俺はワイト、骨だ
痩せてるとかそういう比喩じゃなく骨、歩く骸骨
所謂化け物
普通ならこんな奴等は冥界だかにいるはずだがたまーにそこに行かなかったり抜け出したりする奴等がいる
俺もその一人だった
「さて・・・そろそろいくか・・・」
そう呟いて俺はボロ布を纏い、肌(骨)をみんな隠して住家の廃墟から出ていく
行き先は近くの町
化け物だから見付かると即討伐だ、だから俺は人間のふりをしていく
何の為に危険を犯すのか、それは
「すいません・・・残飯でもいいので分けてくれませんか・・・」
物乞い、飯なんざ食わなくても死にはしない
だが空腹には勝てない、骨なのに腹が減る、難儀な身体だ
で、結果はどうかというと
「お前にやるものなんか無い!帰れ!」
大体失敗、当然だ、こんなみすぼらしい奴に関わりたくなんか無いだろう
だがたまに分けてくれる人もいる、そこで俺は感じたね
『優しがどれだけ暖かいか』ってのを
まあそんな生活を続けていた
続くと思ってた、あの日までは
「なん・・・だと・・・?」
ある日何となく見た町の掲示板、そこにあったのは
『討伐依頼、骨男』
『懸賞金200万』
俺が討伐依頼に出されていた
ご丁寧に懸賞金までかけて
「これはまずいな・・・」
懸賞金は中々の大金だ
これなら何人もが俺を躍起になって討伐しにくるだろう
「・・・今日は帰るか」
そして俺は暫く町に出ない事にした
どうやらまだ住家までは知られてないらしく誰もくる事は無かった
あいつ以外は
「ここか・・・」
真っ黒なローブを着た陰気臭い奴
こいつが誰かは知らないがなぜここに来たかというと答えは明確だろう
「・・・討伐しにきたのかい?俺を」
「・・・ああ・・・」
ビンゴだ
まあいつか来るとは思ってたから驚きはしなかった
「・・・あっそ、なら早くやりな」
俺は抵抗しない、もう半ば諦めていたのだろう
抵抗したとしても俺が勝てるとは思えなかった
だからさっさと終らせてもらうことにした
「・・・・・・」
「どうした?俺は抵抗しないぜ?」
奴は何もしてこない
俺が騙し討ちでもすると思って警戒してるのだろう
どうせならそのまま帰ってくれないかと思ったその矢先
「・・・やめた」
「へ?」
あー、やっぱり・・・
待て、今なんつった?『やめる』!?
俺が目の前にいんのに討伐しないってか!?
俺は唖然とした、何を考えてるんだこいつは
馬鹿か?俺より馬鹿なのか?
「何でだ・・・?何で俺を討伐しない?俺は抵抗する気も無いしすぐに討伐できるぜ?」
「・・・貴様は何も討伐されるような事をしていないんだろう?」
「ならば討伐する意味が無いだろう・・・」
何と、俺が何も悪くないとお見通しですかそうですか
「あ、そう・・・」
「討伐したとは言っておく、これからは静かに暮らせるだろう」
「なに、証拠など適当に髑髏を持って行けば簡単に信じる」
そういってローブ男は出ていった
次の日、町に出掛けるとある話題で持ち切りだった
「死霊使い様がアンデッドを退治してくださったらしい」
「なんと、流石死霊使い様だ」
「噂では一瞬で消し去ったらしい」
なんと、俺は退治されたのか
なわけない、どうやらあいつは上手くやってくれたようだ
そしてある情報を手に入れた
あいつは死霊使い、かっこよく言うと《ネクロマンサー》
そんで明日の早朝本部に帰るらしい
「・・・明日の早朝か」
そして俺はある決心をした
――早朝――
「・・・・・・」
「ちょっと待て」
帰ろうとするローブ男に声をかける
あいつは特に何も言わず足を止めた
「お前さ、本当に俺を助けてくれたんだな」
「礼ならいらん、助けたつもりもない」
なんだこいつ、ツンデレか
「いや、礼をさせてくれ!是非!」
余談だが俺は礼はしっかりとする方だ
「いらんと言っている、せいぜい静かに暮らすんだな」
そう言ってあいつは歩き出す
「待ってくれ!お願いだ!何かお詫びを!!」
「じゃあ兄貴の使い魔になれよ!!」
「・・・あん?」
呼び止める俺、ローブから飛び出し訳解らん事を言い出すグール
使い魔だと・・・?
「てめえ礼がしたいんだろ?だったら兄貴の使い魔になって従えよ!!」
奴に従う・・・ってことか
どうせ俺は一度死んでる、それにやることも無いんだ
やってやろうじゃねえか
「・・・いいのか?」
取り敢えず確認、奴が了承しないことには使い魔にはなれない
「・・・勝手にしろ」
どうやら了承してくれたようだ
「んじゃてめえは後輩だ!おら後輩!ついてきな!!」
「あ、ああ」
「そんで兄貴は兄貴だ!ちゃんと兄貴って呼べよ!!」
兄貴兄貴五月蝿い先輩だ
兄貴ね・・・ま、それもいいか
「ああ・・・じゃ、これからよろしく!兄貴!!」
なんだかんだで使い魔になる俺
これが俺、ワイトと兄貴の出会いだ
ワイト編
終わり
最終更新:2009年03月11日 03:53