暗い研究所の深部、液体の満たされたカプセルの中。傷を癒す為、少年はそこでしばしの眠りにつく。
―――これは、限りなく兵器に近い少年が眠りの淵に沈むまでの出来事―――
少年は瞑目し、静かに追憶していた。
今までに出会った能力者の事を。そして、自身の創造主の事を。
記憶の整理を終えると、次に少年は、自身の中に在る、だが己さえも知らぬ領域……ブラックボックスの開放を試みる。
度重なる戦闘の中、彼は朧げに理解していた。
自身に、故意に隠蔽された領域が在る事を。
そしてその一部は…創造主の意志により、解き放たれた。
一つ目は「Zero Advanced」:通称デストロイモード……自身に内蔵された大量のナノマシンを戦闘の為にフル活動させ、尚且つ放出する事でのスペック向上。
ただし、発動中は体力を著しく消耗し、自身の固有武装…「Px-Wシリーズ」との併用には更に大きな負担を伴う、諸刃の剣と呼ぶべきシステムでも有る。
そして二つ目は「Px-W:000 Infinity」
自身の開発コードと同じく、創造主が希望を込め、「無限」の名を冠した…無限大の可能性を秘めた未完成の一振り。
そしてもう一つは、厳重にプロテクトが掛けられたファイル。
ソレは今、少年の手で解き放たれようとしている――
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「…プロテクト解除、圧縮データ解凍」
「データプロテクト解除、テキストデータ発見――PASSWORD:infinity prototype-ZERO X1:Named『G』――」
「パスワード、入力」
「音声、映像データ……?」
視界がデータに埋め尽くされ、脳内に直接、映像と音が展開される感覚。
そして目を開くと―――見慣れたラボでは無い、ノイズ混じりの空間……おそらくはマスターの部屋だろう……が拡がっていた―――
『ゼロ、久しぶりだね』
「マスター……?」
『君がこの映像を見る頃には、もう僕の命は………まあ、そんな事も無いだろうけど』
『まあ…コレを見てるって事は、やっぱり開けちゃったんだね、鍵を』
『開けた君にはもう解ってると思うけど、―――――は名前の通り、悪魔だ』
『とりあえず使い方は説明するまでもないとして、使う時の心構えと忠告をしとくね』
『確かに―――――は強大な力になるだろう』
『だけど同時に、使えば悪魔に魅入られて狂う危険も有る。君がただ殺すだけの機械になる可能性もね』
『だから……使うなら、強い意志と、自我を持ったと自分で確信出来た時だよ。そうじゃなきゃ飲み込まれる。あの「虐殺と不和の悪魔」にね』
『それじゃあね、ゼロ。君の幸せと、それから悪魔に捕われない事を…心から願ってるよ』
「マスター!!待っ――」
その映像が途切れた瞬間、闇へと吸い込まれるように少年の意識は落ちていった――
最終更新:2009年03月12日 14:31