NHKの組織について
NHKは特殊法人であり、公共放送を行う組織である。特殊法人とは具体的法令に基づいて設立される法人である。NHKの場合は
放送法が具体的法令である。よく似ているもので独立行政法人という法人もあるが独立行政法人は基本的に資金の調達に国の保障が得られず、納税義務が生じる点で特殊法人より国との結びつきが緩いと考えられる。つまり、NHKは国との関係が少なからずあることになる。
しかし、NHKは公共放送に分類される。国営放送ではないのである。国営放送は国が直接的に運営するが、公共放送は間接的に国が運営する。確かに、NHKは国から出資をほとんどうけておらず受信料で黒字の安定的運営をしているためNHKが自立性を持っているという主張は一理あるが、その受信料は放送法の規定で課しているため事実上国によってNHKの運営経費は保障されていると考えられる。また、経営計画や財務計画は、総務大臣や内閣、国会、会計検査院を通らない限り案として成立しない。さらにはNHKの最高意思決定機関の経営委員会の委員は衆議院と参議院の同意を得て内閣総理大臣が任命をする。NHKの放送には国が大きく関わっている。NHKは事実上の国営放送であると考えられる。しかし、NHKは国との密接な関わりを否定し、自立性、自主性を強調したいらしく、受信料の不払いに罰を課さないことは行政による影響の少なさをアピールするための行為であり、受信料の税金化は国家権力に依存することになりNHKの自主性が損なわれ表現の自由を守る報道機関としての役割を十分に果たせなくなるため得策でないとコメントしている。国会を通すことも国民によって受信料支払いについての了解を得る手段だとまで言っている。
これと同じような形態の公共放送はイギリスのBBCや韓国のKBSであり、NHKは日本特有の放送組織の有りかたではないようである。イギリスではサッチャー政権が民営化を試みたが、失敗し、世論調査では受信料制度にNOが突き付けられた。最近は公的基金を新たな財源にすれば良いのではないかという意見も出されている。韓国では受信料不払い運動が起き、約50%その収益が減少した。
さて、NHKは公共放送としての役割をしっかりと果たしているか。たとえ、視聴率が取れないとしても、NHKは教育や教養、福祉、古典などの様々な分野の番組を構成し、番組が画一化したり、その質が低下することを避けている。このような意味で視聴率では図れない重要な役割、公共性の維持を担っている。また、視覚、聴覚の障碍者のための番組が多い。そして、このような人々を考慮して手話ニュースや文字の要約のスーパーを積極的に取り入れている。そして、受信料の形式で運営費を集めているため、スポンサーが存在せずその意向に左右されないことも公共性のある情報の提供に繋がる。スクランブル化、すなわち、受信料を払わないと見られなくする制度の否定は全国どこでも分け隔てなく、視聴できるようにするという公共放送の理念を堅持しようとする意思は感じられる。若者のNHK離れにもこのような観点から携帯端末の利用などの対策を取っているさらに、アジア最大の公共事業体として放送技術の研究をして進んだ放送技術を他国に伝えるために職員を派遣する活動を行っている。NHKは公共性を持ち、社会的に大きく貢献していると言える。
まとめると、NHKは事実上国営放送だがそう認識されることは望まず、自立性を主張したい。そして、これは日本特有の問題でなく、他国でも受信料問題は議論されている。公共性、社会性の維持のために一定の役割を果たすことはできている。
最終更新:2011年08月10日 17:07