のどかに晴れたとある日。ある館に女の子の姿が。
その女の子は背も低く、見た目もおとなしそうだが、パタパタと足音を立てながら、大きな声を上げていた。
「信勝君はどこですか?」
どうやら、彼女は誰かを探している様で部屋を回り、しらみつぶしに探している。
「昨日はちゃんと準備をしないで、あんなに太いのを入れたのは悪かったです。だけど、新しいネタが必要だったんです!」
大きな声を出しながら、とある部屋に入った女の子。その誰もいない部屋を一瞥すると、奥にある押入れに一直線に進み、その戸を開け、
「信勝君!押入れに隠れてても無駄ですよ!」
「ひいっ!許して下さい!許して下さい!大根は、大根は止めてください!」
押入れの中には男の子とも女の子ともどちらでも取られるようなかわいい容姿の子がこれまた男の子とも女の子とも取られるようなかわいい声で必死の声を彼女に上げていた。
「信勝君。何で逃げたんですか?」
信勝君、という名前から押入の中の子はどうやら男の子だった様子。
涙目になりながら、丸くなり、おびえた目の信勝君と呼ばれた子はどうにか声を絞り出して彼女に声を上げた。
「お鍋さん!いくらなんでも、ここ数日のは……」
お鍋さんと呼ばれた女の子の方はその声に不満そうな顔と声で応えた。
「信勝君は何でもするという約束でここに来たのを憶えてるんですか?」
「それでも、ここ数日のはひどすぎます!」
「確かに昨日のは私も無理し過ぎたと思ってます。だから、昨日はちゃんと癒しの陣で治療してあげましたよ」
「それでも、まだ痛いんです!お願いです!今日は許して下さい!」
「その涙目になって懇願する声……。昨日の事を思い出して、筆が進みそうです……」
「何でお鍋さん、うっとりした目になってるんですか?」
「あ、こんな事より、大事な用があるんでした。さあ、来てください」
そして、お鍋さんと呼ばれた女の子は押入の中の信勝君と呼ばれた子の着物の首の所を掴んで、外に出そうと引っ張った。
信勝君と呼ばれた子は声を上げて必死に押入から出されまいと抵抗するが、お鍋さんと呼ばれた子は外見からは想像できないような力で引っ張り出した。
「信勝君!今日は痛くしないから、無駄な抵抗は辞めた方がいいですよ」
「いやだ!母上!勝家!助けて!」
「信勝君が私の言う事を聞くのは運命なんですよ!」
「こんなのが運命なんて……。そんな、そんな馬鹿なーーー!」
自分の不幸を嘆きながら、着物の襟首を掴まれ、部屋から引っ張り出され、廊下をずるずると引きずられる信勝君。
一方、お鍋さんと呼ばれた女の子はこれから始まる大計画の構想が頭に広がっていた。
最終更新:2011年01月16日 00:48