個体識別コードR-F03の日記
ひとつの闘いが終わり、ひとつの争いが始まる。
俺にとって、そしてラジエルにいるコード持ちの連中にとって、戦いとは自身が生きる術であり、生きる場所でもある。
何故ならば俺達は、闘うために生み出された存在なのだから……。
雨の降り続けていた世界で行ったひとつの戦闘で、俺は思い出してはいけないことを思い出してしまった。……いや、正確には目をそむけ続けていた事実と、無理矢理向きあわされてしまった。
生きているのか、死んでいるかも分からない俺の妹――。特殊加工を施された剣に貫かれ、血に染まった俺のたった一人の兄妹。俺の片割れ。その最後の様子を改めて見せつけられ……俺は迷ってしまった。
俺は今のこの現状を、壊したい。コード持ち全員とはいわない。せめて、ジャンカーとイブだけでも、この狭い檻の中から出してやりたい。あいつらにはこんな狭くて血生臭い場所より、外の世界で自由に生きている方がよく似合っている。
でも、俺は恐ろしい。
俺が行動を起こすことで、俺の仲間達が4年前のアイと同じ結末を向かえる事が。あいつらが剣に貫かれ、血に染まってしまうことが。
あの時の俺には力が足りなくて、アイを守ってやれなかった。いや、今もきっと俺には力が足りない。だからこそ、敗北が恐ろしい。仲間を失うことが恐ろしい。それはどうしても、4年前のあの時を思い出してしまうから。
だからこそ俺は強くなる。仲間を守るために。自由にしてやるために。
何年かかってもいい。俺自身が犠牲になってもいい。だけど俺は絶対、あいつらをこの檻から救ってみせる。
このページは、俺の決意の証明として、そして俺のラジエルへの反逆の証として、どこかに隠しておくことにする。
ジャンカー、カスパール、チーター、ロビン、それにイブ。
お前達がこの日記を読むとするならば、それはきっと俺が死んでいる時なのかもな……。
個体識別コードR-F03 アルカード
最終更新:2009年03月11日 04:07