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旅立ち

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丘の上で少女が一人佇んでいる。
遥か遠くを見下ろしながら。来た道を振り返る。

「この国もこれで見おさめね。」

そこはもう人の住める土地では無くなっていて。
住んでいた国民も散り散りに逃げだしていく。

――大切な思い出もすべて置き去りにして。

切なげに少女は故郷の方角を見つめたまま動かない。
まるで時が止まったかのように。

*    *     *    *

突然静寂を切り裂くかのように、鳴き声が響き渡る。
さっと少女の肩に止まったのは、一羽の黒い鳩。

『全く人使いの荒いお方たちですね』

鳩の運んできた手紙を読みながら、少女は無意識に
普通の人間には聞こえない特殊な音域の言葉で罵る。

『まあそろそろ私の悪名が知られてきた頃合いですし、
この国を離れるちょうどいいタイミングですかね』

にやり、と笑うその邪悪な笑顔は少女は誰にも見せたことがない。
――少なくとも仕えてきた人狼たちの前以外では。

「さよなら、私の故郷。」

でもすぐにいつもの顔に戻って、ぼそっと呟いた少女は
次への国へ歩きだした。二度と後ろを振り返ることなく。

 

C国滅亡時に書いたmixiの日記。
さよなら、私の故郷。そして、ありがとう。

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