リングサス
「おう、元気そうだな。
精進も重ねてるようで、なによりだ。
なあに、隠したって、調理でつけた手指の傷でわかるのさ。
もっとも俺から見たら、まだまだだがな!
それでも、お前さんの成長ぶりが、
他の調理師へのいい刺激になってるのは事実だ。
イングハムなんて、
お前に対抗心燃やして、頑張りまくってるぜ。
だが、ちょっと張り切り過ぎて、もめ事が起きちまった。
なのにあいつ、どうも俺には打ち明けづらいのか
自分で抱え込んじまってるんだ。
お前さん、あいつから話を聞いてきてくれんか?」
イングハム
「お前・・・・・・何だよ、用でもあるのかよ?
それとも、俺を笑いに来たのか?
・・・・・・いや、またマスター・リングサスの差し金か!?
・・・・・・悪ィ、お前に当たるのは筋違いだよな。
いっつもドジ踏んでるのは俺だし、俺が全部悪いんだし。
・・・・・・でも暗くもなるさ。
店のお得意様を、俺のせいで怒らせたんだぜ?
俺、ずっと失敗続きだったから、焦っちまって・・・・・・
お得意様の前で、いいところ見せようと思ってさ
好物の「ミコッテ風山の幸串焼」を試食にお出ししたら
逆に機嫌を損ねちまって・・・・・・。
なんか店に抗議するって言ってるし・・・・・・。
俺の勝手で、店の名に泥ぬっちまうなんて・・・・・・
今頃、お客様の機嫌が直ってたりしないかな・・・・・・?
頼むから、ちょっと様子を見てきてくれないか?
テラス席にいらっしゃる「メーティマガ」様だ。」
メーティマガ
「ん、なんだいあんた?
見たところ調理師のようだが・・・・・・
もしかして、不味い「ミコッテ風山の幸串焼」を
私に押し付けてきた調理師の代わりに、
ワビでも入れに来たのか?
でもダメだね、不味いものは不味いと店に抗議するよ。
それは私の信条ってやつだからね。
しかし、「ビスマルク」も大丈夫なのかね?
あの程度の腕の調理師を雇ってたら
名店「ビスマルク」の看板に傷がつくだろうに。
それとも、安さがウリの屋台にでも方向転換したのか?
・・・・・・おっと、評価に不満があるのかい?
だったら調理師は言葉じゃない、料理で語るべきだろう?
「ミコッテ風山の幸串焼」を1個、作りなおしてもらおう。
あんたの料理で、この私を黙らせてみせな。
それができたら、店への抗議を取りやめよう。」
メーティマガ
「「ミコッテ風山の幸串焼」はまだかい?
それとも、白旗を上げるのかい?」