概要
主にシナリオクラフトでの使用を想定した、ボスエネミーの作成ルールです。
通常のシナリオでも使いまわせるとは思いますが、この手のやつはどーしても定型的になりますので、時間が取れる時はがっつり作るように頑張った方が多分プレイヤーのウケはいいはずです。
大まかな作成の流れ
- ①テンプレートを決める
- 戦闘のコンセプトや背景の定型などから作成したテンプレートを選択する。
- ②レベルを決める
- ③種別を追加する
- 任意でエネミーに種別を追加する。追加により特技や弱点が増える。
- ④人数補正・成長段階補正をかける
- プレイヤー人数や、英傑の段階(麒麟児/神仏)による補正を適用する。
- ⑤カスタマイズする
- ①~④で出来上がったデータを更にカスタマイズする。
- ⑥モチベーションとロールプレイの指針
用語解説
このテンプレルールで増えた用語とかを解説します。
- 移動方法:移動の方法。地形ルールとセットじゃないと説明できないのでふわっと。
- 通常:徒歩で移動する英傑と同じ。
- 高速:馬や車両など。街道など平らな場所では高速だけど、それ以外では遅い。
- 飛行:飛んでいる。[飛行状態]の英傑と同じ。
- 踏破:基本的には「通常」と同じだが、地面や水面があるなら整地と同じ扱いで移動できる。
- 転移:壁だろうと不整地だろうと、中間にある地形を無視して移動できる。壁など進入できない場所で移動終了は出来ない。
- 種別::エネミーの種別。
- 現象:流れる水や転石、火災などの現象をエネミーデータで表現したエネミーである事を表す。
- 部位/本体:複数部位を持つエネミーの、本体部分である事を表す。
- 部位/追従:エネミーの部位の内、本体の位置に合わせて移動する部位である事を表す。
- 部位/独立:エネミーの部位の内、本体の位置に関わらず移動する部位である事を表す。
- ※部位については行動不能になる/ならない、独自HPの有無、被ダメージ超過分が本体に入る/入らない等細かい要素がありますが、エネミー個別に記述します。
①テンプレート
用途に合わせて、以下から一つ選択してください。
+
|
■テンプレートのテンプレ |
- ①コンセプト
- このテンプレートの設計コンセプト。運用や改造の時参考にして下さい。
- ②パラメータ
- 通常のエネミーと同じような項目があり、意味も同じです。
- エネミーの戦闘値と攻撃能力は「レベル補正」適用前の値が記してあるので、注意して下さい。
- レベル補正は「補正」欄を参照します。計算式があるならそのまま、クラスとあるなら「基準クラス」が想定レベルの時の戦闘値表の値を入れます。「想L」は想定レベルを代入して下さい。
- 防御力と耐性は、A~Eの5種類の段階のみが設定されています。Aが最も頑丈で、Cが標準。Eは弱点になります。
- 移動の項は「戦闘移動の移動力」と「移動方法」が記載されています。全力移動は2倍して下さい。
- ③奥義・特技
- エネミーが習得した奥義・特技です。タイミングが「常時」で効果適用されるような特技は省略してあります。
- ④配置と取り巻き
- このテンプレートのエネミーがどんなマップ・どんな取り巻きがいる事を想定しているかの説明です。
- 概ねエネミーに有利になるような設定がなされています。英傑が知略を駆使しておびき出した等の場合にはこれを崩すと良いでしょう。
- ⑤カスタマイズ指針
- エネミーの特徴を殺さないようにカスタマイズする際の指針です。
- ⑥ロール指針
- エネミーの典型的な動機や立ち位置、精神的傾向を紹介しています。ロール指針を検討する際にに役立てて下さい。
|
1.俗人系
本来英傑と渡り合えるような強さはないが、妖異と化したり群れたりして向かってくるパターン。
No |
タイプ |
コンセプト |
1 |
強化暴走型 |
神酒の暴飲や唐伝来の秘薬などで強い力を得、振り回されて暴走している人間。「人」の形から大きく外れないバランス型。 |
2 |
異形化型 |
妖異に憑依されたり、南蛮医学の人体改造を受けたりして、形が異形に変化してしまった人間。鈍重・大HPのパワー型。 |
3 |
先陣型 |
部隊を率い、先頭切って戦う戦士タイプのボス。ダメージを自分に集めつつ、部下でダメージを出す。 |
4 |
指令型 |
後ろで控え、部下を強化するタイプのボス。部下を前に出して壁にしつつ、自分でダメージを出す。 |
5 |
お荷物型 |
自ら戦う能力は低いが、自身の敗北条件となるため部下が全力で守るタイプのボス。スポンサーだったり、部下の弱みを握っていたり、大事な姫様だったり。 |
6 |
偽英傑一行 |
PCの編成に合わせたパーティ型のボス。名前通り偽物の一行だったり、巨悪が用意したクローンだったりする。 |
2.達人系
高い能力を持つ個人。単独で強いパターンと、魔物や配下を操るパターンがある。
No |
タイプ |
コンセプト |
1 |
甲冑武者 |
非常に硬く、正面切って戦うのが得策でない敵。魔法に弱めの超パワー型。 |
2 |
剣豪 |
遠間の攻撃への対抗技を極めた技巧派の剣士。真っ向切って戦う「剣客のライバル」型。 |
3 |
妖術師 |
英傑の法力や神通力をしのぐ魔力を持った術師。物理に弱めのパワー型。 |
4 |
召喚師 |
物理を圧倒する魔物を呼び出し戦わせるタイプの術師。術比べで戦う「魔法使いのライバル」型。 |
5 |
神出鬼没 |
忍術や地の利を用いて変幻自在に位置を変えるタイプの敵。遠隔のライバル。 |
6 |
蘭学狂人 |
強固で鈍重で、ハリネズミのように銃器で武装した敵。タイムアタック的な戦闘。 |
3.獣系
No |
タイプ |
コンセプト |
1 |
牙獣 |
野犬や狼など、速度と組織力で戦うタイプの獣。 |
2 |
獣王 |
熊や古狼、猿の年経など、強力な個体を中心に戦うタイプの獣。 |
3 |
猛馬 |
馬あるいは牛のような大型の草食獣。自在に駆け回って間合いを変えつつ、突進力を活かして戦う。 |
4 |
狐狸 |
名前通りに狐や狸、あるいは貉のような「化かす」タイプの獣。 |
5 |
蜘蛛 |
蜘蛛の年経。網を張って動きを封じ、猛毒の牙でとどめを刺す。 |
6 |
百足 |
百足の年経。 |
7 |
蛸 |
蛸やイカ、クラゲといった触手がある水棲動物の年経。春画で活躍している。 |
4.怪物系
No |
タイプ |
コンセプト |
1 |
屍鬼 |
肉体のある死霊。特別すごい攻撃などはないが、異様なタフネスと配下湧きで英傑を苦しめる。 |
2 |
八面六臂 |
四肢や顔がたくさんある巨人。 |
3 |
化け老木 |
固定要塞みたいな硬くて長くて痛い本体部分を、苔や虫、花などがやらしく支援する。「森」そのものが敵。 |
4 |
化け石仏 |
別に仏じゃなくていい。石像とか自然石の化生。硬くて鈍い。 |
5 |
鬼 |
天下世界の鬼はなんか定義違った気もするけどいわゆる「鬼」。強くて堅くて術も使うがどっか抜けている。 |
6 |
天狗 |
天下世界の天狗はなんか定義違った気もするけどいわゆる「天狗」。怪力で天変地異を操るが鉄砲に弱い。 |
7 |
河童 |
こいつだけクラスになってない気がするがいわゆる「河童」。怪力で群れるが術に弱い。 |
8 |
龍 |
いわゆる「龍」。自在に空を舞い、天変地異を操る。好きなので贔屓で単純に強い。 |
5.怪異・現象・森羅万象系
No |
タイプ |
コンセプト |
1 |
怨霊 |
一般属性が通りにくい霊体。デバフが充実。 |
2 |
御霊 |
一般属性が通りにくい霊体。単純に強力。物理屋は「依代」を破壊して倒す。 |
3 |
水害 |
災害をエネミーの形で表したもの。防衛対象を守るため溝を掘って水を逃がしたりする。 |
4 |
火災 |
災害をエネミーの形で表したもの。防衛対象を守るため建物を壊して移動を封じたりする。 |
5 |
風雪 |
災害をエネミーの形で表したもの。基本的に安全な避難所に逃げ込む事で勝利。 |
②レベルを決める
このエネミーと戦う英傑たちの想定レベルを決定します
想定レベル
シナリオに参加する英傑の総合レベルを想定すると良いでしょう。
経験点に大きな差(総経験点の二割が目安でしょうか)がある時は平均、単に経験点の使い道の違いでレベル差が最大値を想定して下さい。
エネミーレベル
想定レベルは、エネミー自体のレベルではありません。
エネミーのレベルは、そのシナリオで与えたい経験点に合わせて自由に設定して下さい。
ルール上、「クラスレベル」を基準とする特技を取得させた場合、本来はエネミーレベルを基準にしますが、本ルールでは「想定レベル」を基準にします。
能力値
エネミーごとに固有の数値が設定されています。そうそう無いとは思いますが能力値判定時はこれを用いて下さい。
基準クラスと戦闘値
基準クラス
後述の戦闘値で、レベル補正を算出する際に用います。
戦闘値
戦闘値はレベル補正を適用する前の基礎値と、レベル補正の計算式または基準クラスからなります。
基礎値にレベル補正を加えた値を、実際のゲームでは使用して下さい。
- クラス
- 基準クラスに指定したクラスの戦闘値表を参照し、そのクラスレベルが「想定レベル」の時の値。
- 「想定レベル」が戦闘値表の上限(30だっけ?)を越えた場合、「最大レベル」の基準クラスと、「想定-最大レベル」の基準クラスを取得しているものとして計算すると良い。
- [想定L*n]
- 「n」には自然数が入る。nを「想定レベル」倍した値。
攻撃能力
攻撃能力はそのエネミーの攻撃アクションと、その際に必要な各データが記載されています。
「命中」には命中判定時、【命中】や【魔導】(攻撃の種類で決まります)にかかる補正が記載されています。
「ダメージ」は命中時のダメージとその属性が記載されています。ダメージには幾分面倒な計算式が入っていたりします。
前もって計算結果を記入しておくとむしろ面倒が減っていいでしょう。
防御力
防御力および耐性は、下表で想定レベルを見て該当する値を記入して下さい。
耐性は「0」が耐性なし、+の数値は耐性が「(数値)レベル」であり、-の数値は弱点が「(数値)レベル」であります。
想定L |
等級 |
3-4 |
5-9 |
10-14 |
15-19 |
20-24 |
25-29 |
30-34 |
35-39 |
40-44 |
45-49 |
計算式 |
防御力 |
A |
10 |
13 |
16 |
19 |
21 |
24 |
27 |
30 |
33 |
36 |
[想定L]/5(切捨)*3+10 |
B |
7 |
9 |
11 |
13 |
15 |
17 |
19 |
21 |
23 |
25 |
[想定L]/5(切捨)*2+7 |
C |
3 |
3 |
6 |
6 |
9 |
9 |
12 |
12 |
15 |
15 |
[想定L]/10(切捨)*3+3 |
D |
2 |
2 |
4 |
4 |
6 |
6 |
8 |
8 |
10 |
10 |
[想定L]/10(切捨)*2+2 |
E |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
耐性 |
A |
6 |
6 |
6 |
6 |
9 |
9 |
9 |
9 |
無効 |
無効 |
[想定L]/20(切捨)*3+3(40LV以降「無効」) |
B |
3 |
3 |
4 |
4 |
5 |
5 |
6 |
6 |
7 |
7 |
[想定L]/10(切捨)*1+3 |
C |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
D |
-2 |
-2 |
-2 |
-2 |
-2 |
-2 |
-2 |
-2 |
-2 |
-2 |
-2 |
E |
-4 |
-4 |
-4 |
-4 |
-4 |
-4 |
-4 |
-4 |
-4 |
-4 |
-4 |
種別の追加
エネミーに「妖異の化身」「○○型の巨大絡繰り」などの付加的な情報を追加し、それに応じた特技や弱点を追加します。
もちろん追加せずとも構いません。
No |
分類 |
種別 |
解説 |
0 |
ボス |
─ |
種別と言うより、手っ取り早くボスに使うための項目。リアクションが減少し、HPが上昇。【外道属性】取得。 |
1 |
英傑 |
─ |
道を違えたり、操られたりしてPCと戦う事になる英傑。HPは低めになるが、覚醒する事が出来る。 |
2 |
妖異外道 |
妖異 |
妖異の化身あるいは救えないレベルで妖異に同化している。HPが上昇し、【外道属性】取得。 |
3 |
大絡繰り |
機械 |
絡繰りや機械で動いている。防御力上昇、弱点属性変化、特技追加。 |
4 |
あやかし |
妖怪 |
妖怪や妖精の類。その内、特に人を惑わす術に長けたものである。妨害系の特技追加。 |
5 |
神霊 |
神仏 |
神仏あるいは強大な精霊である。攻撃・防御面で大幅に強化されるが、消耗が激しく長時間現世に留まれない。 |
④人数補正・成長段階補正をかける
本ルールでは基本的に、麒麟児・神仏になっていない英傑4人のパーティを標準として想定しています。
PC人数と、成長段階(ここではレベルではなく、麒麟児・神仏の事を指します)に応じて、エネミーデータに補正をかけます。
補正の掛け方は様々で、テンプレートのタイプ毎に有効なもの、反対に不適当なものがありますので、ここでは指針を示すのみに留めます。
人数による補正
パーティの戦力において、「人数」が占める割合は非常に大きなものです。
人数が増えれば手数が増え、耐久力が増し、ダイス事故等のトラブルに対処する能力が上がるからです。
人数が増えた時はせいぜいHPを増やすぐらいでも構いませんが、減った時には「そこまで弱くするぅ?」てぐらい弱くして丁度いいです。
PCが一人で勝てる程度の強さが「参加者1名」の時の強さなわけですから、人数の補正がいかに大きいか分かるはずです。
目安として、PLが1人減る毎に以下のような修正を全て適用すると良いでしょう。
▼耐久-30%
▼奥義-2個
▼特技から「連続行動系」「カウンター系」等の、ダメージを与える機会を増やすものを1つ外す
反対にPLが多い場合は、PLが1人増える毎に以下のような修正を行うと良いでしょう。
▼耐久+20%
▼奥義+1個
▼追加行動特技や、配下のエネミーを追加したりして手数を増やす。
成長段階による補正
実は麒麟児も神仏もろくすっぽやった事ないのでルールがぴんと来てないので、遊んだら考えます。
⑤カスタマイズする
ここまでの過程でエネミーデータは出来上がっているはずですが、手順通りだとどうしても定型的になりがちで、繰り返し使うには向きません。
そこで(毎回やる必要はありませんが)最後に、エネミーデータのカスタマイズを行います。
カスタマイズ時の注意点
手っ取り早く「こういうカスタマイズは良くない」という話です。
エネミー(というか戦闘全般)は楽しむためのものですので、「ルールを読み込んですごい複雑で長大だが強力なコンボを考えてきた」とか「適当に作ったので事ある毎に性能や裁定が変わる」とかはやめましょう。
あとやりがちなのが、「弱点を潰す」カスタマイズです。エネミーはそのコンセプト毎に得手不得手があり、それ自体が個性になっています。
弱点はPCに突かれるための大事な個性です。これを潰して台無しにしてしまうぐらいなら、得手を強調した方がいいでしょう。
カスタマイズ例
- PC構成に合わせ、「詰み」にならないよう調整する
- PCの傾向に合わせて活躍できるようにする(範囲化が得意な英傑のために配下の数を増やす、とか)
- 弱点属性を変える
合わせてビジュアルを変えるとかの工夫も必要かも。サラマンダーの弱点を炎に変更したら、見た目をフロストサラマンダーにするとかね。
そういわれてもな。もうちょい細分化。
⑥モチベーションとロールプレイの指針
かんがえちゅ。
異なる正義
現状への怒り
復讐
事実認識の錯誤
生理的欲求
私利私欲
誰にも理解できない理想
セリフ
動機
PCと戦う理由
立ち回りに関する指針
最終更新:2019年11月17日 21:44