――昔昔
あるところに小さな村がありました
そこの村は平和でしたが一つだけ困る事がありました
その村の近くの山に魔物の群れが住み着き、毎年いけにえとして村の綺麗な女性を求めるのです
調度その日はいけにえを差し出す日でした
村で一番綺麗な女性が選ばれました
その女性は優しく、どんな人にも平等で、母性に溢れた人でした
その女性も村の為なら自分の身などと自らいけにえになる事を望んだのです
そしてその女性は魔物の済む山にいけにえとして置いていかれました
数ヶ月後、村に騒ぎが起きました
なんと、いけにえになった女性が戻って来たのです
その女性にはまるで死人のように生気がありませんでした
目からは光が失せ、服や美しかった髪はめちゃくちゃに、体中に傷や痣が付いています
しかしいけにえが戻ってくるなど言語道断、村人達はその女性を殺そうとしました
でも、その女性は村につくなり息を引き取りました
父親が解らない子供を残して
村人達はその子供を悪魔の子と呼び、同じように殺そうとしました
しかしそれはできませんでした
子供を刺しても、吊しても、首を撥ねても
はたまた燃やしても死ぬ事はありませんでした
村人達は不気味がり、子供を魔物の山に捨てました
そうして村は平穏を取り戻しました
さて、子供はどうなったかというと
子供は山に済む唯一の善者、山の魔女に拾われました
魔女は何百年も生きており、更に魔物の山にいるということもあって村人達から恐れられていました
しかし魔女は優しい心を持っており、子供を拾い、愛情を注いで育てました
子供はすくすくと育ち、立派な少年となった頃、ふと疑問を感じました
『自分は一体何なのだろうか』
魔女から自分はどうしてここにいるかは聞いていました
ですが、その内自分が何か気になる用になってきました
母親と同じ人間なのか、それとも魔物なのか
そして少年は疑問を魔女にぶつけてみました
魔女は言いました
「それは自分で決めることだ」
「自分が人間だと思い、人間らしく生きたら人間」
「魔物らしく生きたら魔物さ」
その言葉を聞き、少年は考えました
「僕はあなたの下で魔女らしく魔法を教えられました」
「人間らしく育てられました」
「そして魔物らしく魔物の力も使える用になりました」
「ぼくはなんなんでしょう、魔女なのでしょうか?人間なのでしょうか?それとも魔物?」
少年は不安そうな顔で話します
魔女は答えます
「それは今から決めればいい」
「分かれ道でどの道を選ぼうが、そいつの自由さ」
ある日少年は決心しました
自分が何なのかを探す旅、所謂『自分探しの旅』に出る事にしました
魔女にその事を話すと魔女は笑って了承してくれました
魔女はお土産を沢山くれました
少年が寒くないようにと黒いコートをくれました
昔の旦那の物なのですこし大きいですが
他にも沢山のお金、魔法の本、薬等を持たせてくれました
そのお土産を持ち、少年は旅立ちました
魔女がその背中を見えなくなるまで見送っていたといいます
この昔話はここでおしまい
え?少年はどうなったかって?
それは解らない
魔物になったかもしれない、人間になったかもしれない、はたまた魔女になったかも・・・
でもわかる事はあります
その少年は今も生きてるだろうと
なんせ、人間よりもとても長く生きる魔物の力を持っているんですから
そしてもう一つ
その少年は今も自分探しの真っ最中だってこと・・・
おしまい
最終更新:2009年03月12日 14:24