具体的に計算するアルゴリズムを持たない解析学として,発表当時(1902)は内外から批判も受けた。 測度論が可算集合列に対して柔軟に対応できることから,積分と極限の交換に威力を発揮する。 また,測度零の定義が上手くいったこともL積分論が成功したポイント。
基本図形の測り方をどう決めるか,がLebesgue積分にどう現れるかというと,![]()
外測度を具体的に定義してしまえば,そこから積分を構成できる。というが基本思想。 いつもできるかどうかは知らん。Stieltjes積分ならできるんじゃないの。
という書き方には注意が必要である。 実際,測度μとして数え上げ測度をとり,台集合Ωとして自然数Nをとれば,これは
を意味する。
基本図形
基本図形の測り方
ρから外測度νを構成し,さらにνを制限して測度μを構成する。
i.
(←ii, iii から導くことができる。) ii.
iii.
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完全加法族i.
(←ii, iii から導くことができる。) ii.
←かなりしばりの強い要請 iii.
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ここで加法とは,集合の和を積として加法群(アーベル群)になることを示す。
Aを含む最小の完全加法族![]()
3点集合上の完全加法族1.
2.
3-a.
3-b.
3-c.
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Rem. 完全加法族は開集合系の公理を満たす。
測度set
σ-algebra on X
i.
ii.
disjoint sets に対して,
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外測度i.
ii.
iii.
集合列に対して,
← disjoint sets であったとしても必ずしも等号は成り立たない。
全空間が測度有限集合による高々可算被覆をもつこと。![]()
可分性と類似の概念。
Rにルベーグ測度を入れればσ有限だが,数え上げ測度を入れるとσ有限にならない。
外測度νに対し,Xの部分集合Eが以下に示す条件を満たすとき,ν-可測集合であるという。 Caratheodoryの条件外測度の劣加法性から,≦は常に成り立つことに注意。
特に外測度としてLebesgue外測度m*を用いたときは,Lebesgue可測集合という。 Lebesgue可測集合の全体をで書く。
Def. Borel集合体(-集合族,-σ加法族,-クラス) 位相空間(X,O)のボレル集合族とは,Oで生成される最小のσ加法族のことをいい,とか
あるいは
などと書く。ボレル集合族の元をボレル(可測)集合という。 Xの閉集合系をF, コンパクト集合系をKとすれば,
が成り立つ。 最後の包含関係は,Xがσコンパクトのとき等号になる。
Def. σコンパクト 以下を満たす可算個のコンパクト集合列{Kn}がとれるとき,Xはσコンパクトであるという。![]()
Th. Borel集合体の存在 Xの集合族Eに対し,Eを含む最小の完全加法族は唯一存在する。 [証明]は,Eを含む完全加法族を全て集めたものをSとして,Sの共通部分∩Sをとればよい。 Xの冪集合P(X)はEを含む(最大の)完全加法族になるから,Sは少なくとも1つの元を含むことが分かる(空でない)。 従って∩Sは意味を為す。
Def. RdのBorel集合体 通常,以下のいずれかの集合族から生成されるものを使う。 1. 基本図形(左半開区間)の全体 E 2. 通常の開集合系 O 3. 通常の閉集合系 F 4. コンパクト集合の全体 K 4つのうちどれを使っても,得られる集合体は同じである。![]()
Def. GδとFσ 1. 可算個の開集合の共通部分として表される集合をという。 2. 可算個の閉集合の和集合として表される集合を
という。
Lebesgue可測集合Mの正体 1.ボレル集合族に零集合を付け加えた最小のσ加法族 2.
2.
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Borel測度 位相空間XのBorel集合上定義された測度μのこと。 さらに,任意のコンパクト集合Kに対して μ(K)<∞ を要請する本もある。←猪狩本
Radon測度 (Rdの場合)任意のコンパクト集合Kに対して有限値μ(K)<∞をとるボレル測度μのこと。 厳密には以下の3つを満たすBorel集合上定義された正測度のこと。 1. (狭義の)Borel測度2. 外正則
3. 内正則
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Th. Radon測度の正体 区間IのRadon測度に対し,あるI上定義された右連続単調増加関数φがあって, φによるLebesgue-Stieltjes測度と一致する。
Lebesgue測度はRadon測度である。
単関数 階段関数 正値関数