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【番外編】


「マスター。あのストーカー何とかしてくれよぉ~」
 久々に帰ってきたと思ったら、開口一番がそれだった。
「は?」
 勿論、突然の事なので俺は何が何やらさっぱりだ。
 首を傾げながら聞くと、零次の奴はストーカーとやらの名前を口にした。
「ユラだよ。あの治療屋!」
「……ユラがストーカー?」
 あまりにも俺の常識から外れたよーな事を言うので、一瞬こいつ何か悪い物でも食ったんだろうか、などと疑ってしまった。
 すまん零次。お前は何も食ってなくても妄想癖があったな。
「氷桜。お前、俺様のこと馬鹿にしてるだろ」
「滅相も無い」
 ばれた。勘の良い奴だ。
 冗談はさておき。本当に何を言っているか分からない。
「ユラがお前をストーキングしてるのか?」
「そーだよ。友達になってほしい、とか言いつつず~っと後ろついてくるんだぜ? 勘弁してほしいぜぇ~」
 心底嫌そうに零次は言う。
 ここで俺は「ああ……」と納得の声をあげた。
「なんだよ?」
「いや別に。嫌なら、俺じゃなく直接言えばいいだろう?」
 先の一言で全て看破出来たので、後は適当に流すだけ。
 多分、こいつは自分で気付いてない。
「直接言ったさ。無駄だったけどな。あんまりにも言う事聞かないから武力行使したら、何かやばいスイッチ押したらしくて、殺されかけた」
「そりゃ災難だ」
 苦い顔をして軽く身震いしながら話す。余程怖かったのだろう。
 ここ最近のこいつは表情が豊かになったように思う。俺の思いこみかもしれないが。
「災難で済ませてくれるなよ。とにかく、ユラに会ったら言っといてくれよ? 迷惑だって!」
 そう言い残してさっさと自室に入っていってしまった。
「分かった分かった」
 零次の背中に向かって適当に返事をしておく。

 多分、こいつは気付いてない。
 迷惑だと言いつつ、いつも後ろの気配を探っていることを。
 後ろにそいつが居ると、安心することを。
 ここで敢えてユラを説得……なんて意地悪をしようものなら、きっとあいつは無意識に怒るだろう。
 ……友情? さぁてね。もしかすると、ユラを友人にしても、あいつは気に入らないかも、な。
「ふふ……あいつも厄介な奴に目をつけられたもんだ」
 一通り考え終えてから、俺も執務室へ戻った。

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最終更新:2009年03月12日 14:22