果てしない地平線
見覚えはあるが、それが何処なのか…
理解できぬまま目に映るその風景を
眺める事しかできずに立ちすくむ…
どれ程の時間が経ったのかは解らないが
自分の足元の大地だけが山になっているのに気が付く
(……ここは……何処だっけ……?)
『消えちゃえば良いのに。』
「…誰っ…!?」
『貴方なんか消えちゃえば良いのに』
いつの間にか目の前に現れた声の主は、幼い少女
(知ってる…この子を知ってる……)
『消えちゃえ…消えちゃえ…』
「…君は……?」
『忘れる程度の事なんだ。』
(言葉が理解出来ない……)
(この子は……誰…?)
『貴方が消した光だけでもこんなにあるのに』
「どういう事っ…!?」
ふと、自分の手が濡れている感覚に気がつく
眼を向ければ、掌が赤黒く染まっている
眩暈を起こしかけて踏み止まった足にグニャリと
背筋の凍る軟らかい感触が伝わる。
何なのかは解る、でも怖くて見られない
現実から目を背けては駄目だと解っているのに
視線を向けることが出来ない。
『貴方が消したのに踏み付けるのね』
『貴方が心を壊した分も積めば解る?』
「止めてくれ!!私だって好きでやってない!!」
『好きでやらなければ許されるの?』
少女が口を開く度に眩暈が酷くなる
ガクリと膝をついて頭を抱える
虚脱感に襲われながら見つめた大地が小さくすすり泣く
足の下に積まれ置かれたそれは、私が奪った命の器達
『白く見えるけど、良く見れば汚れてたのに』
『その汚れ、自分の血で付いたんじゃ無かったでしょ?』
『あの子に作り直してもらって清められたつもり?』
「言うな!!」
『嫌われて当然よ』
「黙れ!!」
耳を塞いでも聞こえる声
魂が少しづつえぐり取られる様な感覚
「お願いだから……」
何も考えられずに頬が濡れる
『なんで泣くの…?』
『寂しいの…?』
『悲しいの…?』
『痛いの…?』
「……解らない」
『貴方に壊された人はもっと痛かったわ』
『貴方が壊した人の友人はもっと寂しかったわ』
『貴方が壊した人の家族はもっと悲しかったわ』
「……許して…」
『なんで貴方は自分でやらないの?』
『いつも眷属に任せてばかり』
『眷属にやらせれば自分の手が汚れ無いと思うの?』
「……違う」
『寂しいくせに…』
『一人が怖いくせに…』
『嫌われたく無いくせに…』
『自分から壊す……』
『罪滅ぼしのつもり?』
『本当に償いたいなら消えてよ』
『懺悔すら出来ない堕ち人のくせに』
(何も言えない…何も答えられない……)
(それが真実なのか…それが現実なのか……)
『皆に返してよ』
『貴方の魂と心と身体で良いから』
足元の骸は腕を伸ばし、手足はもちろん
髪や翼にまで、一斉に掴み掛かる
「嫌だ…放して!!」
躯の力は一人一人が非常に非力ではある
しかし、もともと体力が在る訳ではなく
虚脱と解離に襲われた精神状態では
抵抗する事も出来ずに、無数の骸の腕での
拘束を簡単に許してしまう。
『返してよ…許されたいんでしょ?』
『身体を壊した人には身体を』
『心を壊した人には心を』
『魂を壊した人には魂を』
『当たり前の物を返して貰うだけよ』
「許してっ!!お願い…止めてっ!!!」
『貴方にそう言った人も居たはずよ』
少女の姿が腐り、皮膚がドロリと腐り滑り落ちる
皮膚につられ肉片までもが大地へと零れ落ち
その削がれた肉片の隙間からは黒く変色した骨が見える
微かに肉の残る小さな手で頬を包まれ
眼球を無くした窪みで見つめられる
『お前はそう言われて止めたのか?』
腐った少女の口から零れた言葉
聞こえて来たのは、自分が拠り所にしていた
彼 の声
「いっ…嫌あぁぁーーー!!!」
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「………っ!!?」
身体がビクリと反応して目が開く
「……………あっ…」
乱れた呼吸を正そうと、無意識に呼吸が大袈裟になる
喉に心臓があるかの様な鼓動が身体に響く
背中と額、そして毛布を握りしめた手に汗が滲むのを感じる
毛布越しなはずなのに、掌に爪が食い込み鈍痛が走る
(…また………あの夢………)
眼を閉じて気持ちを落ち着け様と必死になる自分
夢で自分を責めているつもりの自分
夢ですら許しを乞うてしまう自分
全ての自分が余りにも情けなくて
…余りにもみっともない
恐怖、罪の意識、自分への慰め?
どの感情かも解らずに、ただただ涙が溢れる
あの人の死から後、時に見る夢
最近は見なかったのに…また見るなんて……
こんな涙で贖罪に価するとは思っていない
何を捧げれば許されるのか
何を犠牲にすればそれに価するのか
背負って生きると決めたのに
許されたいと懇願する自分
全ての矛盾が自分を壊しかける
呼吸が落ち着きかけ、感覚が戻ってきて初めて気が付く
胸と右手に巻かれた包帯の感触
ご丁寧に、二の腕まで巻かれているのは
イフリートで爛れた箇所まで治療されたのだろう
意識が覚醒し、見つめていた天井が
自分の見知らぬ物だと、やっと気が付く…
《Fin》
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なんとも視点の定まらない文章だこと…
本当はとあるSSと対にする予定だったけど
対がお流れなんでこっちだけWikiのみ晒しでつ…
設定は60世界の後って感じで
最終更新:2010年01月21日 01:38