/1 太陽の書
【ボロボロのローブに身を包んだ男が地下深くに隠された“穴蔵”で一冊の古びた書物を開く】
――第58ページ、アトンの予言第三項。
世界が再び暗黒と混沌に支配されん時、失われた太陽の戦士は再誕し…光を取り戻さん
【その本は古代遺跡の壁画たる象形文字を移したモノであり、男はこの文明の言語を翻訳しながら読み上げていたのであった。】
――続いて第89ページ、同第二十六。
太陽の戦士、幾多の武具を操る者なり。その刃は大気をも裂き、その槍は石壁をも貫き、その棍は大地をも砕き、その弓は雨の如く降り注いだという。
まさに武神と称うる存在である。
【そう言い終わると、彼は先程挽いたばかりのコーヒーを口にした。蝋燭の灯りの中、男は独りでひたすらに書物の研究をしている】
……?!
こ、これは…
【コーヒーに寛ぎながらページを捲っていた男は、たまたま目にした記述に驚嘆した】
――第167ページ、ネフティスの遺言第4項
審判の刻が迫りし時、太陽の戦士に大いなる試練が訪れん。
二つの可能性――白と黒、正と負、天と地、陽と陰、日と月、光と闇、生と死――相剋する力はやがては全ての世界をも覆い尽くすだろう。
【挿し絵として、前述の戦士に似た姿をしている白銀の戦士と黒金の戦士が向かい合っているように描かれていた。】
――第185ページ、同第11項
オシリスの力を受け継ぎし太陽の戦士、《最後の審判者》として目覚めん。
其の者、世界を破滅から救わんと地に蔓延る異能者を一人残らず滅する。そして、全ての生きとし生けるモノに審判を下し、裁かれしモノを死者の世界へと誘わん
【その隣のページにある挿し絵にある紫色のオーラに包まれた黒金の戦士のもとには死者の群れがなっていた。】
……急がなくては!
このままでは、取り返しのつかないことに――
【男は椅子から立ち上がり、興奮したかのように残っていたコーヒーを一気に飲み干す】
【空のコップを退けると彼は本棚にあったノートを何冊か取り出し、そのうちの一冊にペンで書き記し始めた】
(クーガー、お前が果たせなかった分も俺が必ず…!!)
【“穴蔵”の壁には一枚の写真が飾ってあった。そこに写るのはピラミッドを背に肩を組んでいる探検家たち。そこには日本人男性の姿もあった――】
最終更新:2009年09月01日 20:00