【眼前に広がる廃れた町並み、私は此処を知っている】
【通り慣れた道を歩く】
【いや、慣れていたと言うべきか】
【既に此処は廃墟、家も人すら焼かれた死の町】
【瓦礫が点在し歩くのも多少骨が折れる】
だが
【止まれない】
【この眼で視るまでは】
私達の、産まれた場所を・・・・・
【更に進む】
【この先を曲がれば――――】
……はっ
【思わず笑いが漏れた】
これが、私の仕えていた国の姿か
【眼前に有るのは広い庭だった場所と城だったモノ】
【そうだ】
【憶えているだろう】
【あの――】
【燃える城と死にゆく我が主の微笑みを】
すまない、皆・・・・・
【今の私にできる事は祈る事だけ】
【ただ、この国の為に散った人々の魂を背負う事だけ】
【どれ位の時間黙祷を捧げたろう】
【気付けば】
すまない。主殿・・・
【私は泣いていた】
「・・・なーに泣いてんのよ。源」
【突然後ろから声をかけられた】
【慌てて振り向くと其処には】
「帰りましょう。私達の帰る場所はもう此処じゃ無いんだから」
【夕日を背負った彼女が居た】
了解しました
【彼女こそ・・・・】
泉・・いえ・・・・・
主殿。
【私が失った筈の者だった】
【不思議と、涙は止まっていた】
―――――――――――――――――――――閉
最終更新:2009年07月18日 00:09