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とある世界
この世界では二つの勢力による戦争が絶ず行われている
二つの勢力の内、片方(ここでは甲と呼ぶ事にする)の勢力が新兵器を開発、もう片方(乙)の勢力を叙情に追いやっていった
そして甲は乙に止めを刺すべく、とある能力者を雇った
――甲の簡易基地
いくつかのテントが張られ、兵士がその中で銃の手入れや雑談をしている
そんな休戦の一時を過ごす基地の中を、急に張り詰めた空気が支配した
軍服を来た顔に髭を蓄える小太りの男、その男が基地の真ん中を歩くと兵士は直立し敬礼をする
その小太りの男の後ろを髪の長い女が歩き、周りを軽く見渡している
そして男と女が通り過ぎると、兵士達はやれやれと元やっていた事を再開した
A「…指揮官が連れてたあの女、誰だ?」
四人の兵士が木箱を囲みトランプで賭け事をしている
その中の一人の兵士がカードを配りながら疑問を口にする
B「さあな、捕虜かなんかじゃねぇの?」
向かいに座るもう一人の兵士がカードを受け取りながら話す
Aそれにしちゃ綺麗すぎねぇか?」
C「あの女と目があったぜ、目茶苦茶綺麗だった、多分愛人かなんかだな」
スペードから見て右側に座るもう一人の兵士がカードを配られる様を目で追っている
D「お前等しらねえのか?あいつレイル・ソルバルだぜ」
手札を並べ替えながら口を開く兵士の言葉に、他の兵士は目を丸くした


A「おいおいマジかよ?」
B「名前くらいは知ってるが…まさかあいつが…?」
C「あんな綺麗な女だったのか…」
その言葉に三人の兵士が様々な反応をする
D「俺の記憶違いでなきゃ、あいつはレイルだ、それ相応の金さえ積めば何でもやる傭兵…レイル・ソルバル」
そう言いながら、兵士は煙草をくわえ火を着ける
D「悪魔のような契約で、英雄のような強さを誇り、勝利をもたらす…ってな」
B「って事は…ついに畳み掛ける気か…」
C「まったく、獅子は兎を狩るのも本気たぁよく言ったもんだぜ」
手札を交換しながら、兵士達はハハ、と笑った
D「…しかし、あいつにはよくない噂もあるからな」
一人の兵士がコインを木箱に起きながら言った
A「それは俺も知ってる、ていうかよくない噂だらけだ」
こちらの兵士は更に二枚コインを置く
B「なんだそれ、聞きてえぞ」
札を木箱にダン!とたたき付けながら言う
C「あー…んじゃ俺が一つ」
ノーペアの手札を投げた兵士が言葉を続ける
C「昔あいつを敵地のド真ん中に落っことした軍隊がいたって話だ」
B「そりゃひでえ話だな」
C「そしたらどうなったと思う?敵の数は千を超えてたってのに帰ってきたんだぜ?無傷で」
D「…それが本当なら化け物だな」
最初にコインを置いた兵士が言いながら更に一枚札を置いた


A「んじゃ、次は俺だな」
コインを二枚置いた兵士が二枚札を置く
A「あいつ、レイル・ソルバルが隊の一番前に出る、そしたらどんな隊列でも即座に隊全体がそいつを残して後ろに下がるんだ、何故かわかるか?」
兵士は軽く笑いながら続ける
A「下がらねえと味方の隊も巻き込まれて、そこにいる人間すべてがやられるからなんだってよ」
その話を聞いて、周りの兵士はあまりの馬鹿馬鹿しさに一斉に笑った
B「ははははは!!そんな馬鹿みてぇな話あるわけねぇだろ!」
A「だよなぁ!?流石にそりゃねえよなぁ!?」
笑いの中、最初にコインを置いた兵士が口を開いた
D「じゃ、次は俺か…」
B「おう、なんだなんだ」
D「…あいつがついた側の勢力はな…どれだけ勝っていたとしても…最終的に負けちまうんだそうだ」
その話を聞いた瞬間、その場の空気は凍り付いた
A「…おいおい、洒落になんねぇ事言うなよ…」
D「ま、噂だ噂、所詮はな」
言いながら兵士は笑う
C「その噂が本当じゃなかったらいいがな」
ツーペアのカードを出しながら兵士が言う
A「ま、なんであれあいつがいるとあっちゃ俺達の勝ちは見えたってこった」
そう言いながら兵士がフルハウスの手札を出す
D「…そうなるといいがな」
そして残った兵士が手札を出そうとした時
「こんな所で人の噂話かい?楽しそうだねぇ?」
噂をしたら影がさした


C「ひ、ひいいいぃぃ!!これはこれは!失礼しました!!」
B「す、すすすすすいません!!」
突如現れた彼女に兵士達は驚き、それでもぴしっと直立して敬礼をする
「いやぁ、いいよいいよー、噂になるってのはそれだけ有名って事だからねー♪」
「それに敬語なんかいらないって、私もあんた達と同じ兵隊だからさー♪」
彼女、レイルは気さくに笑いながら話す
まるでちょっと近くに買い物しにきたような、そんな軽々しさだった
「いやぁ、ちょっと何してるか気になっただけでさー、特に用はないよー」
B「そ、そうでありますか…」
「ま、噂話も程々にね、じゃあねー♪」
そんな軽い声と動作でレイルは去って行った
D「なんだったんだ…?」
C「さあ…な…?」
兵士達はポカンと口を開けその様子を見送った
A「…ま、何はともあれ金は貰うぜ」
フルハウスを出した兵士が金を取ろうとした時、手札を出しそびれた兵士が木箱に手札を投げた
その手札を見た他の兵士は目を丸くした
D「ロイヤルストレートフラッシュ…俺の勝ちだな」


――乙領土内
荒れ地の中を一台のバイクが走っている
そのバイクが急に動きを止め、ドライバーが後ろを振り向く
「さーて…これくらいでいいかな…」
ドライバー――レイルが懐から取り出したスイッチを押す
すると少し時間を置いてレイルが走って来た方向――甲の基地があった辺りから爆炎が上がった
その様子を見てレイルは通信機を取り出し、何者かと通話する
「あー、あー、任務完了、一つ基地潰したよー」
『ご苦労、一旦こちらに帰って来てくれ、その分の金額を払おう』
「はいはーい、一つにつき150ってこと忘れないでねー」
『解っている、期待しておけ』
それだけの通話を交わし、通信は切れた
「さーてと…んじゃあ一旦帰りますか」
レイルはバイクのアクセルを全開にし、戦場の真ん中を突っ走る
今、ただの噂が真実となろうとしていた




『傭兵が金を荒稼ぎする方法』
『負けてる方は必死なので、謝礼金に期待ができる!』

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最終更新:2009年08月23日 12:19