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第25回 (佐々木・近藤)   「刑事司法の使命・役割」

1. 刑事司法の役割
(1)刑事司法の意義
 刑事司法の意義は、犯人を迅速に検挙し、捜査、起訴、公判審理を経て適正な刑罰を与えることを通じて罪を犯したものの矯正をはかるとともに、国民に自由で安全な生活を保障するところにある。国民が、犯罪によって生命・身体・財産を犯されず、安心して生活できる社会を構築することは国家の責務であり、国家に犯罪捜査等に関わる強力な強制権限が与えられているのは、まさに刑事司法の担うべき役割・意義によってのみ正当化される。
 しかし、国家に与えられた各種の強制権限は、その強力さの故に一旦誤って行使されれば、国民の生命・身体・財産に対して回復不可能な損害をもたらしかねない危険性を常に内包している。
 →刑事司法は、一方において効率的な犯罪捜査を、他方において国民の基本的人権の擁護という異なる方向性を持つ要請に応えるという宿命を負わされている。

(2)適正手続の保障と真実発見のバランス
 刑訴法は、その第1条で「事案の真相を明らかに」することを目的にしているが、その前提として「公共の福祉の維持と基本的人権の保障とを全うしつつ」とも規定しており、
 「公共の福祉」と「基本的人権」が葛藤を起こすときは基本的人権を優位に置くべきであることは、憲法の解釈上当然のことである。真実発見に重きを置きすぎると、力の弱い被害者・被告人の人権侵害に繋がることは歴史上の教訓でもある。

≪…にも関らず≫
【日本の現行の刑事司法が国際人権規約委員会から受けた指摘】(一部抜粋)
1) 起訴前勾留の改革
  • 勾留が長期  
  • 速やかで効果的な司法コントロール下にない
  • 起訴前保釈がないこと
  • 被疑者国選弁護人制度がないこと
2) 代用監獄制度を規約の要求に満たすものにすべきである
3)・自白が強制的に引き出される可能性を排除するため、被疑者の取調べの厳格な監視とテープ・ビデオ録音
4) 証拠開示


現状の問題:
  • 令状審査においては、一方の当事者である裁判官が警・検察官から提出される証拠を見て言い分を聞くのみ。被疑者には証拠が示されない。≪令状がでやすいってコト…?≫
さらにさらに→→→
検察官の勾留に関する令状請求率の増加に伴い勾留期間も長期化。
身体拘束をしたうえで自白を採取しようとする傾向が強まっているのでは?
(代用監獄がその最たるもの。)
捜査・取り調べは密室で行われている。→裁判所が自白の任意性、信用性の判断を要するため裁判がさらに長期化。

  • 勾留期間中は釈放されるチャンスは無いに等しい。
  • 被疑者支援のための当番弁護人制度はあくまで弁護士会のボランタリーな制度。
  • 国選弁護1件当たり8万円代と低額(公正な裁判の実現に寄与しない弁護ならば無駄)
  • 防御のための証拠収集において弁護人と捜査側の証拠収集力に圧倒的格差あり。
  • 有罪推定がなされているのが実情で、弁護側が無罪を十分に立証しない限り無罪判決は得られない。

≪じゃあ改善していこう≫
(3) 刑事司法の課題と改革の方向

●令状審査の透明化・公平化(当事者主義化)
令状審査手続は、人の身体拘束やプライバシーの侵害について極めて重要な手続である。
●代用監獄の廃止
●起訴前の保釈制度の創設
有罪が確定されていない被告人を「罪証隠滅のおそれ」があるとして身体を拘束することは、無罪推定と矛盾する。防御活動を自ら行うことができないので、公正な裁判にはならない。⇒身体拘束を正当化している「罪証隠滅のおそれ」の要件を除外
or起訴前の保釈制度の設置
●取調べ状況の可視化を図る制度、取調べに弁護人の立会い権を認める制度の導入
捜査、取調べ過程に関する限り、法廷での証言への依存をなくせば、真実発見という点での判断ミスもなくせる。客観的に可能な限り可視化のレベルをあげるべき。
●弁護人への一定の調査権限の付与
弁護人の援助を受ける権利を取調室にも及ぼす⇒刑事司法の公正さの確保
●被疑者国選弁護制度の導入
国選弁護の強化を、被疑者段階の国選弁護制度を担う公設弁護人事務所の設置とともに検討を。また、少年司法においては国費による付添人制度を。
But ⇒ 公的な制度であることや「国民感情」を理由に過度に弁護人の活動に規制を加えたり、介入したりすることは戒めなければならない。
●「無罪推定の原則」の再確認と徹底
最終更新:2007年11月13日 02:47