Ψ風が望んだ事Ψ
【暗い倉庫の中】
【耳を澄ませば聞こえる幾つモノ唸り声】
【其処には唸り声と同じ数だけの倒れ伏した暗い格好の人の姿が在った】
カシャン・・・・――――
【唸り声より少し大きく金属質な音が響いた】
【聞き覚えの有る声がする】
【いつも陽気な彼の声】
【いつも笑ってる彼の声】
【だがこの時だけは違った】
【冷たい声だった】
【しかしこの声を聞ける者はその場にいない】
【いや、この声を発した彼。黒い甲冑を着たゲイル本人と倒れた人々のリーダー格の人間だけは聞く事が出来た】
【何故ならこの2人以外は皆一様に両の耳から血を流し、音を聞き取れないからだ】
「ぐっ・・・・」
【うつ伏せに倒れたリーダー格の男が苦痛を堪えつつ目の前に落ちたクナイへ手を伸ばすが・・・】
グシャッ―――――
【その手がクナイへ届く直前、ゲイルの足が手を踏みつぶした】
「あ゙ッ・・・がぁ・・・・」
【男の手をゲイルが踏み躙る】
【踏み躙る足に力が籠る】
【ゲイルの顔に笑みは無く、恨みと怒りの念だけが有る】
「滅びた・・・・乱波如きが・・・ぐっ」
【その言葉と同時に今まで男の手を踏んでいたゲイルの足が男の顎へ向けて跳ね上がる】
【男は2回ほど地面を転がり地面に倒れ伏す】
滅びた・・・?はっはは・・・・
【ゲイルが男へ歩み寄り。男の襟首を掴んで、自身の眼前へ引き寄せる】
お前等が滅ぼしたんだろ?お前等が・・・・
【ギラリと殺意の籠った眼で男を睨みつける】
【男は何故か息が出来ない いや、息を吐き続ける事しかできない】
【男の顔は見る見るうちに蒼くなって行き・・・】
ふんっ・・・・
【ゲイルが男を手放す】
「か・・・ひゅっ・・・」
【それと同時に男は息を大きく吸えた】
次にお前等・・・火、水、土の3つの誰かが来たら・・・・殺す
【ゲイルはそれだけ言い残して金属質な足音と共に倉庫の外へ出た】
あ~・・・
【ゲイルが暗い目のまま倉庫の外で思いっきり息を吸う】
【日は傾き、辺りは朱く染まっている】
嫌な事・・・思い出したなぁ・・・・
【空を仰ぎ目を細める。何を想っているのかは本人にしか分からない】
【ただ・・・何処か悲しそうだった】
【最後に自虐的な笑みを浮かべて頬を両手で打ち】
【其処に暗い顔は無くなった】
【いつも通りのヘラヘラした笑みを浮かべた彼の顔】
あの日から皆救うって決めたんさ~
俺が・・・・救われる訳にはいかんのさ
【いつも通り、ヘラヘラ笑う】
【その笑みを絶やさず彼は家族に、友に、愛しき人と過ごす】
【自分が誰かを救う立場で在る為に】
【自分が救われない立場で在る為に】
最終更新:2009年03月25日 15:41