪「そ、そにゃんことはにゃくってよほほほ」 

父親「す、少し寒くない? おじさんちょっと、あの……鼻水が……ブフォッ! な、何だいこの酒!?」 

狐 「いややわぁ、寒い寒い言いはるよって少し強めのお酒をご用意しましたわぁ、ささぐいっと」 

父親「そ、そうかい? まあ何時もの江守徹じゃなくて高島礼子の顔にしてくれるとは 
   実に良いサービスだねぇ、おっとっと……で、これ何のお酒? ウチにこんな酒あったかなぁ」 

狐 「ウチがこっそり晩酌用に買込んでおいた、泡盛『どなん』ですえ、ささもっともっと」 

火銀「これウメェのか? くんかくん……くせぇっ! これくせぇっ!」 

父親「ぶおおぉぉっ! は、鼻の中が燃えッ……! 火がッ! がっががが」 

騎士「って庭の草なんか食えるかーーーー!!!!」 

猫雪「やかまにゃあて! 男が記憶喪失になっちょるの誤魔化……あ」 

男 「くっ……ああぁ~っ、眠たぁ……」 

ツン「先生何の話で残るんだって? 男聞いてる?」 

男 「んにゃ、まあ昔世話になったらしいからのぅ、積もる話もあるんじゃろぅ」 

ツン「そう、それにしても不思議ねぇ」 

男 「んあ? 何がだよ」 

ツン「この付近の駅に関しては何も知識無いのに、駅の切符の買い方とかは問題無いんだもん」 

男 「……何かさ、こう言葉に出来ないんだけど。感覚ちゅうのか? それがこう」 

ツン「つらく、無いの?」 

男 「……」 

ツン「ゴメン。辛くない訳無いよね」 

男 「いや、その記憶が無いって所にその、あまり悲観的な感想が無くてだな」 

ツン「いいよ、無理しないで」 

男 「いや、何だろ……その、毎日が楽しいのは楽しいんだよなぁ、こう毎日が 
  騒がしくて、それでいて周りにはこう、個性的な面々が揃っててな。判るか?」 

ツン「……うん」 

男 「記憶失う前のオレは、新鮮味は無かっただろうけど、きっと幸せだったんじゃねぇの? 
  オレはその幸せと、毎日何があるか判らないスリリングというか……なんで家の前の電柱倒れてるんだ?」 

父親「お帰り、マイブラザー。我が弟よ」 

男 「オレ兄貴なんて居たのか?」 
ツン「ば、馬鹿ッ! お父さんよ! 男のお父さん!」 

父親「……どうやら本当に記憶喪失らしいな、こりゃ驚いた……相変わらずラブコメ体質だねぇ」 

ツン「お、オジサマお久しぶりです。すいません勝手にその」 

父親「いやぁ~相変わらず可愛いねぇツンちゃん。いや、相変わらずというのは失礼だったね…… 
   しばらく会わないうちにこれまた綺麗になったもんだ。昨日よりも、そして今日よりも明日の君が――」 

男 「これオレの父親か? どう見ても軽薄なオッサンなんだが……」 
ツン「あはは……軽薄なのは合ってるよね」 

父親「……人の話は最後まで聞こうよ」 

狐 「すいません、ウチが勝手に説明させてもらいました……ほんに堪忍です」 
男 「まあ説明する分には構わんわい、一応オレの父親らしいし」 

父親「それにしても停電で夕飯もまともに用意できないみたいだしここは」 

男 「なぁ、何で家中の電気が消されてるんだ? 何かあったのか?」 
猫雪「あん? あの騎士のねえちゃんがスコップで表の電柱叩き切ったがいね」 
ツン「ああ……説明しなかったんだ、こっくり」 
狐 「あ、あはは」 

父親「あのさぁ、真面目な話なんだけど」 

火銀「んお?」 

父親「電気も使えないことだし、今日のところは私の帰国のお祝いも兼ねて皆でぱーっと外食でもどうだい?」 

男 「外食かぁ、悪くないな」 

父親「もちろんツンちゃんの家族も呼んでさ、この辺一体停電みたいだし。どうだい?」 

ツン「さっすがオジサマ! 16年に一回はまともな事言うのね♪」 

父親「……ツンちゃん? 僕たち出会って16年なんだけど……」 

狐 「そうと決まれば少し見繕いの時間貰えますえ? ささ、猫雪ちゃんも火銀ちゃんも♪」 
猫雪「にょほー♪ 久々のお出かけがいねぇ、冷やし中華あるかいのう」 
騎士「男、記憶は戻らないのか? 私がデンチュウを倒して何か変わった所は無いのか?」 
男 「夕飯が豪勢になったくらいじゃのう、でも電柱倒すのはこれっきりにしてくれ……」 
ツン「私皆呼んでくるね! それじゃ30分後!」 

父親「あの、ちょっと」 

男 「なあ、ちょっといいかい?」 

父親「ん~? どうした、男」 

男 「オレは、その父親の事は何て呼んでたんだ?」 

父親「んぅ~。パパとかダディとかだよ、さあ呼んでごらん、パパァでもダッディでも」 

男 「うむ、判った、オヤジ」 

父親「ねぇ、感覚的に初対面なんだろうけど、その扱いは酷くない?」 

男 「あいつらおっせぇなあ、何分かかるんだよ」 

父親「女性というのは準備に時間がかかるものさ、待つのは男のマナーだよ」 

男 「その口元の髭がまたやらしい雰囲気溢れさせてるなぁ、オヤジ」 

父親「女性をやらしい雰囲気に酔わせるのはお手のものさ、何なら今度レッスンするかい?」 

男 「きっと記憶無くす前のオレはオヤジを反面教師にしてたんだな、オヤジ立派だな」 

父親「あれだけの女性に囲まれて、まったく。それにしても自分の息子が記憶喪失になるとはねぇ」 

男 「……母さん、居るんだよな」 

父親「ああ、母さんは居るぞ。元気だ」 

男 「そか、居るのは家の中見回って知ってたが……まあ色々な、聞きにくかったりするから」 

父親「悪い返事は聞きたくない言わせたくない、どっちなんだろうねぇ。ま、いいけど」 

男 「母さんにも言うのか?」 

父親「そうだな、少し様子を見てみるさ、でも一人だけ仲間外れにすると母さん怒るぞ」 

男 「ん、やっぱ心配かけさせちゃう、か?」 

父親「い~やぁ、彼女はここぞとばかりに楽しんじゃうタイプだねぇ~。母さんならきっと 
   何でこんな面白そうなイベント私だけ仲間外れにするのよぅ! てな感じで」 

男 「ど、どんな母親だよ」 

父親「まあどんな状態あれ、父親として彼女にとりあえず『息子は元気だったよ』と伝えられる事に感謝だよ」 

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