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道に迷った…

何処かの組織に襲われた村には火の手があがり
その慣れた道さえも見失うほどに壊されていた…

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火の手は数日にわたり、私の村を焼き尽くした
なぜ…私(わたくし)たちの村がこんな目にあわなければならないのか
そんな絶望の中、私は焼け落ちた家へと戻り
何か残っていないかを探し始める。

「……何も無いや…写真も…家具も…何もかも…」

思わず涙があふれてくる
今まで村で暮らしていた時が全て消されてしまった
そんな気分に全身が包まれ、泣くしか出来ない。

ほんの僅かに見つけだせた貴金属
それすら、全てに焼け跡や煤がこびり付いていた
でも、それでも手元に何か残しておきたかった。

なんとか拾い集めた貴金属をポケットにねじ込み
村人が避難している町へと向かい森の中を進む

慣れているはずの森さえ、気分の重さで迷いそうになる。
村を襲った人たちが居ないとも限らない

「早く…早くかえらなきゃ…」

自分に言い聞かせるようにそれだけを呟きながら歩くが
恐怖と焦りが自分の足を早くさせ、それが原因で足が縺れる

『お嬢ちゃん、あの村の子かぁ?』

もう少しで避難している村につけるという所で、一人の男に道を塞がれた
見覚えのない、どう考えても一般人と言い切れないその風貌
ニヤついたその男の顔を見て虫唾が走り、思わず踵を返して走り出す

(やだ…どうしよう……)

捕まったら殺されるかもしれない
殺されなくても、無事では居られないはず
混乱した頭でもそれだけは解った

必死に逃げた…息が切れても、足が縺れても
段々と足の感覚が無くなってくる
道から外れて森の中を走りながら
自分の服が木々に引っ掛かり、汚れ、破かれていく
足の痛みは爪でも割れたのだろうか鈍い痛みが足をつく度に走る


どれだけ逃げたのか解らなくなった
涙で滲んだ視界に人影を見つけ、思わず声を張り上げる

「た…助けて下さい!!!」

これで助かった…そう思い人影へと走り寄る

『……おっ…女だぜ』
『ちょうど良い、酒のつまみにしてやろうぜ』
『女相手にすんのなんて何か月ぶりだよ』

三人の男の下卑た顔を自分に向けられて背筋が凍る
痺れた足でゆっくりと後ろに下がり男たちと
距離を取ろうとして何かに背中がぶつかる

『なんだねぇちゃん、自分から来てくれたのかよ』

私がぶつかったのは、さっきの追い掛けてきた男

『なんだお前、この女が土産かぁ?』
『たまには良いじゃねぇか』
『違いねぇ…』

背後の男に腕を掴まれ身動きが出来ない
目の前の数人の男が私ににじり寄ってくる

「……嫌ぁぁーーー!!!!誰かぁぁーーーー!!!!!」

『騒がせんな、口塞げ』

やっとのことで絞り出せた声も、男の薄汚れた手でさえぎられる

(もうダメ…これで私も終わっちゃうの…?)
(なんで…私が何したってのよ……神様なんて最低…!!)

泣くしかできない自分と神を恨み、固く目を閉じる

『何だよお前!!』
『邪魔すんなら殺すぞ!!』

突然、男達のどなり声が聞こえた
思わず目を開けて声の方を見る。
そこには先程までは居なかった人が一人
黒い軍服に白いマントとフード
その軍服の人の足もとには私を襲おうとした男の一人が倒れている

「……お前たちは私の嫌いなタイプなだけだ」

フードで隠されていて顔は解らないが、声で男性だとは解る
でも…この人……誰…?

『うるせぇ!!でしゃばってんじゃねぇよ!!』
『見逃して欲しかったら金目の物置いてきな』

二人の男がマントの人に襲いかかる
何が起こったのか私には訳が解らなかった。
ただ、襲いかかった二人が地面に崩れ落ちるのだけが解った。


「……君は…?まだやるのか…?」

マントの人は私の背後にいる男に問いかける

『じょ…冗談じゃねぇよ!!!
 あんたのその制服見たら誰だって相手になんかしたくねぇ!!!』

私を拘束していた腕を離し、男は逃げるように森に消えてい行った

「まったく……視察しに来たらこの様だ…お前も気をつけろよ
 また私みたいに都合良く通りかかる人間が居るとも限らないんだからな!」

私にそう一言残し、そのマントの男性はその場から立ち去った。
私はお礼も言えず、しばらく呆然とするしかなかった……




「私、絶対にあの人を見つける!!!!!」

避難している街に帰り、村人にそう豪語して私は旅に出た。

声しか知らないマントの人
私を助けてくれたあの人
私の理想の人


………


やっと見つけたけど…忘れてしまっておいでですよね…

貴方には何でも無い事でも

私には…人生を変えた一瞬でしたのよ……



あの時、貴方が通りかからなかったら

私、あそこで人生が終わっていたかもしれないんですもの。




「シギュン、書庫の整理を手伝ってくれ」

扉の向こうから聞こえてくる主の声



「はーい、今行きますわーーー!!」


少女は小さな木箱に焼け焦げたペンダントを入れて
クローゼットの奥へと隠し、声の主の元へと走る

《Fin》

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最終更新:2009年03月28日 13:48