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新――暦344年
4月1日
高校生になったが余り感慨は無い。
昨日、新しい眼鏡を買った。当然、度は入ってない。
ふと思い付いたので、今日からこの日記を書こうと思う。……毎日は無理だが。

4月18日
……隣りの席の人がひたすらに話しかけてくる。私と話しても楽しくない筈だ。
彼女はあかるすぎる。私とは合わない。

5月26日
これまでは生半可な返事をするだけだったが、仕方無いから話すことにした。
始めて彼女をしっかりと見た。金のセミロング。顔はどことなく……母さんに似ている。

7月3日
私は学園長に世話をして貰っている。と、いっても寮生活なのでお金だけだ。両親はいない。私に物心が付く前に飛行機事故にあった、と聞いている。
今日はその事を彼女に話した。彼女は泣いてくれた。
……私なんかの為にいいのに。

10月27日
最近、少しだけだが自然と笑う事が出来る様になった。
これまでは偽りの笑顔しか見せられなかったのに…

12月24日
今日は私、そして彼女の誕生日。世間は旧――暦から続くクリスマスというイベントの為に人が賑わう。
二人だけでささやかな食事を楽しもう。

新――暦345年
2月29日
学園長からの遅すぎるクリスマスプレゼントの発表があった。私には双子の兄がいたらしい。
遺言には私に笑顔が戻った後の命日に教えて欲しいと書いてあったそうだ。
……久し振りに泣いた。

4月8日
………彼女はまた私の隣りの席だった。多分学園長のせいだと思いたい………

8月30日
兄が生きていたそうだ。
詳しくは分からないが、逢えるのは今冬らしい。

12月24日
私と彼女は学園長室で兄と顔を合わせた。
薄灰の髪、髪と同じ色の瞳、私そっくりな顔。
私は兄の胸で泣いた。彼女も泣いてくれた。
兄は次の春から、この学園に転校するらしい。これ以上ないプレゼントだった。


新――暦346年
4月10日
………私の隣りが彼女、後ろが兄………もう何も言わない………

9月18日
ずっと気になっていた。彼女も兄も、たまに深夜に部屋を抜け出している。
怪しい……

12月20日
深夜、彼女と兄が一緒に歩いているのを見てしまった。
……二人で何してるの?

12月24日
三人での食事の後、私は寝た振りをした。やはり二人は部屋を抜け出した。
……二人を付ける事にする。

12月29日
……涙が止まらない。
あの時私は二人を付けた。
そしたら、不思議な力を使う人と戦う二人を見付けた。彼女は炎や氷を飛ばしていた。兄は透き通った剣を持っていた。
私は思わず飛び出していた。彼女が私の前に来た。生温いナニカが私の顔にかかった。彼女は泣きながら笑っていた。私の腕の中で「ゴメンね、ありがと…」と呟き目を閉じた。そこで私は気を失った……。
いつの間にか部屋にいた。私は側にいた兄にすがりついて泣いた。でも、涙は止まらなかった。
……だから、私は忘れない為にこれを書く。

新――暦347年
1月5日
兄と学園長から全てを聞いた。
この世界には魔法や魔術が存在する事。
私には本当は親なんていないという事。
彼女は私が創ったヒトだという事。無意識に私がなりたいと願った結果が彼女を創り出したそうだ。
兄と学園長はこの世界を創ったヒトに創られ、この世界の観測の為に来た事。
そして、私はこの世界の「鍵」だという事。

12月24日
………私には何も無い。彼女の様に生きる事も出来ない。あるのは空虚な感情だけ。私は願う……■にたい。




――月――日
あの時、私は願い、叶った。でも、消える事は出来なかった。幽霊となった。
滅んだ世界で何もせずに過ごした。そのまま数年経った。
兄が来た。「この世界は消滅する。僕達の下に来ないか?」と。

――月――日
……私は今、中央世界にいる。
兄は私を送った後、世界を消滅させた。一緒に兄も消えた。
「彼」の記憶を持つ個体『CR-Y002S』と「あの方」から世界の全てを聞いた。
……私は「彼」の「可能性」だったらしい。「彼」が消える為の……
私は願い、力を失った。「彼」に頼る事にした。

今は、個体『CR-Y002S』に世話をされている。私はこの個体を支えようと思う。
「彼」の記憶を持つ個体は他にもいるが、兄に一番似ているのがこの個体だからだ。
……時間はある。
……「彼」も私も、永遠なのだから……

これが、この日記の最後となるだろう。

……私は彼女の様になりたい、いや、なる。

……眼鏡はもう、必要ない。






―― Last Page ――

久しぶりにこの日記を見つけた。なんだかなつかしい。
保存方法がよかったのか、ボロボロにはなってなかったけど、かなり色あせてた。

今はクリスがいて、マロンがいて、メノウさんがいて、萌華と永華さんがいて、ほかにもいろんな人たちがいて、とっても楽しい。
このままずっと、この幸せが続いててほしいって思う。でも、そんなのは絶対に無理だって分かってる。
私は見てきたはずだ。世界の終焉を。

だから、クリス、そしてヘヴン。


一つだけ、お願いします。


私達の“今”を守って……


―― Akira's Diary ――

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最終更新:2009年04月29日 23:38