えと…今回の世界は外世界(がいせかい)から見て、いつもの二倍の長さ滞在したようだ。
もしそれを「前」と「後」とに分けるなら、この日記の内容は「後」を記している。
ノイズが…。なぜ日記なのにこれを書いているのかは外世界の方々がこれを読む可能性があるからだ。
外世界。それは、僕達能力者の総ての世界を超越して存在する。
ただの文章として、僕達の物語を眺めているかもしれない外世界の彼等。
理解は出来た。まぁ、「彼」が教えてくれなかったら僕は気付かなかっただろう。
――Top Secret.
外世界という存在は、こちら側の世界ではそうなる。
その理由なんて言わなくても解るよね。
…こんな事を記録として残すってのもアレだけど。
まぁ、このファイル自体が僕にしか開けないから、誰かがこれを聞く事は無いけどね。
…こんな事はどうでもいいか……
「後」では…笹倉と再会した。過去に僕が戦ったアレックスを諭していたね。
笹倉とは子供になる世界が初めましてで、それ以来だったからなんか不思議な感じだった。
まぁ、ずっと僕が持っていたお手玉を返せて良かったよ。
ちなみに、あの世界…外世界における表記だと…
第37世界かな?…に創られた「僕」は僕の中で眠ってる。
次にいつ目覚めるかは解らないんだけどね。
――しかし管狐達、可愛かったなぁ…うん。
それから笹倉を温泉へと連れてった。そこでシルと再会した。
ここでは特には無いかな。シングに呼ばれて、慌ただしく飛び去ったし…
でもサ、シング…客寄せの為だけに僕を呼ぶとはね…。
まぁ、僕はわざと裏方作業をして表に出なかったから意味無いけどね。フフッ…
――美山の腕輪の秘密、教えないよ?
後は…雪化粧した森の中を歩いてたら、剣聖の泉さんと出会った。
堅正さんが無事って事が解っただけでも僥倖かな?…ま、それ以上にケンセイの皆さんが無事で良かったけど。
四人のケンセイさん。堅正、泉、源、ウルブレヒド。敬称略。
――ふむ、一度全員と対面して見たいものだね。
うーん…やっぱ、外世界の事を考えると右目にノイズが走るな…
仕方無いか。むやみに触れてはいけない事だしね。
うん、これくらいかな?
――――プツンッ
――クリスタル・カルム・クォーツ(個体識別コード『CR-Y002S』)
――記録ファイル『日記(音声記録)』内より抜粋
最終更新:2009年02月28日 22:31