これは、カノッサ第三支部での戦いの最中に起こった出来事です。
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倒れたテーブル。剥れている壁紙。割れた蛍光灯。
……ここは人がいなくなり寂れた家の一室。
この部屋の中央に突然水晶が現れる。その中では一人の男性が女性を姫抱きにしている。
「………………………。」
水晶が割れ、二人は部屋に降り立つ。だが、その余韻に浸る余裕など無いかのように、男性は新品同様のソファへと女性を横たわらせる。
女性の服は破れ、右肩と腹部からは紅い液体が滴っている。
「…………………治癒。」
男性はいつの間にか羽根を持っていた。それは、窓から漏れた光によってなのか、あるいは他に原因があるのかは分からないが、確かに輝いている。
……それはまるで、夜空を彩る優しき月光のように。
「……お疲れ様。……ゆっくり休んでて……。」
輝きが収まるとそこには、女性に毛布を掛ける男性がいるだけ。羽根は最初から存在していなかったかの如く、何処にも見当たらない。
「……観測を継続する。」
男性はその後、薄暗い部屋の中にある唯一の光源、一面が光る壁に向かう椅子に腰掛ける。その顔には感情の色など何も浮かべず、二つの薄灰色の瞳を向けるだけ。
……砕けた硝子の欠片よりも暗く、無機質な瞳のみを……。
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最終更新:2010年07月03日 23:34