アットウィキロゴ
「・・・・・・」

「はぁ・・・はぁ・・・」

おいおいおい、これは悪い夢か?
夢なら早く覚めてくれよ
こんな悪夢、見たかねぇ
どうして・・・どうして

「どうしてお前が・・・」

何でだよ

「死ね」

何でだ

「何でだよ!どっく――」

その瞬間、俺の体を爪が貫いていた


===========================================

「あーあ、天気予報外れちまったか」

店から出たら土砂降りの雨、傘なんか持ってねえ
仕方ないから濡れて帰る事にした
当然髪も服もびしょびしょになる
折角キメて来たってのに台なしだ

「ツイてねーな、おい」

悪態を付きながらさっさと家に帰ろうと走る
その時、そいつが現れた

「・・・・・・」

目の前に黒い靄が湧いたかと思うとその靄からでてきたそいつ
真っ黒のローブをすっぽり被ったそいつは無言で俺を睨み付けてくる
正に不気味と言う他無かった

「・・・何だ?俺は今急いでるんだ、サインなら後にしてくれ」

ちょっとした冗談を交えて言葉をかける俺
いかした男ってのはジョークが好きだって昔誰かに聞いた気がする
と、そんな事を考えてると奴が動いた

「・・・・・・」

「・・・ファンって訳じゃ・・・なさそうだな」

剣を構える奴、どう見てもやる気だ
勿論俺だって素直にやられはしない、背負ってるケースからギターを出し構える
豪雨の中睨み合う二人
雨粒が顔に当たり頬を伝う

「・・・!!」

先に動いたのは奴だった



剣を逆手持ちにし、振り上げるようにして切り掛かる
だがそんな単調な攻撃

「甘いぜ」

ギターで簡単に止める
そのまま電気を蓄え

「くらいな!!」

ギターから放電
これだけ至近距離だ、無事じゃすまない

「・・・・・・」

と思ったがすぐにその考えは消した
奴は電気を直に流されながらも平然としている
その光景に俺が怯んだ瞬間――

「ぶっ!!」

奴の左フックが決まり、俺は後ろに吹っ飛んでいた

「・・・・・・」

奴が今度は魔法陣を展開する
何かやろうとしてるのは一目瞭然だ

「さ・・・せるかよっ!!」
何をしようとしてるか知らねえがやらせる訳にはいかない
電気を一点に集め放電する
威力が集中してるだけに奴も平気ではいられない
電気が奴の腹を貫き、奴がのけ反った

「よし・・・!」

だが、甘かった

「・・・デスハンド!」

俺の真下に魔法陣が展開
魔法陣から細い腕が伸び、俺を拘束する
腕の力は意外と強く、俺はまったく動けなくなる

「く・・・そっ!!」

その様子を見てゆっくり近付いてくる奴
そして剣を振り上げ

「さよならだ」

俺の頭目掛けて振り下ろす
そして俺は――


「まださよならはしねぇぜ?」

拘束されたまま放電した
それも生半可な威力なんかじゃない、範囲を狭く強く絞り電力を上げる

「クッ・・・!」

流石に奴も怯み、腕も俺から離れる
その隙を見逃しはしなかった

「今までの分、一括払いで返すぜ!!」

右腕に電流を纏わせ、顔面を殴ると同時に放電
その威力に、奴は大きく吹っ飛んだ

「これで・・・どうだよ・・・?」

俺は立ち上がり、倒れた奴を見詰める
しかしこんなので終わるかと思えばそうでもない
奴はすぐに立ち上がった
何か変わった所があるとすれば、さっきのパンチでフードが吹っ飛び素顔が見えている事
だがその素顔を見た瞬間、俺の思考は停止した

「な・・・!おい・・・お前・・・」

「・・・・・・」

俺は何が何だか解らなくなった
何故なら奴は、奴の顔は

「お前・・・どっくん・・・!?」

よく見知った顔
それも大切な大切な、親友の顔だったからだ

「どうして・・・どうしてお前が・・・」

「死ね」

俺の問いに答えようともせず、奴は黒い爪を構える

「何でだよ!どっく―――」

次の瞬間、爪が俺の体を貫いていた
流れ出す血、赤くそまる黒い爪
そして奴は爪を俺から引き抜き、俺は地に伏せた

「これにて終局、だな」

奴は俺の頭を踏み、青白く光る右腕を俺の体に突き刺した

「――だからまだ終わらねえって言ってんだろ」

瞬間、俺の姿が掻き消えた
俺の能力、もう一人の自分を作りだし、いつの間にか入れ代わる

「・・・ほう、面白い」

奴の口が三日月の様にニヤリと歪み、より一層不気味な雰囲気を作り出す


ここで普通なら第二ラウンドと行く訳だが

「くそ・・・!」

生憎俺にそんな元気は無く、逃走を選んだ
電気の力を借り、雷の速さで移動する技で逃げる
反応できないのか追う気が無いのか、奴は追っては来なかった


「ッ・・・!はぁ・・・!!」

家の鍵を開け、中になだれ込み鍵を閉める
体がびしょびしょなのも気にせずベッドに倒れ込んだ
そしてすぐ、眠気と疲れがどっと襲ってくる

眠りに落ちる前、いろんなことが気になった
なんであいつはどっくんと同じ顔なのか
何故俺は襲われたのか
それよりももうこの服は使い物にならないなとか
明日は新しい服でも買いに行くかとか
そんなことを考えてる内に俺は眠っていた

もうあんな悪夢みたいな体験は御免だ
雨が窓を叩く音だけが部屋を包んでいた


――終――

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年03月27日 00:39