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新ジャンルコメディ・裏方さんと黒子さん - (2008/10/27 (月) 12:45:01) のソース

*裏方さんと黒子さん#1

裏「あれ、黒子さんじゃないっすか。何してるっすかそんな隅っこで?」 
黒『いえ、実は…』 
黒『私も裏方家業が長いものですから、広々したところより 
  せまいところの方が落ち着くんです』 
裏「あー、その気持ち分かるっすー」 
裏「自分も、ちょっと失礼していいっすか?」 
黒『ええ、どうぞ』 
裏「じゃ、お邪魔するっす!」 

むぎゅ 

裏「うー、このせまさがたまんないっすねー」 
黒『二人だとなおさらせまくていいですね』 

―――アハハハ 

女友「……あんたら、掃除用具入れの中で何してんの?」 

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*裏方さんと黒子さん#2

女友「あんたらさー、化粧とかしないの?」 
裏「自分っすか?」 
黒『私は全然しませんね……』 
女友「えーもったいなーい!二人ともすっごい可愛いのにぃ」 
女友「良ければだけど、私が化粧指南してあげよっか」 
裏「いやぁ…悪いっすけど、化粧なんか自分の柄じゃないっすよ」 
黒『右に同じく、ですね』 
裏「それに、自分たちが新ジャンルさんたちより綺麗に 
  なっちゃったら、申し訳ないじゃないっすか」 
黒『裏方は、陰に徹するからこそ美しいのです』 
女友「……」---キュン 
女友「……ちょちょ、二人ともカモン」 
裏「はえ?」 
黒『なんでしょう』 

ぎゅーっ 

裏「ほわっ!?」 
黒『な、何ですか!?』 
女友「あんたら、そんなこと言って私を萌えさせるんじゃない! 
   可愛いじゃないか、可愛いじゃないか!!」 

ぎゅぎゅぎゅーっ 

裏「くっ苦しいっす女友さん……」 
黒『愛で圧殺される……』 

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*裏方さんと黒子さん#3

裏「あぁ…幸せになりたいっす…」 
黒『どうかしたのですか?』 
裏「昨日新ジャンル『幸せ』さんの撮影があったんすけど、  あの二人はいつもほわほわしてて素敵なんすよねぇ」 
黒『私たちには一番縁遠い、普通の幸せってものですね』 
裏「……はぁ、裏方って辛いっすねぇ」 
黒『くさっては駄目です、きっと私たちの努力は報われます』 
黒『頑張りましょう、裏方さん。ファイトです!』 
裏「……そうっすね、頑張らなきゃ駄目っすよね!」 
黒『私たちは縁の下の力持ち、新ジャンルさんたちの 
  力になるのが我々の幸せです』 
裏「よーし、明日からも仕事頑張るっすよー!」 
黒『えいえい、おー!』 

女友(裏方さん、黒子さん……) 
女友(……あんたら、輝いてるよ!) 

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*裏方さんと黒子さん#4

裏「……はぁ」 
黒『鏡の前でため息とは、珍しいですね』 
裏「おっぱいが、おっきくならないっす……」 
黒『もう成長期でもないですし、それ以上は無理なのでは?』 
裏「そうっすねぇ、あんまりおっきくても仕事の邪魔っすからねぇ……」 
黒『私もあまり、大きい方ではないですよ?』 
裏「裏方家業の弊害ってやつなんすかねぇ……」 
女友「よっ、二人とも何しょぼくれてんの?」 
裏「………」ジーッ 
黒『………』ジーッ 
女友「な、何その注目度は…?」 
黒『女友さん…胸のカップ数はいくつですか?』 
女友「……Cだけど」 
裏「……はぁ」 
黒『……はぁ』 
女友「な、なんだお前ら。文句でもあんのか!」 

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*裏方さんと黒子さん#5

裏「今日はお祭りっすねー」 
黒『祭り囃子が小気味良いです』 
裏「さ、裏方の仕事頑張るっすよー!」 
黒『ですね、まずは何からしましょうか』 
女友「おーい、二人ともー」 
裏「あ、女友さん。浴衣似合ってるっすね」 
黒『何かご用ですか?』 
女友「何言ってんの、あんたらも早く着替えてきな?」 
裏「ふぇ?」 
黒『どういうことでしょう』 
女友「だってあんたら、いつも祭りの準備とかで忙しいでしょ?」 
女友「今日は特別に祭りに参加してもいいって、校長先生から言質とってきたの」 
裏「そんな、わざわざ悪いっすよー」 
黒『そうです、我々は舞台裏にいるのが性に合ってます』 
女友「ふーん、じゃあせっかく二人の浴衣も用意したのに、無駄になっちゃったか」 
裏「浴衣!?」 
黒『本当ですか?』 
女友「ほら、やっぱりお祭り出たいんじゃない」 
裏「うっ……」 
黒『い、今のは言葉の綾ですよ』 
女友「綾でも何でも構わないよ、いいから早く着替えといで」 
裏「……分かったっす。女友さん、ありがとうっす!」 
黒『感謝します。女友さん』 
女友「いいっていいって」 
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裏「女友さん、これミニ浴衣じゃないっすかー!」 
黒『生足露出なんて、聞いてません!』 
女友「あははは、二人ともよーく似合ってるよ」 

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*裏方さんと黒子さん#6

裏「鳥は、鳥籠から出るのをいつも夢見ていた」 
黒『しかし、鳥籠の扉は鍵で固く閉ざされている』 
女友「だから鳥は、鳥籠から出るのを諦めた?」 
裏「ううん、そうじゃないっす」 
黒『鳥籠の鳥は、自分で鍵を外せるほど強かなんですよ』 
女友「じゃあなんで鳥は鳥籠から出ないのかな?」 
裏「多分、籠の中で命を燃やす人生も悪くないと思ってるんっすよ」 
黒『飛べる鳥が、誰かの止まり木になってもいいじゃないですか』 
女友「そうか、遠くへ羽ばたくばかりが幸せじゃなしか」 
裏「はいっす」 
黒『その通りです』 
女友「深いね、人生って」 

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*裏方さんと黒子さん#7

裏「うわ、すごい人混みっすねー」 
黒『今日は父兄参観で、荘厳さんやお嬢様系の方のSPが山ほど来てるみたいです』 
裏「こりゃあ歩くのも一苦労っす」 
黒『まあ、こんな人混み舞台裏の混雑に比べたら』 
裏「どってことないっすね!」 
黒『はい』 
裏「でもこれだけ人がいると、はぐれちゃう可能性もあるっすねぇ」 
黒『そうですね』 
裏「黒子さん、手をつないで移動しないっすか?」 
黒『はい?』 
裏「そうしておけば、離ればなれになる心配もないっすよ!」 
黒『は、はぁ……』 
裏「じゃあ、教室までダッシュっす!」 
きゅっ 

黒『!!』 
裏「どうしたっすか?」 
黒『いえ、何でも……』 
裏「?ならいいっすけど」 
黒『……///』 


男友「おや、あれに見えるは百合フラグ?」 
女友「あんたはくだらないこと言ってんじゃない!」 

スパーン 

男友「ぐぇっ」 

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*裏方さんと黒子さん#8

黒『裏方さん』 
裏「なんっすかー?」 
黒『これ、差し上げます』 
裏「へ?これって四つ葉のクローバー?」 
黒『はい。先日ピクニックに行った折、見つけたんです』 
裏「自分なんかにはもったいないっすよ。これは 
  もっと大事な人にあげて欲しいっす」 
黒『そんなことないですよ。私は、健気に頑張る 
  裏方さんに幸せになってほしいんです』 
裏「う、なんか照れくさいっすねー」 
黒『だから、どうか遠慮せずにもらって下さい』 
裏「分かったっす。ありがとっすよ!」黒『うふふ』 



男友「百合フラグ今だ継続中……熱いぜ!」 
女友「アホか」 

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*裏方さんと黒子さん#9

裏「あ、浅窓さんが捨て猫を見つめてるっす!」 
黒『本当ですね』 
裏「きっと餌をあげてるところっすよ!」 
黒『いえ、もしかしたら憐れみをかけて拾おうとしているのかも』 
裏「何してるのか観察してみるっす」 
黒『はい』 

浅「ほらほら、もっと頑張りなさい」 
猫「みゃー、みゃー」 

裏「猫がギリギリ届かないところに餌をやってるっす!」 
黒『しかもその餌がお弁当の残り物!』 
裏「浅いっすね!」 
黒『えぇ、浅いです!』 

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*裏方さんと黒子さん#10

黒『裏方さん…』 
裏「ど、どうしたっすか黒子さん。顔涙目っすよ!?」 
黒『すみません、実は…』 
黒『校長室の清掃してたら、うっかり花瓶を割ってしまいまして……』 
裏「あちゃー、黒子さんらしくないイージーミスしちゃったっすねー」 
黒『どうしよう…こんな失敗したことなかったのに…』 
裏「気を落としたら駄目っすよ、黒子さん!」 
黒『でも…』 
裏「平気っす。校長先生は優しいから、きっと許してくれるはずっす!」 
裏「さ、一緒に謝りにいくっすよー」 
黒『いえ、これは私に責任のあることですから…』 
裏「責任とかなんとか、あんまり難しく考えちゃ駄目っす」 
裏「自分は、仲間が困ってるから力になりたいと思っただけなんすから!」 
黒『……仲間?』 
裏「はいっす!だからなるべく早めに校長先生のところへ……」 
黒『………』うるうる 
裏「へ?」 
黒『………』くすん、くすん 
裏「あわわわっ、なんでまた泣くっすか!?」 
黒『………』ぐすっ、ひくっ 
裏「あぁあぁ、こういうとき筆談って不便っすねぇ……」 


お父さん、お母さん。私、いい友達に恵まれました。 
―――「黒子の日記」より、抜粋 

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*裏方さんと黒子さん#11

裏「今日は、新ジャンルドラゴンさんの撮影っす」 
黒『なんだか緊張しますね…』 
裏「だーい丈夫っすよ!ドラゴンさん、ああ見えて優しいっすから!」 
黒『そう、ですか…』 
裏「あ、来たっす!」 
ド「グルルル……」フシュー 
裏「うひゃー、相変わらずデカいっすねー!」 
黒『こ、怖い…』 
裏「虎吉と同じと思えばいいっすよ」 
ド「………」ズシン、ズシン 
黒『こっちに来た!?』 
裏「どうかしたっすか?ドラゴンさん」 
ド「………」ペロリ 
黒『ひゃあぁ!!』 
裏「ああ、黒子さんのこと気に入ったんすね。そっすかそっすか」 
ド「フシュルルル」ペロリ、ペロペロ 
黒『嬉しいような嬉しくないようなー!!』 
裏「仲良さそうで何よりっす!」 
黒『見てないで止めてー!』 
ド「………」ペロペロ 

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*裏方さんと黒子さん#12

裏『用事ってなんすか?黒子さん』 
黒「えぇ…実は…」 
黒「私、裏方さんに伝えたいことがあったんです」 
裏『伝えたいこと?』 
黒「はい…」 
黒「私、私……裏方さんのことが好きなんです!」 
裏『えぇぇ!?』 

裏「………ハッ!夢か……」 
裏「久々にゆっくり寝れたと思ったら、なんて夢を…」 

その夢が、後に正夢になろうなどとは、この時の裏方には知る由もなかった……。 


女友「余計なナレーション入れるんじゃない!」 
友「痛い痛い、太ももつねるの止めてくれ俺が悪かった」

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*【灯台守さんと】

灯台守「灯台守です」 

灯台守「秋です。虫がコロコロ鳴いています」 

灯台守「星がとても綺麗です」 

灯台守「風は順風、船もまっすぐ進むでしょう」 

灯台守「灯台守です」 

    ◇

灯台守「灯台守です」 

灯台守「今日は、週に一度の定期便が来る日です」 

灯台守「そろそろ時間かな」 

裏方「ちわーっす、お荷物お届けにあがったっすー!」 

灯台守「どうやら、来たようです」 

裏方「ふぅっ、お疲れ様っす!」 

灯台守「お疲れ様。いつもの配達人さんと違うんですね」 

裏方「そうっすよー。いつもの人が腰悪くしちゃったんで、自分が代わりに持ってきたっす」 

灯台守「ご苦労様です」 

裏方「そちらこそ、いつも灯台の番お疲れ様っす!」 

    ◇

灯台守「よろしければ、お茶でもいかがですか?」 
裏方「いいっすか?じゃあお言葉に甘えて、いただくっす!」 
裏方「外にもう一人いるんで、そっちも呼んでいいっすかね」 
灯台守「はい」 
裏方「ありがとうっす!」 
裏方「黒子さーん、灯台守さんがお茶を飲んでいかないかって言ってるっすー!」 
黒子『よろしいんですか?』 
裏方「次の撮影まで時間あるし、ちょっとだけなら大丈夫っすよー!」 
黒子『それなら私も、今からそちらに向かいます』 
灯台守「それでは、お茶の準備をしてきます」 
裏方「はいっす!」 

    ◇

灯台守「どうぞ、お茶菓子もありますから」 
裏方「すごくいい香りっすねー」 
黒子『なんだか、中世のお城に来たみたいです』 
灯台守「ゆっくりしていって下さいね、えっと……」 
裏方「自分、裏方っていうっす」 
黒子『私は黒子です。筆談は仕様ですので、どうかご容赦を』 
灯台守「裏方さんと黒子さんですね。分かりました」 
裏方「よろしくっす!」 
黒子『よろしくお願いします』 

    ◇

裏方「この紅茶、すごく美味しいっす!」 
黒子『お茶の淹れ方、お上手なんですね』 
灯台守「昼間はあまり、することがないのです」 
裏方「いつも一人で、灯台の番をしてるっすか?」 
灯台守「はい」 
黒子『大変なお仕事ですね』 
灯台守「そうでもありませんよ。夜は日誌をつけるだけですし」 
裏方「でも、夜も一人っていうのはちょっと怖いっすねー」 
灯台守「それももう、慣れちゃいましたから平気です」

    ◇

裏方「なんだか自分、灯台守さんに親近感湧くっす」 
黒子『我々も、日の当たらないところで働く身ですからね』 
灯台守「そうですか。お二人ともお忙しいのに、ひき止めてしまってごめんなさい」 
黒子『謝ることありません』 
裏方「そうっす。むしろ、美味しいお茶をご馳走になれて、こっちこそ役得っすよ」 
灯台守「そんな風に言われると、少し恥ずかしいです」 
裏方「灯台守さんはウブっすねー」 
黒子『初対面で失礼ですけど、可愛い人ですね』 
灯台「///」 

    ◇

灯台守「ここがこんなに賑わったのは、初めてです」 
裏方「自分は、元気だけが取り柄っすからね」 
黒子『私たちでよければ、いつでも話し相手になりますよ』 
灯台守「ありがとうございます。お茶、おかわりありますよ?」 
裏方「うーん、ありがたいっすけど、そろそろ仕事の時間っすね」 
黒子『あ、本当だ』 
灯台守「では、お別れですね」 
裏方「お別れだなんて、悲しいこと言わないでほしいっす」 
黒子『近いうちに、また遊びに来ますから』 
灯台守「そうですか」 
裏方「そうっすよぉ!」 
黒子『その通りです』 

    ◇

裏方「ほいじゃあ、お邪魔しましたっすー」 
黒子『お茶、ご馳走さまでした』 
灯台守「お仕事頑張って下さいね」 
裏方「はいっす」 
黒子『はい』 

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灯台守「灯台守です」 

灯台守「空が澄みわたって、星が輝いています」 

灯台守「静かで、昨日よりも虫の声が響いてくるみたいです」 

灯台守「寂しくは、ありませんよ?」 

灯台守「むしろあの元気な二人に、また会いたい気持ちがいっぱいになりました」 

灯台守「灯台守りです」
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