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或る晴れた日のこと。
――世界は、崩壊しかけていた。


  ――Weiβ Schwarz 特別編――


白髪の天使は、呆然と世界の壊れゆく様を見つめていた。
視線の先には、真っ黒い体をした、東京タワーよりも大きな『巨人』。
巨人は暴れまわり、ビル街を瓦礫の山に変えていた。

天使は、考える。
――なんだあれは。
止められる?――無理に決まっている。
ならば、どうすればいい。
一体あれは、あの破壊を振り撒くデカブツはなんなんだ――

「ニンゲンたちの、負の感情が具現化して、成長したもの。いやー、あそこまで成長するなんて、誰が想像しただろうね。
 ……ちなみに、わたしはアレを『ピリオド』って名付けたよ。『終末』、相応しいでしょ?」

背後から響く少女の声。振り返る。
そこには、緋色に光る箒に乗って飛行する、顔見知りの魔女の姿があった。

「……サタナキア」
「やだ、ウィッチと呼んでよ」
「……じゃあウィッチ」
「なにー?」
「……お前は、アレをどうしようと思う」
「ピリオド? うーんとね、世界壊されるのは面白くないから、止めたい。けど一人じゃまず無理」
「……だろうな。悪魔と思考が合うなんて、気味悪ぃ」
「失礼ねっ」

視線も合わせず会話する二人。
『ピリオド』はそんな二人の意図に気が付いたのか、二人の方を向き、口をがぱり、と開ける。
開いた口には、巨大な巨大なエネルギーの塊がぎゅんぎゅんと音を立てて出来上がりつつある。

「……げ」
「あれ、わたしたちに撃つつもりだよね、絶対。困ったなあ、絶技で止められる自信がない」

青ざめる二人。

「……ち、しょうがねぇ」

天使は翼をはためかせ、魔女に向き直る。

「……手伝ってやる。『英雄の盾』、あれなら俺も詠える」
「えー、それわたしの手が爛れちゃうんだけど」
「……それしかない。我慢しろ」
「しょーがない、ねっ」

魔女はんー、と伸びをして、『ピリオド』に視線を合わせた。

「詠い間違えないでよ?」
「……見くびるな」

魔女は緋色の魔力を纏った左手を上げる。
天使はその手に合わせて、蒼色の魔力を纏った剣を掲げた。

「夜の僕、金眼の魔女たる我は、聖なる英雄に冀う」
       「光の使者、銀眼の天使たる我は、同じく聖なる英雄に望みを告げる」
   「「我は護る、この背に在るかけがえのない宝を」」
   「「どうか、穢れたこの手に一時の力を、護り抜く勇気を」」

『ピリオド』は一瞬だけ仰け反り――

   「「――完成せよ、」」

――エネルギーの塊、巨大な光線を発射する!!

   「「絶技『英雄の盾』!!」」

同時に二人の先に出来上がる、光の盾。
光線と盾はぶつかり合い――

「……はあっ、はあっ……」
「……はーっ、イタタタタタ……」

両方とも、消え失せた。

息を荒げる二人。
しかし、『ピリオド』は――

「……おいおいおい」
「え゙ぇー!!? また撃つのー!!?」

次の光線を、口に溜め始めていた。

「……どうする、また詠うか……」
「無限ループって怖くね?」
「……ですよねー」

二人はがっくりと肩を落とす。二人とも疲れていて、おまけに魔女の左腕は聖魔法を使った代償として焼け爛れていた。

「絶体絶命、ってやつ?」
「……認めたくないがな」
「うわー、どうしよどうしよどうしよ……あ!!」
「……なんだよ」

魔女は何かを思い付いたらしい。ニヤリと笑っている。
天使は呆れ顔で魔女を見た。

「――あのね、受け止めるんじゃなくて、『ブチ抜』けばいいんじゃないかなっ」
「……あ?」

意味が分からない。天使は首を傾げた。

「だからー、盾使って護るより、こっちから攻撃して光線ごと『ピリオド』の体を『ブチ抜く』ほうがいいんじゃないかなっ、て思って」
「……狂ってやがる……」
「でも無限ループよりマシでしょ?」
「……そんな魔法の詠唱、知らねえぞ」
「わたしも知らなーい」
「は」

天使は目を点にした。

「テキトーに詠うんだよ、即興で。大丈夫、なんとかなるなる!」
「……マジ狂ってる……」
「でも、やらなきゃ壊れちゃうよ? わたしたちも、世界も」
「…………」

天使は、後ろの世界を見渡す。
壊したく、なかった。

「……しゃーねえな」

天使は再び剣を構えた。

「……今日だけは、お前の狂った案に乗ってやる。今日だけだからな、クソ悪魔」
「やだツンデレ?」
「……殺すぞ」

敵同士でも、心は一緒。
そんな二人は、何も恐れることなく『ピリオド』に向き直った。

二人は横に並び――固く手を握り合う。

「――夜の僕、金眼の魔女たる我は、闇を切り裂く蒼の光の使者に冀う」
       「――光の使者、銀眼の天使たる我は、緋色の夜に唄う少女の貌をした山羊に望みを告げる」

   「「我は生きる、廃れながらも美しく輝くこの世界で」」
   「「我は憎む、世界を滅ぼす終末を」」

二人の体を、緋色/蒼色の光が包む。
光は混ざり合い、朝焼けの紫色を創り出した。

   「「我は、我等は、ブチ抜く」」
   「「どれだけ巨大な終末であろうとも、知ったこっちゃない」」

それは、どうしようもなく滅茶苦茶な詠唱だった。
しかし、光は強く強くなっていく。

   「「我等はブチ抜く、世界の終末を、眼前の敵を!!」」

『ピリオド』が光線を撃つ。
二人は繋いだ手を、もう一度握りしめ――

   「「完成せよ――」」

眼前に迫る光線。しかし、二人は恐れることはない。
紫の輝きは、強く強く強く強く強く――


   「「絶技『紫 燗 特 攻』!!!」」


――そして、光はぶつかり合う。
紫の輝きは光線をブチ抜き、そして終末へと迫り――――






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映画「Weiβ Schwarz――紫燗特攻」
XXXX年8月、全国ロードショー!!


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「っていう脚本書いたんだけど、ヴァイスちゃん出「……ねぇよバカ」……ですよねー」

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最終更新:2009年07月01日 15:17