人狼BBS-newmoon
「デート」という名の日常 in C600
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「デート」という名の日常 in C600
カタリナの羊の放牧の仕方は一般的ではない。
通常は牧羊犬が羊がどこかにいかないようにコントロールするものだが、カタリナは犬を用いない。
隊列を乱そうとする羊がいると「逃げるのか?」と睨み付けるだけ。
なのに羊はそれだけで怯え、彼女に従う。まるで狼に睨まれたかのように。
まるで?
いや違う。実際狼に狙われていると同意。
今はカタリナは少女の姿をしているが、本性は銀毛の人狼だから。
最近、この一風変わった放牧にメンバーが一人増えることがある。
カタリナとその人物は人目がない時は手を繋いで、坂の上にある牧草地へと歩いてくる。
「ここらで昼ご飯休憩するべ。今日のご飯は野菜サンドたべ」
そう言って、持っていたバスケットを広げて昼食の準備をするのは、農夫のヤコブ。
カタリナと同じく人狼で、いつも二人で早朝に作戦会議などをしているうちに、自然とみんなが公認の仲になっていた。
とはいっても二人とも奥手だから、人前でいちゃいちゃなどできず、交換日記を回したりして周りが呆れるほど甘酸っぱい交際を続けていた。
「わーい。今日のご飯も美味しそうです」
バスケットの中を覗き込んで感嘆の声をあげたカタリナが顔をあげると、ヤコブと視線がぶつかり外せなくなった。
二人は見つめ合い、そしてカタリナは静かに目を閉じて――
いくら純情路線の二人と言えど、キスをするのには少し慣れてきたみたいだ。
『お熱いね。お二人さん』
頭の中に響いてきた囁きに、慌てて二人は離れて声のした方向へと向いた。
そこには少女を背負ってたたずむ黒狼が一匹。
黒狼は少女を地面にそっとおろすと、人型に戻ってタバコをくわえた。すると少女がさっとジッポーをポケットから取り出し、火を点けた。
あまりにも自然で完璧な行動は二人の仲を表している。
「もう!いるならいるって言ってくださいよ!柳さん、リーザさん」
仲間といえど人に見られた恥ずかしさから、そうぽつんとつぶやきながら真っ赤な顔は隠せない。
いつも通りの平和な日常。
しかしいつか確実にこの平穏な日々が崩れる日がくるだろう。
人狼は人間を食べないと生きていけない生き物だから。
今はなんとか衝動を押さえているが、大好きな村の仲間が餌にしか見えなくなる日はきっとそう遠くない。
でも頼もしい仲間がいるから。大丈夫、きっと大丈夫。
この笑顔さえあれば、なにもかも捨て去っても後悔しないから。
そんなことを考えながらも、カタリナは野菜サンドを齧った。