5つ目の世界に飛んできた能力者達。今度の世界は水が豊富なようである
清らかな水によって育ったであろう大樹は、まるで神話に出てくる世界樹のようである
そんな水の美しさに魅入る能力者もいる中、教会で見つかる死者の群れ
違和感を覚える能力者達。何人かが教会の中を探索し始める
見つかる隠し通路。少しおびえながらも、一人の能力者が入っていく。
そこで彼は見た。湖に繋がっている地下道を。しかし見つかったものはそれだけ
収穫は無しかと項垂れそうになった時・・・感じる魔翌力・・・
どうやら川や湖の水から発せられているようだ。
なぜ水から魔翌力が?疑問を募らせる能力者達だが、手がかりはつかめない
しかし大きな収穫であることに間違いないはずだ
一方その頃、洞窟の中を動き回っていた能力者が、一体の骸骨を発見する
骸骨が持っていた手記を手に取り、綴られている文を読んでいく
そこにはある男の人生が記されていた。いよいよ手がかりが・・・と思ったのもつかの間
あまりに普通の内容に落胆する能力者たち。捨て置いて洞窟から出ようとする
が、ある日を境に男の様子がおかしくなってきた。
まるで・・・そう。狂気のようなものを感じるのである
日に日に酷さを増す男の日常・・・どうやら魔物に思い人を殺されたらしい
復讐だろうか・・・もしそうだとしたなんとむなしいことか・・・
そんな手記に没頭していた能力者だが、ふとおかしなものに気付く
男であったものが着ていた鎧から何かが発せられている
神経を研ぎ澄ますとわかる「ソレ」・・・魔翌力である
これほどの狂気を起こした男である。鎧に魔翌力が宿っても不思議ではない
しかし・・・何か胸騒ぎを覚える能力者。思わず鎧を壊してしまう
すると何かが天に召されていく・・・
不思議に思った能力者だが、急いでその場を後にする
他の能力者と合流するために
こちらは村でも一番大きな屋敷の中。
おそらくこの近辺の領主が住んでいたところなのだろう
所々に気品を感じる屋敷である・・・そこに一人の能力者がやってきた
また探索なのだろうか・・・いやはや・・・能力者にしては顕著である
しばらく屋敷を探索していた能力者があるものを見つけた。
真っ赤に濁るワインである。その銘柄に興奮を覚えすぐに煽りだす能力者
やれやれ・・・困ったものだ・・・っとすぐに吐き出してしまう能力者
なぜであろうか?疑問はすぐに別な疑問へと変わる
この液体はワインでは無かったのである。コレは「人の血」だったのだ
すぐに気味悪がって屋敷を飛び出す能力者
急いで他の能力者との合流を目指す
さまざまな場所を探索してきた能力者たち
その者たちが今、互いに得た情報から真実を導き出そうとしている
自分の得た情報を我先にと言い合う能力者たち
混沌としながらも、一人の観察者が声を上げる
彼の言い分はこうだ
昔幸せな男がいた。
結婚を約束しているような思い人に恵まれ
名誉な勲章をいただけるほど武に秀で
将来の幸せを約束されたかのような男である
彼は幸せの絶頂だった。毎日が楽しくて仕方なかったはずである
しかしある日。
彼の人生は狂気への一歩を歩み始める
思い人が魔物に殺されてしまったのだ。
彼はどん底に堕ちた。彼女のいない世界に絶望してしまったのである
その日から男は変わってしまった
来る日も来る日も魔物を狩り
恩師である領主の言葉にも耳を貸さず
ただひたすら自分に血を浴びせる毎日を送っていた
目的など無い。復讐でもない。ただ存在するのは「狂気」だけである
誰もが男を諦めようとした
そんな中、男に声をかける妖しい人物が一人
村に立ち寄っただけであろう旅の彼はこう言った
「あなたの大切な人を蘇らせましょうか?」
途端「昔」の自分に戻りかける男
食い入るようにその男の話を聞いている
彼が言う条件はこうだ
・蘇らせるためにはあるものの血が無いとだめである
・その血誰のものかは、あなたが村人を全員殺せたらお教えしましょう
言っている事はめちゃくちゃだ。こんな条件普通なら飲むはずが無い
しかし男は違った。男の目に「狂気」が宿る
愛する人を蘇らせるためなら、村人の命くらい仕方ないよ・・・
そんなことを言っても違和感ひとつ無い目だ
男の狂気は、ついに止められないところまで来ていたのだ
そして始まる虐殺の宴
村に男に勝てるものがいるはずも無く、次々と殺されていく村人達
領主までも躊躇い無く手にかけた男にはもう「人」の光は宿っていなかった
すべての村人を殺し終えた男
そこに女神が舞い降りる
男は問う
「何の用だ」
女神は応える
「あなたはもはや人ではない。人の皮をかぶった悪魔です」
女神の言葉に自嘲したかのような笑みを浮かべる
「ハハハ・・・そんなことはわかっているさ・・・ハハハ・・・ククク・・・」
次の瞬間村に響く大きな音
「アハハハハハハハハハ!!!!!!!」
血の涙を流しながら笑う男の声である
もはや救いの無い男に、女神はせめて最後の安楽をと裁きを与えようとする
しかし
女神は男に裁きを与えることが出来ず、その場から消えてしまった
なぜであろうか?
そこで気付く男の鎧
尋常ではない魔翌力の量だ
なるほど。今までが狂気じみていた男である
防具に魔翌力が宿るなど当然といえば当然かもしれない
しかし、その力で女神を抑え込んだのは驚愕としか言いようがない
神をも屈服させる力・・・
男の狂気の計り知れなさが伝わってくる
落ち着いたところで気付く男
旅の彼がいないのである
間違って殺してしまったのであろうか?
いやそれはない
大方、本当にこんな狂気じみたことを始めた男に畏怖し、逃げ出したのだろう
真に情けない・・・
さて・・・肝心の彼に逃げられてしまってはお手上げである
男のした事はただの虐殺になってしまう
しかし男は気付いていた・・・何を捧げれば彼女が蘇るかを・・・
そうして男は屋敷に向かっていった・・・
何人もの屍を見て、領主の屋敷に着いた男
なぜか領主のワインセラーに移動する男
そして一本のワインの中身をぶちまける
一体何をするのであろうか?
と、突然男が腕を切り出した
男の腕からとめどなく血が溢れてくる
男はその血をワインの瓶の中に注ぎ込む
注ぎ込んだらコルクで栓をして、元あった場所に戻す
一体何がしたかったのだろうか?
そのまま地下室に降りていく男
そこにはひとつの棺桶があった。愛する彼女の棺である
彼女の棺に接吻を施す男
棺に流れる男の血。これでいいんだ。これで彼女は蘇る
そうか、そうなのか?
旅の彼が言ったのは彼の血だったのか
真意は彼しか知らない
けれど男はどこかで確信めいたものを持っていた
だからこそ、いつか村を訪れるもののために、自分の血を残してきた
よそ者にこの事はわからないだろうに
だが、そんなことでもしないと、やはりいたたまれなくなるのであろう
本当に今更だ。今更だが、男には「人」の光が戻っていた
出血の酷い中、村はずれの洞窟に向かう男
小さい頃はここで彼女とここで遊んだものだ
彼女なら、蘇ったらまずはここにくるだろう
またもやおかしな確信を感じる男
不思議と気分は晴れている
ここで彼女を待つことが出来るんだ
なんという幸福だろう・・・
もう男には他の事を考える余裕も余力も残ってはいなかった
ただ彼女を待ち続けるだけ
それだけが男の残された使命なのだ
次第に薄れていく意識
彼女を待ち続ける事をやめない男
頭の中には幸せだった頃の記憶が所狭しと思い出されている
あぁ、俺は幸せだったんだなぁ・・・
ごめんよみんな。ごめんよ領主様。ごめんよ・・・『 』
彼女の名を呟き、彼は旅立った。
彼女のいる世界へ・・・
観察者の話に、息の音すら聞こえないでいた場は、話の終了とともに息を吹き返した
おのおのが語りだす
真実はもう誰にもわからない
しかし、この話なら全ての辻褄が合う
魔翌力を発する水
これは、主を失ってなお魔翌力を発する鎧のせい
屋敷で飲んだ血は、男のものであろう
様々なことの謎が解けて、安堵の声が聞こえ始める能力者たち
そこで誰かが一言発する
「もしかしたらあの樹。魔翌力のせいであんなに巨大になったんじゃないのか?」
あながち間違いでもないのだろう
そんな極上の栄養を毎日受けていたら、あの大きさになるのも頷ける
しかし、それと同時にそんなごちそうにありつけなくなったのだ
いつ木が倒れ始めるかわからない
樹にしてみれば、現状は餓死寸前の状態なのであろうから
なにせ鎧が壊されて・・・
そこでまたもや誰かが気付く
「もし本当に女神がいたのなら、鎧が破壊されてしまったのだから・・・」
途端聞こえてくる轟音
しまった
気付くのが遅かった
女神を抑えていた鎧が破壊されてしまったのである
女神は男に対する裁きの途中だったはずだ
つまり
今ここで、この時に裁きが再開されるということである
近づいてくる水の音
あぁ・・・ここで皆終わってしまうのか・・・
まぁそれも一興であろう
また新しい能力者は出てくる
所詮俺達は使い捨てなのだ
この運命から逃れられることに感謝すべきかもしれない
そう思うと体が楽になった
迫りくる水の悪魔
飲み込まれる能力者達
コレで解放される・・・
しかしそうはかかなかった
次々と水の中から飛ばされていく能力者達
なるほど・・・
まだ俺達を捨てる気はない・・・ということか
まぁいい・・・
ならば最後まで足掻いてやろうではないか
この運命に
待っていろ
いずれ俺はお前に挑むぞ
首を洗って待っていろ
そこまで考えたところで意識が途切れた
さぁ
次の世界はどんなところなのだろう
終わらない戦いがまた始まる
戦いを終わらせるために・・・
最終更新:2009年03月04日 01:37