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運命の人 in C713

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運命の人 in C713

  
よく見る夢がある。
  
今でない時、ここで無い場所。夢の中で私は羊を放牧を生業として生活していた。
特に何の変哲も無いただの女の子。――ただ、人間の血を強く欲するだけ。
そう、私は人狼。人々を恐怖に落としいれ、その怯えを味わう残酷な存在。
  
あまりにもリアリティがあり一貫した内容の夢のため、
「もしかして本当に人狼なのかも?」と幼き頃の私はこの夢に怯えた。
泣きじゃくりしがみ付く私に両親は優しく抱きとめ、そっと教えてくれた。


「それはね、レジの前世の姿よ。今のレジは間違いなく人間だから大丈夫」


私の家系には占い師の血が混ざっているため、夢という現実から離れた狭間で過去を除き見ることがあるという。
夢の私は過去の私。夢から覚めれば私はただの人間。
夢の中であんなに欲した人間を襲撃する楽しみも、目が覚めれば雲散霧消する。

   
夜明け前。
私は人狼姿で野原を駆け巡る。この時間、人間は人狼を恐れ外に出ては来ない。
こんなに急ぐのは、待ち人がいるせい。少し遅れた。急げ。
「夜にはあまり時間が取れないから」という理由で始まった早朝の作戦会議だけど。
うん。ちゃんと自分でも気づいている。こんなに早起きするのは作戦会議のためじゃなくて。

――ただ、あなたに会いたいため。大好きなあの人に一秒でもはやく会いたいから。


野原と森の境目に、朝日を浴びてきらきら光る白い狼の姿。そして私は飛びっきりの笑顔で囁く。

『樹さん、おはようございます』
   
  
誰かが私を呼んだような気がし肩を揺する振動で、私は覚醒した。
慌てて身を起こすと、目の前にはパン屋のオットーお兄さまが目の前にいた。えっ!
いつの間にか宿のテーブルに突っ伏して眠っていたようだ。

「あ、ごめんなさい。寝てました。どうかされました?」
寝顔を見られたかもという恥ずかしさにどぎまぎしながら尋ねると、オットーお兄さまはさらさらとメモにペンを走らせた。

『旅人が宿に泊まりたいそうだ。大丈夫か?』
「ええ、宿はいつも空いてますわ。ありがとうございます」
 

慌ててオットーお兄さまの後ろにいる緑の服の旅人に応対を始める。
横目でオットーお兄さまをちらりと見ると、何事も無かったように宿を出て行くところだった。

   
私は、気づいている。
オットーお兄さまと、夢の中で私が「樹さん」と呼ぶ人は同じ魂を持つと言うことを。
姿かたちや口調などは全く違うけど、根本的なところは同じ。
思考回路・好み、さりげない優しさなど前世と全く変わらない。
オットーお兄さまを見ると胸がドキドキするのは、前世の人格「月」の影響だろうか?
それとも、私自身がオットーお兄さまのことが好きなのだろうか?

もはや、わからない。でも、どっちでもいい。
月も私も「樹さん」と「オットーお兄さま」が気になって気になって仕方がないのは事実。
ずっとこのままオットーお兄さまの側でずっといられるだけで幸せ。
  
――そんなたわいも無い夢が、次の日に簡単に打ち砕かれるとは思ってもみなかった。
 


C600村の私の恋人・樹さん(seijyu氏)と再びC713村で出会った記念に。
  

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