恐怖。
俺はそれを、データでしか理解した事は無い
――だが、今になって思えば
ホヤホヤした笑顔を浮かべる彼女や、奴や榊が何度撃ち抜いても倒れずに近付いてくる長髪のアンデッドにうっすらと抱いた感覚も
多分、それだったのだろうだと思う。
そして、もう一つ
――近付いてくる光の人影を見つめて、マスターが浮かべた涙
それが俺が初めて感じた、明確な恐怖だ。
恐怖。
ボクにとってのそれは、きっと守られる事だろうと、そう思う。
思えば、ボクを守ろうとする人は――その行動を起こす理由が親愛、成り行き、好意という相違こそ有れ、皆一様に何処か危なげだ。
…例えば、牙を剥き出しにして迫る、何処かの組織の実験体とボクとの間に立ち塞がる、無能力者の兄さん
…例えば、組織に追われている所に通り掛かり
それを見兼ねて助けてくれた、黒衣と大鎌がトレードマークのお人よし
…例えば、二度の激闘の末に鼠の王国で結ばれた、愛しいボクの戦闘狂
一人目…兄さんの死という結果が有ったからか。いや、きっとそうでは無いだろうね
ボクの目から見たら二人とも儚げで、ふとした拍子に消えてしまいそうに見える。
まあクランはボクを守り通してオマケにその組織まで潰滅せしめた訳だし、ゼノは終止あんな感じだから危なっかしい事は日常茶飯事でその内慣れてしまいそうだけど…
……だけど時々、不安になる。気にしすぎだって、自分でも解ってるけどね。
親友兼便利屋さん、恋人、どちらも失いたくはない。特に後者。
だから。どうかお願い、我が儘かもしれないけれど……ボクの事を守るのは程々にして、自分自身もちゃんと守ってね?
恐怖。
私にとってそれは、飲み下す対象に外ならぬ。
あらゆる物を、その鎌を用いて引き裂き平らげてきた私にも、守るべき物は多々有る
そうした物を守る為に、私は今日も恐怖を飲み下して戦場を往くのだ。
――さあ、死神の凱旋だ。道を開けろ…
そして抗う者共よ、その身を以て知るが良い。カノッサに、正騎士隊に、私の同胞に刃を向けたその意味を
脅えろ、慄け、叫べ、跪け、憎め、怨め、希え、そして絶望しろ。
――――私が、恐怖だ。
おまけ
恐怖。
思えば俺は、それを感じてばかりだ。
大切な人々を失う事に恐怖し、命を失う事――ひいてはそれらを守れなくなる事に恐怖し、好きな奴に近付く事にすら恐怖する。
――――おい、そこ。そうだ、画面の前のオマエ
今「いや、最初の二つはともかくあの色魔が女の子に近付く事を怖がるとか無いだろjk」とか考えたろ。
考えた奴、正直に手を挙げろ。よし、解った…オマエ等後で避難所裏に来い。粛清してついでにゴスロリの良さを骨の髄まで……
……失礼。ともかく、俺は見た目以上に怖がりだ。ノミの心臓だ。
昔は機関の追っ手や事も有ろうにゴスロリにすら怯えたし
殺した奴に苛まれる夢やら大切な存在をこの手で壊す夢やら相棒を失う夢やら力が暴走する夢やらアリスにフラれる夢やら、そうした物にも魘される時だって有る。
……ここだけの話一番最後の夢は一度しか見た事が無い、ってのは不幸中の幸いだな
ってか…ああ、またコレだ。真面目に自分自身の事を話そうとすると何時だってギャグな電波が降りてきやがる。
だいたい中人には笑いのセンスが欠片程もねえってのに、良くぞまあ自キャラに道化芝居なんぞ……
あ゙?「裁罪者は道化だし色魔だし元祖だから大丈夫 b」だと?ブチ■すぞ
…………しまった、メタな話題に持ち込んじまったら中人の思う壷だ
とにかく、俺は守りたい奴は何が有ろうと守る。
雨が降ろうが槍が降ろうが、例え本人が迷惑がって死にたいと宣おうが絶対だ。
俺のちっぽけな手の届く範囲の物は、もう誰一人取り零さない
だから守られたく無いとかはた迷惑だとか思ってる奴、せいぜい俺に好意を抱かせた事を後悔して覚悟を決めろ。俺は結構粘り強いぜ?
なっ…何いきなりこっち見てんだよ、こっち見んな!!
……………ふ、ふーんだ。ばーかばーか!!!
最終更新:2009年08月26日 09:41