メイドが行く!(冥土に逝く?)
一人、少女にも見える女性は歩いていた。
着ているメイド服は所々茶色く焦げ、
所々は裂け、身体には幾多もの火傷や傷が――
「………………」
火傷や傷が――、一つも無い綺麗な肌のまま、歩いていた。
まるで足が無いかの様にゆっくりと、
まるで思いの無い廃人の様にゆらゆらと、
まるで意思の無い人形の様にしっかりと、
確固たる足取りで、
確固たる思いで、
確固たる意志で、
とある地点、薄暗い中にも関わらず巨大な存在感を示す、
本来なら京都に存在するはずのマンションを目指し、
足を進める。
カツリカツリと小さな足音を響かせ、
目標に向けて突き進む。
館を出て最初に地図を見、
私は驚愕、あるいは失笑せずにはいられなかった。
お嬢様の屋敷に、
玖渚友さまが住むマンション、
いーちゃんさんが住んでいるアパート。
この三つがあると言う事実に。
位置的、更に地理的に見れば、
屋敷のある島からは考えられない様な場所に、
島からの距離を考えれば有り得ない程の近場に、
言うならばお嬢様が来ないならと直接行きかねない程の近場に、
その三つともがあると言う事実。
本来なら一笑して終わり、
さっさと丸めて其処等に捨てるだけの物、
そう――するつもりだった。
しかし、
何気ない気持ちで“地図上”では存在するはずのマンションの方を見た時、
地図を捨てると言う事が出来なくなった。
暗闇、
暗闇の中なので本当にそれなのかまでは分からないが、
有り得ない筈の場所に有るマンション。
そして“地図上”では陸続きになっている屋敷。
確認しなければならない。
そう決意して既に数時間。
空は白く光り始ているのが見える中、
少なくともこの地図の一部は正確である、と。
そう認識しなければならない様な異様な地理であると分かった。
土地の名前だけで言えば、因幡砂漠なんてものは知らない。
竹取山……は知っているが、踊山、そんな山が竹取山の近くにあったか?
それに不承島なども聞いた事も無い。
全てが本物、とはまだ言えないが、
本物が混じっていると言う事は、
「――――――――」
チラリと光を浴び、全容が見え始めたマンションの方を見る。
悠然と高い位置から見下ろす様に建つあのマンション。
あそこに行けばもしかしたら――
お嬢様のお気に入りの天才の一人である、
青い蒼い髪の玖渚友さまか、
此方もまた何故かお嬢様のお気に入りである、
…………いーちゃんさん、
お嬢様の大のお気に入りである万能家、
赤く紅い姿の哀川純。
その誰か、あるいは三人に会えるかも知れないと言う淡い期待。
更に現実的な事を言えばあそこにあるコンピューター。
あれを使えばそこまでコンピューターに慣れて居なくとも、
この戦いの情報を掴めるかも知れない。
更にもう一つ言えば、
未だに怪しいと疑っている地図の地理、
これをあの高さから確認出来れば、
何処までが真実で何処までが嘘か、
あるいは全てが真実であるのか確認できるかも知れない。
――――――決して、
決して三人の内の誰かに会えるかも、
などと言う淡い希望を抱いている訳ではない。
訳では無いったら訳では無い。
戦力的には哀川がいいとか、
でもコンピューターがある所なら玖渚がいいとか、
いーちゃんでもまあいいかとか思ってはいない。
どれも思ってはいない。
…………期待はしている、が。
しかし、期待は期待で終わるのが人生である。
まさにその通りで彼女が進む先に待っているのは、
純粋なまでに青く蒼い少女、玖渚友でもなく、
濁り濁った灰色の少年、いーちゃんでもなく、
強く気高く果て無き紅い女、
哀川潤でもない。
破壊の破壊による破壊の為だけの破壊者。
蒼色の為だけに破壊の道を突き進む緑色。
愚神礼賛を持った害悪細菌、
兎吊木垓輔。
待っているのはその男だけである。
赤い神の従者、
蒼い数の一群、
この二人、あるいは二つが出会い、何が起こるのか?
それはまだ、誰も知らない。
【1日目 早朝 G-5】
【
千賀てる子@戯言シリーズ】
[状態] 健康、悪刀『鐚』により回復が早いです
[装備] 悪刀『鐚』
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~2)
[思考]
基本 すべてはお嬢様のために
1 お嬢様を探しだし、いない場合優勝を目指す。
2 マンションの玖渚友の部屋を目指す。
※悪刀『鐚』の力により体の「活性力」が高められています。
程度はどれぐらいであるかは後の書き手さんに任せます。
最終更新:2009年12月18日 10:02