※痛々しい表現等が多い為、閲覧注意です・・・


【無い筈の右腕の痛みにうなされ、私は夢を見ていた】
【1人の少年が居る・・・ソレは紛れもなく私自身・・・・】
【6年前】
【1つの依頼が有った】
【堅正師匠に助けられ、1人で生きると言ったあの頃】
【佐竹と言う呪術を生業とする家での事】
【目の前に横たわる長い黒髪の女の子】
【あの頃の私と同じくらいの背丈をした金の眼を持つ女の子】
【その子をただの肉塊へと変えたのも私―――】

【その子の両手足を】
【掌を。前腕を。上腕を。足を。両脛を。両太腿を。左右の脇腹を。左右の胸を。両肩。喉を。眉間を。】
【貫いたのは紛れもない私の刃・・・】

【ズグリと心が痛んだ】
【その子――その肉塊――の二つの金の眼が私を捉えている】
【割り切れ】
【割り切れ。今この子を■さなければ、より多くの被害者が出たのだと】
【割り切れ。人は決して他人を救えず。■す事でしか止めれないのだと】
【割り切れ。たった1つの犠牲でより多くの犠牲を無くせたと】
【私は正しい事をしたんだと!】

【何故私が罪を感じる必要があった。この子を■さなければもっと多くの悲しみが訪れるのに】
【この子は倒すべき「悪」だったはずだ】
【存在自体が許されない「悪」なんだ】
【そうなんだろう?私は間違って無いんだろう?】
【涙を堪えて「悪」とされたものを見ている】

【当然。答えは無い】
【それが非常に悔しく思えた】
【少女の綺麗な金の右目は流れた血で赤く染まり】
【少女の赤い目は私の紅い目を映していた】

僕は・・・正しいんだ・・・・
【そう想おう】
【私がやらなくてもこの子はきっと倒された】
僕は・・・悪くない・・・・・
【そう想うんだ】
【この子が倒されるのは必然だったと】

悪くないんだ・・・
【ああ、そうだ】
【悪くないはずなんだ】
【悪くないはずなのに・・・】

「どうしてこんなに悲しいんだ」
【どうしてこんなに苦しいんだ】

【ここで私は眼が覚めた】
【無い筈の右腕は確かにあの子を貫いた感触を思い出していた】


―――――閉

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最終更新:2009年04月01日 17:40