まず始めに断っておくが、そもそも俺は日記なんて書きたくないんだ。これまでも書かないようにしてきた。こういう風に残した記録の中に、無意識の内に重要な事を書き残してしまい、万が一にもこれが見られたらと考えてしまうからだ。はたして、これも職業病なのだろうか?
じゃあ、なぜ書いているのかと聞きたくなった奴もいるのではないか?これは、クリスから半ば強制的に書かされているからだ。理由を尋ねても「理由は教えられない」の一点張りで答えてくれなかった。しかも、初めにこのように書けとも言われた。俺だけしか見る事は出来ないんじゃないか?この疑問も、やはり先の言葉と同等の言葉を使われてまさに「暖簾に腕押し」の状態だ。
さて、今回の世界、俺はもともと呼ばれていなかった。じゃあ、なぜこの世界に居たのか。それは、クリスに呼ばれたからだ。「今回は、シングの力が必要だからね。僕は動く事が出来ないから。」と言われたからな。理由は来てから少し経ってから分かった。街中から怪しい気配が漂ってきたからだ。それは、龍使いによるものだった。
俺はまず、そいつが呼び出した龍(後で調べたらバジリスクという種類らしい)の群れと戦い、そしてその龍使い本人とも戦った。そいつの言葉を聞くに、そいつ自身も龍らしい。早い内に『捏造』で『俺自身』を造ってなければあんな戦い方は出来なかっただろうな。
そいつ、というより能力者の中にはありえない強さを持つ奴らがいる。生身の身体だと絶対に危険だ。だから俺はこの能力を使う。たとえそれが、俺の存在が否定されるギリギリのラインを低空飛行することになろうとも、な。
『捏造』という能力の危険性、「既に在るモノで唯一の存在であるモノは、捏造品が本物となった際、同空間内に二つの本物が存在する事となり、世界はその双方を受け入れる事が出来ない。そのどちらかが否定される。」。
で、まあ、その戦闘から離脱した後、当然のように俺は動けなくなった訳だが。捏造品の身体が受けたダメージは一部を除き本体へも流れる。精神を繋げている時限定だが、そうなる。「カタチ無きモノの捏造」は、今の俺にはまだ難しすぎるし、絶対に精神を繋げないといけないのだが。と、話が逸れ出したし、ここで切るか。
そういえば、それから数日後だな。ある程度、身体が動くようになって街をぶらついていたら商店街で出会った奴がいたな。本当に、よく分かんない奴だった。周りの一般人連中はあいつを気にしてる様子は無かったし。あいつの周りの空間だけが切り取られたような感じだった。
おっとりと言うか、天然と言うか、我が強いと言うか。ただ確信したのは、あいつを怒らせるのは危険だと言う事だな。あの黒い何かは、危険すぎると俺の中でアラートが鳴り響いていた。うん、次に会ったら絶対に気を付けようと思う。能力者だろうし、いつかまた会うだろうからな。
しかし、よく真論達には俺が同じ世界に居るって事がばれないように出来たよな。マジでクリスは凄ぇぜ・・・
――Shing_Miyama XXXX.X.XX
【この日記は、彼のブレスレットの中より繋がる空間に納められる事となる】
【彼以外にはこのブレスレットの作製者を除いて誰にも取り出す事は出来ない、というのが理由だかららしい】
最終更新:2009年05月19日 00:22