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とある所に小さな村がありました
その村は活気に溢れており、とても平和でした
ですが一つだけ問題があります
山に【災厄の箱】と呼ばれる物が突然現れ、中から怪物が出て来るのです
怪物は村の近くの山に住み着き、村人や家畜を度々襲いました
村人は困り果て、遂にはいけにえを捧げる事が決まりました
最初のいけにえには若い綺麗な少女が選ばれました
村人達がさあ少女を捧げようとしたその時、一人の旅人が言いました
「俺が怪物を退治してやろう」
村人達は皆「馬鹿な事を言うな」「いくらなんでも無茶だ」と口々に言いました
ですが旅人の決心は代わりません、いけにえの少女の頭を撫で、三日で帰ると言い残し山へ向かいました


山には怪物が沢山いましたが、旅人はすべて退け、遂に【災厄の箱】まで辿り着きました
そこには巨大な箱があり、隣にボロ布を着た一人の老人がいました
老人は言いました「この箱は幾つもの怪物の怨念、魂、野心が詰まった箱」
「この箱を扱うのは並大抵の人間では無理よ」
「だがしかし、もしこの箱の試練を乗り越え、物に出来たなら」
「その箱は主の敵を切り裂く剣となり、主を護る盾となり、主の野心を解き放つ鍵となろう」
旅人はそれを聞き、箱の試練を受ける事にしました
旅人は箱の中に入り、目を閉じます
幾つもの怪物の雄叫び、悲鳴、笑い声が聞こえます
それに伴い、怪物達が旅人を切り裂き、噛み付き、叩き潰してきました
すべては幻なのに痛みも声も感覚がすべて伝わってきます
すべてが終わるのは一晩後、なのに旅人には一年にも感じられました


旅人が試練を終えると老人は消え、そこには箱だけがありました
旅人が箱に触れると、箱は形を変え、棺桶のような形になりました
旅人は棺桶についていた鎖を引き、山を下ります
途中、旅人はおかしな事に気付きます
来るときはあれ程いた怪物が一匹もいません
旅人は嫌な予感がして、急いで山を下ります
その頃、村では大変な騒ぎでした
山にいた大量の怪物が一斉に村を襲ったのです
村人は恐怖し、逃げ惑います
村がパニックになる中、一人の少女が怪物の前に歩み寄りました
そう、いけにえの少女です
少女は自分をいけにえにする代わりに、村を助けてほしいといいました
もちろん怪物はそんな事も知らず、少女を食べようとします
少女の目前にまで怪物の口がせまり、少女は目を固く閉じました


しかしいくら待っても食べられる様子は無く、少女は目を開けました
そこにはあの旅人がおり、怪物は倒れ伏していました
旅人は少女に「逃げろ」と言い、怪物の群れに目を向けます
その言葉で少女は我に返り、そこから脱兎の如く逃げ出しました
旅人は少女が逃げたのを見て怪物の群れへ突っ込みました
四方八方から襲い来る怪物を棺桶を振り回し撃退し、巨大な怪物でさえ棺桶の一撃で叩き伏せました

しかしそう上手くも行きません、体がゴムのように固く、いくら棺桶を叩き付けても弾かれてしまいます
しかし旅人は慌てません、棺桶を引き寄せ鎖を握ると棺桶が形を変え、身の丈程もある剣へと変わりました
普通なら大人でさえ両手で持つのがやっとであろうその剣を旅人は片手で軽々持ち上げ、振り回します
怪物の皮膚は簡単に切り裂かれ、怪物が痛みに怯んだ好きに首を落とされました


旅人は尚も剣で怪物を切り続けます
すると今度は大木のように太い腕を持った怪物が現れました
怪物は旅人へ拳を振り下ろしました
旅人は拳をかわそうとせず、拳は地面を砕き辺りは砂埃に包まれます
しかし旅人は拳に潰されておらず、体をすべて隠すような大盾で防いでいました
そして旅人が盾で拳を弾き、怪物がバランスを崩した瞬間、怪物の頭は盾で殴られ凹んでしまいました
旅人は次々と怪物を薙ぎ倒します、このまま怪物をすべて退治しそうな勢いです
でもそう上手くは行かず、また大量の怪物が押し寄せて来ます
その先頭を切って飛んでいるのは巨大なドラゴンでした

ドラゴンは旅人へ向け炎を吐きかけます
旅人はすかさず盾で防ぎますがこのままだとじわじわと体力を消耗し、負けてしまいます
旅人は一旦後ろへ引き、盾をドラゴンへと向けます
すると盾は形を変え、大砲のような形を象ります
旅人が大砲をドラゴンへ向けると、大砲は獣の唸り声のような音を発します
そして旅人は引き金を引き、ドラゴンでさえ怖じけづくような雄叫びを上げ黒の炎が放たれました
黒の炎はドラゴンの炎を飲み込み、遂にドラゴンをも包み込み燃やし尽くします
ドラゴンが炎に包まれて地に落ち、怪物は怖じけづき動きが止まります
それを見て旅人は大砲を棺桶に戻し、脇に立てます
すると棺桶が開き、中から伸びた腕が旅人を中へ引きずり込みました
棺桶の中からは魔力が溢れ、獣の唸り声が響きます
そして棺桶が開き、中から野獣の爪と鋭い眼光が覗き
その時――。村には一つの狼の遠吠えが響きました


次の日村人が村へ帰ると、目に移ったのは信じられない光景でした
そこらじゅう怪物の死体だらけ、その殆どに他のどの怪物の物でもない爪痕や歯型がついていました
村人は皆神が村を救って下さったと言いました
しかしそこで少女が言いました「違うわ!きっとあの旅人さんが村を救ってくれたのよ!」
その言葉を聞き、村人は旅人を村中探しました
しかしいくら探しても旅人はいません
もう旅人は死んでしまったのでは…皆がそう思ったその時です
一人の村人がある物を見つけました
それは、旅人が着ていた服についていた金色のボタンでした
その村では未だにその旅人を英雄と崇め、訪ねてくる旅人には皆優しくすると言います

~終わり~

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最終更新:2009年07月01日 15:18