人狼BBS-newmoon
手紙
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黒い鳩が一羽、ふわりと少女の足もとに舞い降りる。
慣れた手つきで少女は足に結び付けられた手紙を解き、一読する。
「――あの国もとうとう露と消えたか」
その手紙に書かれていたのは、とある国の滅亡の知らせ。
ずっとその噂は昔から流れ続けてはいた。
最近はやり病が増え、村がだんだん少なくなったことには気づいていたけど。
ただ、信じなかった。――否、信じたくなかった。
思い出も、愛すべき恋人や友人も、過去も。
すべてを飲み込んで、少女の生まれ故郷が消滅してしまうとは。
「『朔』もあの国と一緒に忘れ去られていくのか……。それがいいね」
「朔」。それは裏社会の一部の人間の中では有名な名。
まだ幼い少年とも、ごく普通の少女とも、ごろつきであったとも、
見た人の証言が食い違う、正体不明の存在。
ただ、その名を名乗るものは皆、人狼という世界の敵に味方する。
人間でありながら、人を欺き、騙し、そして処刑台に昇らせ、そして嘲笑う、邪悪な存在。
『…。聞こえてるか?』
ぼんやりと物思いにふけっていると、背後から投げかけられたコエ。
しかし、少女は振り返らなかった。後ろには誰もいないことを知っているから。
『ええ、聞こえてますよ。我が主人』
少女は、鳩に餌をやりつつも答えた。口も開かず。
少女が誰かとやりとりしているなんて、人間には、わからないだろう。
『ご安心してください。是非この人狼騒ぎをすぐに解決して
平穏をもたらして見せましょう。――人狼にとってのね』
にやり、とほほ笑む壮絶な表情はずっと変わらない。
姿かたちが違っても、「新月」という意の名を名乗っていた時と同じく。
人間には決して見せない笑顔で、事もなげに囁いた。
『人間どもを絶望という名の血で赤く染め上げてごらんに見せましょう。
私の名は――』
C国滅亡時に書いたSNSの日記
狂人・朔の物語はまだまだ続く――