今日は12月24日。クリスマスイヴ。毎年恒例のパーティをするので私は今こっちの世界に来ています。
これに参加するのはここで働いている人達から20人くらいと、私やノエルのような働いている人に関係がある人。
それでもここの設備自体を止める訳にはいかないので今も働いている人はいます。メノウさんや栄華さんはそう。パーティ開始時には間に合うようにシフトを組んでいるので大丈夫とのことです。
自分達がいなくてもちゃんと機能するほど優秀な人たちがそろっているからとも言っていますし。
パーティの時間まではまだまだ時間があるので、私はノエル、萌華と一緒にいます。アキラとルミナはずいぶん前に買い物に行きました。
「めーか描けたのだ?」
「うん。」
とまあ、二人はお絵かき中。私は時折気にしながら机の上に置いてあった魔導書をなんとなく開いています。
ちなみにこれはクリスの所有物。内容は属性ごとに持つ特殊な効果に関するもの。紅い羽根でつくられた栞が挟んであるページには…多分ラテン語?で詠唱が書かれてる?
読めなくても仕方ないです。私が使う魔法ってイメージが大事なんですよ。詠唱はそのイメージを早く思い浮かべる為に唱えてるだけで、時間と魔力に余裕があれば詠唱無しで全部発動出来るのですから。
外国語なんてちょこっとだけ英語が分かる程度ですし。様々な世界に存在する魔法や魔術、
その他もろもろの中から私に親和性のあるものを見つけて、それを私が扱えるような形にアレンジしたのはクリスですし…ほんとクリス様々ですよ。
「あっ。マロンお姉ちゃんそろそろ時間だよ?」
「そうですね、ありがとう萌華。それじゃ私は厨房に行くのでおとなしくしとくんだよ、です。」
ここの食堂にある厨房。そこでパーティの料理を作っています。私も少しばかり手伝う事になっているのでその為に向かうのです。
そこには今、私にとってのもう一人の兄的な存在の人が私を待ってるのですから。
今日は12月24日。クリスマスイヴ。だが、今日の俺にとってはゆっくり楽しむ事は出来ない。なぜって、仕事だからだ。
今回はその道で有名人の裏での警護。要人の警護と言う方が早いか。表には出ず、ひっそりと陰から護り抜く事。
屈強なボディーガード達が傍に付いているから表は大丈夫だろう。俺の役目はそのボディーガード達の負担を減らす為にも必要だ。
特に能力持ちが相手方に居たりしたら厄介だぜ。もし居たら追加で報酬を貰おうかとも考えている。
調べたところ今回護衛する人物を襲う集団の中で、一つだけ気になる名前を発見した。ほとんどが対立している企業に雇われたゴロツキ集団なのだが、そこだけはバックに
カノッサ機関なるものが付いている事が分かった。
どこかで見たことがあると思い調べたら、別の世界において動いている組織だ。この世界には存在しえない組織でもある。
さらに調べた結果、今回警護する要人、そしてこの件の依頼者が働く会社。そのスポンサーとして付いている組織に別の世界から来た者がいるという噂を聞いた。
そいつが来てからその組織の活動の幅が広がったという話も聞く。まさに黒に限りなく近いグレーだ。
…ホント、何も起こって欲しくは無いがな。面倒なことには巻き込まれたくねーし。
ちなみに俺がベースとしている世界とクリスがいる向こうの世界は時間の流れを同期させているらしい。でだ、向こうの世界で今年のクリスマスパーティを開くと伝えられたのが一週間程前。
その時に「マロンへのプレゼントとか…どうする?」って聞かれただが、真論へプレゼントをあげるなんて全く考えて無かったからマジで適当に選んでしまったんだよなぁ。
それは、もうクリスに渡してるからちゃんと真論へと届くだろう。
俺自身が直接会うのはまだ早い。それに…以前のような、仲の良い兄妹としての関係に戻れるなんて、まったく、全然、これっぽっちも思わないようにはしてる…筈なんだがな……
今日は12月24日。クリスマスイヴ。僕は今、オーブンミトンを手にはめているところだ。
オーブンから時間が来たと知らせる為の音が鳴ったので開ける。ふんわりと焼けたスポンジケーキが視界に入る。
うん、完璧。甘い匂いを鼻腔に感じながらそれを取り出す。
台の上に乗せ、横を見る。ずらりと並んだスポンジが10個近く。全くデコレーションされてないんだけど、それでも壮観な眺めなんだろう。見る人が見れば。
デコレーションに使う為の材料はもう用意してある。後は実際にやるだけなんだけども、それはもう少し待ってから。
ふぅ…と声を出しながら一息を吐く。これだけの数を一度には焼けないからね、全部焼くだけでも疲れる作業だよ。
「出来たんですか、クリスさん?」
「ん、ご覧の通りだよ。」
この人はここの料理長をやってくれてる人。年齢は40近くで男性、既婚者。奥さんもこの厨房で働いているけど、今はパーティ会場の準備を仕切ってもらっている。
「毎年の事だけど、よく一人でやるよね。」
「あはは、慣れちゃったからね。それにクリスマスパーティの時にスポンジを焼く事を仕事として命令されてるからね、毎年。」
そう、これも仕事の内なんだ。メノウさんから与えられた。
謎すぎるよね。でも、こんなのにもちゃんとした理由があるんだ。それが個人的なものであれ、ね。
それに、別に嫌だというわけでもないからね。あと、スポンジを焼く事だけが命令。だから……
「クリスー、来たですー。」
「ん?えっと…生クリームとかはそっちの台に置いてるから先に始めててよマロン。」
「はいです。」
デコレーションについては何も言われてない。だから、今回のようにマロンに任せたり、アキラがやったりと自由なんだよねぇ。
しかし、マロンは来たけど他の二人はいつ来るんだか…あぁ、アキラとルミナの事じゃないよ?ここの職員で今日のパーティに参加するメンバーの中から二人に頼んだんだよね。
まだ20歳にもなっていないけれど調査員として働いている二人。今日は一日休みをあげてる筈なんだけど…どうしたのかな?
今日は12月24日。クリスマスイヴ。ある時の日本を基として創られたという近未来的なこの街はクリスマス一色で染められている。
別の世界、別の時代出身の僕だけど、こういう雰囲気は大好きだ。ホント、こっちの世界に慣れたと思う。
アキラと別行動をとっている僕は今、目の前にある赤ワインを買うかどうかを決めあぐねているところだ。
荷物、というかパーティで使う景品はすでに転移で送ってあるから手はあいている。だから持って帰るのが面倒というワケじゃ無い。
ふと、こっちの世界のワインを飲ませてあげたいと思ったからだ。リヴィアに。
だけど、僕はもうあの世界との関わりを断つと決めた。それが僕が望んだ事であり、リヴィアの望んだ事でもある。
それでもこんな事があるなんて、やっぱり未練は残っているんだなあって思う。
贈る方法は簡単。クリスにお願いするだけ。
彼なら普通に贈ってくれるだろう。なんにも言わずに。
そう、決めるのは僕なのだから。
…とりあえず帰ろう。パーティ会場の準備を手伝わなきゃね。
数時間後の僕の部屋には結局、綺麗に梱包された赤ワインが置かれているのだろうけど。
今日は12月24日。クリスマスイヴ。私にとってはいろいろと特別な日。いろんな出来事が起きた事がある日。
私はその事を絶対に忘れない。忘れたくない。そんな風に決意しても、記憶なんてすぐに消えていく。
いや違う、消去する訳じゃない。奥の方に追いやられ、押しやられ、簡単には思いだせない所に詰め込まれていくだけだ。
でもそれは、ふとしたきっかけで思いだす事がある。普段から定期的に再生していれば、すぐに思いだす事が出来る。
ようは良く使うかどうかの問題。ほら、良く使う道具は取り出しやすい所に置いておくでしょ?記憶もそれと一緒…なんだと私は思う。
……この世界に来てから初めてのクリスマスは、私とクリスとメノウさんと…数人だけでのパーティをしてくれた。
当時の私は…カラゲンキな振舞いをしていた。そんなに楽しく無くても、無理矢理にでも笑っていた。
そうしないと、いろいろと抱え込みすぎて心がパンクしそうだったから。
無理も無いよ。元の世界での私は、ずっと塞ぎ込んでいた心を一度緩められたから。大切なトモダチのおかげで。
私が見る世界が色付き始めていた。少しずつ、自分から周りを見るようになっていった。
でも、そのトモダチは私の前から消えた。私がカノジョの分まで強く生きようと思うのはそれまでに過ごした世界から逃げ出した後だったから。
だからこっちの世界に来てから数年間の私は上手く感情を出す事が出来なかったの。
そんな時に開かれたクリスマスパーティ。そこで出されたケーキを食べた時の私は、本当においしいモノを食べた時の顔をする事になった。勿論、心の底からそう思った時の、ね。
そのケーキを作ったのがクリスだったって訳。だからメノウさんは毎年のクリスマスのケーキはクリスに作らせるようにした。
せめて、クリスマスで、誕生日くらいは楽しませたいって、ね。そう考えてくれたんだと思う。メノウさんの雰囲気でバレバレだったけど、気付いてないフリをしてた。
まあ、私が気付いてたってのも、バレてたのだろうけれど。
それがいつの間にか習慣となって、儀式的に今も続いているだけ。
んー…と伸びをする。今、私が居るのはちょっとだけ小高い丘の上にある公園。私のお気に入りの場所の内の一つ。管理塔の向こう側、藍色の空には一番星が輝いてる。
ここからなら街のイルミネーションも良く見える。も少し時間が経てば、ここも人が増えてくるんだろう。とくにカップル。嫉ましいっ……なんちって。
昨日からちらりほらりと雪が降り続いている。今年はホワイトクリスマスだ。誰がサンタさんにお願いしたのかな?
七夕の時の短冊に匿名で「今年はホワイトクリスマスにして下さい」って書いたのは私なんだけどねっ。
さってと…そろそろ私も準備を手伝わないとねー。今年も楽しいパーティになりますよーうにっ。
――メリークリスマス
あとがき
上からマロン、シング、クリス、ルミナ、アキラの順。
クリスマスという時事ネタ。22日の夜に思いついた突貫作業。どうせなら当日に出したかったから。
全体的に楽しい物語かと思えば微妙にかなしい物語でしたの状態?ちょこっと感動物?あっるぇー?おっかしーなぁ。
Team.CRYSTAL編としてるけど別に他のを書くわけでもない。あとやっぱり文脈がおかしいように感じる。
どこかgdgd感が残るのは俺のSSの仕様。絶対。
最終更新:2010年07月04日 00:01