序章 女王と王女と六人の魔法使い
どこかとある国の、とある王宮。
王を早くに亡くし、必死に国を守ってきた女王と王女の食事の席で、王女が言った。
「ねえお母様。わたくし、魔法が使えるようになりたいわ」
この一言が、全ての始まり。
王女を目に入れても痛くないほど溺愛していた(何しろたった一人の世継ぎだ)女王は、そのために国じゅうから優秀な魔法使いを探し出した。
各属性の統括者に連絡を取り、王女と年の近い、最も力のある魔法使いを王宮仕えにするようにと。
また、天界との連絡手段を持つ者に頼み、白天使と黒天使も一人ずつ召喚した。
こうして集められた六人。
水の魔法使い、コウ・アランドール
火の魔法使い、カイ・キルトワーク
風の魔法使い、リエ・テーセウス
地の魔法使い、アサミ・タリス
白天使、ヒナ・ラウス
黒天使、ミホ・レヴィア
六人は王宮のお抱え魔法使いとして、王女の教育係兼魔法指導係としてそれはそれはよく働いた。
人当たりもよく、使用人たちからも好かれ、毎日楽しく過ごしていた。
ところがこの王女には、残念ながらあまり魔法を使う素質はなかった。属性は火だとわかったが、いくらやっても火の玉ひとつ掌から出すことはできなかった。
加えて飽きっぽく、季節がひとつも変わらないうちに魔法の勉強をやめてしまった。
慌てたのは魔法使いたちと、彼らを招集した女王だ。
彼らを元の生活に返すことも考えた。
しかし彼らの魔力は強大であり、また天使まで呼んでおきながらこのまま解散するのも勿体ない。
そして六人に下された決断。
「あなた方を、王宮付き魔法使いとしてではなく、国属魔法使いとして雇い直します」
そうして、それまでにいくつか請け負っていた王宮の仕事と共に国を守る所謂戦闘員として仕事をすることになった。
六人の若き天才魔法使い。
彼らは期待通りに功績をあげた。
この能力が、この先避けられない戦いを生むことになろうとは。
誰が想像できただろうか――
最終更新:2010年04月19日 18:36