逆関数定理

逆関数定理

写像の微分が逆を持てば, 写像自身が局所的に逆写像を持つ
逆関数定理の基本アイデア
1. 全単射なら(なめらかな)逆関数(逆写像)が存在する。
1'. 特に一変数のとき(逆関数の微分)=(微分の逆数)はこの定理の系
2. 定義域・値域を適当に制限することで,逆写像を作れることが多い。
3. 線形写像 Ax の逆写像 A-1 が存在するための条件は,det A ≠ 0
4. 一般の写像でも,det f'(a) ≠ 0 のとき,適当な近傍で逆写像が存在する!
   微分が0になる点a(放物線の頂点など)では、aを含む任意のε近傍である2点s,tがとれて、
   f(a+s)=f(a+t)とできてしまう。つまり単射にならないので逆写像は作れない。
6. 実は,陰関数定理の系である。
Th. 逆関数定理(梅原・山田「曲面と曲線」裳華房)
(1) 点aを含む区間上で定義されたsmooth関数f(x)が f'(a)≠0 を満たすならば,
    f(a)を含む区間で定義されたsmooth関数g(y)で,g(f(x))=x, f(g(y))=y を満たすものが唯一存在する。
    さらに,導関数の微分は g'(y)=1/f'(g(y)) で与えられる(逆関数の微分)。
(2) 平面上の点Pを含む領域Dで定義されたsmooth写像f:D→R2が,J(f)(P)≠0 を満たすならば,
    f(P)を含む領域D'で定義されたsmooth写像g:D'→R2で,gfとfgがともに恒等になるものが存在する。

陰関数定理

写像の微分が全射であれば, 写像自身が局所的に全射である
陰関数表示ないしパラメータ表示された多様体が実際になめらかであることを示すための定理。
方程式が1本あると,変数が1つ消せる事実は,この定理に依る。
  例えば,sinとかを含むときは,陰関数定理を使う。
F(x,y)=0において,陽関数y=φ(x)が存在するための条件
Fの零点集合から,グラフ(多様体)を作り出すための条件として捉えることもできる。
Th. 陰関数定理(梅原・山田「曲面と曲線」裳華房)
Rnの点P=(p1,...,pn)を含む領域D上で定義されたsmooth関数F:D→Rが,次を満たすとき,
F(P)=0, \quad \frac{\partial}{\partial x_i} F(P) \neq 0
P'=(p1,...,pn-1)のある近傍U(P'を含む領域)で定義された関数fが存在して,U上で次を満たす。
F(x_1, \cdots, x_{n-1}, f(x_1, \cdots, x_n))=0
さらに,点Pの十分小さい近傍では,
F(x_1,\cdots,x_n)=0
の解は次を満たすものに限る。
x_n = f(x_1,\cdots,x_{n-1})
系(Lagrangeの未定乗数法)
参考資料
明大「多変数関数の微分積分学講義」
東工大「偏微分方程式論第一回講義」
最終更新:2009年08月14日 10:37
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