――暗い。
(光なんて、射さないよ。オマエは墜ちたんだから)
――痛い。
(オマエに■された人は、もっと痛かったんだよ)
――哀しい。
(よく言えたな、全ては救えなかったオマエの咎なのに)
――嫌だ。
(壊す事しか出来ない自分が……だろ、そうだよな?)
――――もう、終わらせても、良いのかな。
(ああ、ご勝手にどうぞ。オマエに■された人も、救えなかった人も、きっとソレを望んでるよ)
――――――――――――――――
目覚めると、暗闇の中だった。
それなのに、何故か自分だけがはっきりと見える。
「何だ、起きたのか。良いよ……何度だって壊してやる」
目の前には自分と全く同じ声、容貌のダレカ。
ソイツは、口許を歪めて……そう、ちょうど俺の持っている鎌の刃のように歪めて、喋り出した。
「なあ、オマエは何故救おうとする?」
死なせたくないから。
「あはははははははははははははははは……」
ソイツは笑い出した、腹を抱えて、虚な声で。
可笑しそうに、冒しそうに、侵しそうに、犯しそうに、オカシソウニ
「馬鹿だな、ホント滑稽だよ。オマエが救おうとするから死ぬんだ。全てオマエのせいなんだ。オマエには壊す事しか出来ない」
「いい加減解れよ、オマエが消えれば皆幸せなんだ。取り零す事も無くなる。『大切な人』も『死なせたくなかった人』も、オマエさえ居なければ助かったんだ」
「そうだろ?転移先の世界で死人が出た時、死因に、オマエが関わってなかった事が有ったか?側に居なかった事が有ったか?」
「オマエは何時でも現れる。死なせたくないなんて甘い事を考えながら、自身の存在が死神みたいなモンだとも知らず」
「死神の二つ名は、親父よりオマエの方が絶対似合うよ。保証する」
何故か、俺はすんなりとその言葉を受け入れた。
少なからず、そういう事を思っていたからかもしれない。
多分ソイツは俺で在って、俺以外の何者でも無い。
そう…………神様や、裁きや、他人からは逃げられても、自分からは決して逃げられない。
その言の葉は文字通り刃になって、何度も何度も俺を切り苛んだ。
「コレは殺された人の分」
「コレは救えなかった人の分」
「コレはその人達の……」
大切な人の分、だよな。分かってるよ……だって他の誰よりも、オマエは俺自身だから。
視界が朱く染まる。熱いけど冷たい。
きっと温かな血が、その熱が、身体から噴き出して、抜け出して、また身体に降り注ぐからだろう。
消えゆく世界の中で俺は見た。大切な人達が、背中を任せた親友が、俺を息子と呼んでくれた人が、たった一人の相棒が、恩人が、守りたい人が、そして一番好きな人が。「俺」のせいで■ぬ姿を。救えずに掌を延ばす自分を。
何度も何度も何度も何度も何度モ何ドもなんどもナんどもナんどモナんドモなンドもなんドもナンドモ。
「救えない、掬えない、済えない。オマエには誰ひとりすくえない。あわれな道化」
そ…………だな。俺………は………
「さよなら、道化師」
ソイツは道化の仮面を、虚な笑いを張り付けて近付いた。
そして左胸から血が溢れて、背中から刃が生えて
………俺が最期に見た景色は、瞼の裏に広がった、愛する人の笑顔だった。
……………。。…………。……………。………………………………。………………………
『――――――――』
誰、だよ。俺の目を醒ますのは。死人を蘇らせたのは。
『――――ユグドラシルユニット――――参加――――』
目、開く………なんで、生きて……俺、だけが……………
「何故…………だ?」
最終更新:2009年03月25日 15:42