合法性とは?

 ルールブックの装備リスト、入手難度の後についているRとかFの事です。
 無印ならばそれは合法的な品物であり、購入に際して特に問題は発生しないでしょう。
 Rと書いてある品物は「所持にはライセンスが必要」な品物です。当然、ライセンスがあるからといって空港の税関をSMG抱えて通れるというわけではありません。
 Fと書いてある品物は「所持は禁止。許可も(PCには)おりない」品物です。いかなる理由があろうと、通常の法が機能している区域でそれを持っているならば拘束、最悪射殺される根拠となってしまいます。

※実際のところ、装備の合法性は幾分曖昧な定義のようです。
 弾丸が共通で機構もある程度同じなのに、あるアサルトライフルはライセンスがあれば所持でき、別のアサルトライフルは一切禁止、というのは考えにくい事ですから。

 ここでは、この合法性をもう少し掘り下げて、地域や治安レベル別に解説する事にします。シナリオや状況によって扱いが異なる場合もあるでしょうから、参考程度に読むようにして下さい。

治安レベル

 地域ごとの治安レベルをモデル化し、S~Xの6段階で評価する事にします。

  • S:厳戒態勢
 国際空港や、VIPが入る劇場など、ごく限られたエリアでの治安状態です。内部にも多くの警備員がいるでしょうし、出入りに際しては厳しいチェックがなされます。警備員達は全て、アサルトライフルやヘルメットなどで充分に武装しているか、或いは場の雰囲気に応じて目立たない格好をしているとしても、前述の完全武装警備員が近くに控えている事でしょう。
 FやRは当然ながら、合法であっても刃物や、武器になる可能性をもつ品物の所持は認められません。防具も恐らく許可されないでしょう。
 サイバーウェアは医療的な意図やビジネス用に埋め込まれたものを除き規制の対象となり得ます。戦闘目的のものは当然ながら、スキルワイヤなども下手をすると難癖をつけられる可能性があります。
 アストラルからの警備も万全で、特に許可されたケースを除き魔法使いも拘束を受け、許可されても監視がつくでしょう。

  • A:高
 駅前やビジネス街、高級住宅地など、多くの人が集まるエリアです。いちいち検問などがあるケースは少ないでしょうが、多くの武装した警備員がおり、随所に監視の目が光っています。警備員の武装はSMGなどです。
 たとえライセンスを所持していても、火器や武器収束具、刀剣などは規制の対象となりますし、合法でもごつい防具を着ていれば目をつけられるでしょう。反面、「騒ぎにならない事」が目的でもあるので、しっかり隠してあれば拳銃やナイフの類は比較的簡単に持ち込めます。
 アストラル面での警備もあり、収束具などを活性化させていれば警告なしに攻撃を受けることでしょう。
 特に違法行為をしていなくとも、ライフスタイルが不法居住や路上生活の人間はつまみ出される危険があります。下流生活の人間ですら、目をつけられる可能性があるでしょう。
 ランナー達は移動や、オフでもないかぎりは、このような場所に近づく必要はないでしょう。

  • B:並
 住宅地や歓楽街など、人が多く集まるものの、規制はさほど厳しくないエリアです。検問などはなく、軽装備の警備員はいるものの監視の目は充分ではありません。警備員の武装はせいぜいヘビーピストルです。
 たとえライセンスを所持していても、自動火器や武器収束具、大型の刀剣などは規制の対象となります。反面、「騒ぎにならない事」が目的でもあり、同時に「とても全ては取り締まれない」状態なので、しっかり隠してあれば拳銃やナイフの類は簡単に所持できます。
 防具についてはヘルメットなどをつけていれば示威行為とみなされるかもしれませんが、アーマージャケット程度なら「ファッション」で見逃してもらえる可能性はあります。
 アストラル面での警備は皆無ではないものの、不十分であり、収束具を活性化したまま闊歩しても何事もない可能性もあります。しかしながら目をつけられれば治安A同様の処理を受ける可能性はありますので、隠しておくに越した事はないでしょう。
 不法居住・路上生活の人間や、強面のランナーからすれば窮屈な場所です。しかしながら依頼人の一部はこのような場所を商談の場に選びたがります。

  • C:低
 警備に費用を割けない、比較的貧しい区域です。一応、国に雇われた警備会社が警備に当たっていますが、対応は遅く、数も不十分です。ギャング等が警備を請け負っている場合も多いでしょう。警備員に支給されるのはせいぜい拳銃ですが、自衛のために自前でショットガンなどを用意しています。
 ライセンスを所持していれば自動火器の類でも持ち歩く事が出来ます。Fの品であっても、車の後部座席に無造作に放り込んでおくだけで持ち込めるかもしれません。しかしながら示威や行使を行なえば、おそらく警備員よりも先にギャングや自警団による制裁を受ける事になります。
 アストラル面での警備はありません。ギャング達が独自に魔法使い達を使って警備している可能性はありますが、それでも決して充分な態勢ではないでしょう。
 ランナー達がホームグラウンドにするのは、大体このような治安レベルの地域です(裕福なランナーならば装備の類をここに置いて、自宅はより安全な地域に置くかもしれません)。

  • D:劣悪
 全くの無法地帯です。チバにおいては、北房総東部中央部の一部がこのような有様です。
 一応日本国土の一部ですので、法自体は有効なのですが、取り締まる機構が全く麻痺しているため、軍や警察の特殊部隊などが動くほどの騒ぎを起こさず、事が済んだら素早く撤収という原則さえ守っていれば、ほぼ何をしても問題はありません。とはいえさすがに大量のドローンを駆使して空中戦などをやらかせば、彼らの対応は驚くほど迅速です。
 戦闘が得意なランナーには懐かしい場所かもしれませんが、それでも無闇に近づこうとはしない場所です。

  • X:私有地法区
 企業私有地など、独自の法規制がなされている区域です。
 基本的には治安レベルS~Aと考えて問題はありませんが、ここを警備する団体の目的は「企業の安全を守る」事ですので、その目的に則した重装備で固めている事が多く、ランナー達はそこに立っていただけで蜂の巣にされるかもしれません。

※注意して下さい。仮に依頼を受けた場所の治安レベルがCで、実際の現場がDであっても、移動中に通過するエリアの治安レベルがそれ以下とは限りません!
 嬉々としてフル武装でバンに乗り込んだら、途中の検問で全員逮捕などという情けない結末にならないように!
※もう一つ注意して下さい。何事にも例外はあります。何らかの事情である地域の警備状態が普段と異なるのは珍しい事ではありません。厳戒態勢のコンサート会場で、警備を担当するのがギャングまがいの武装集団、などという事も前例がないわけではありません。

日本における重武装犯罪の傾向について

 少なくとも当キャンペーンにおいての解釈ですが、日本の重武装犯罪はさほど深刻ではありません。ライセンスがあれば自動火器が所持できる法制度ですから、現代日本よりは過激になっているものの、ランナー達ですら主に使うのはショットガンやピストル、せいぜいSMGまでです。これを取り締まる側も過度の重武装で組織の財政を圧迫する必要を感じていません。
 とはいえ忘れないで下さい。ランナー達が高威力のライフル弾を用いる自動火器や、キャノン砲などで毎度毎度警備員達を吹き飛ばしていれば、取り締まる側もまたそれに対応して重装備の予算を認可する事でしょう。
 ランナー数人のために大きな組織が対応を変えるのはおかしい? あるランナーチームがアサルトライフルを簡単に手に入れて振り回しているなら、別のランナーチームも同じようにしていると考えるのがむしろ自然ですよね?

罪を犯したらどうなるのか/どうすればいいのか?

 相手が公共を守る警察(あるいは警察企業)ならば、逃げてください。
 逃げ切る事が出来たなら、SINのないランナーは元々「いない人間」ですので、よほど間抜けな振る舞いをしなければ執拗に追われる事はないでしょう(当然ながら罪状に依りますが、違法な品物の所持程度なら確実に「なかったこと」になるでしょう)。
 それが不可能なら、速やかに武装解除して反抗の意志がない事を示しましょう。状況によっては罰金、あるいは賄賂でその場を切り抜けられるかもしれません。
 警官隊が引き金を引く前にあなたが投降したなら、絶対にその場で殺される事はありません。逮捕され、裁判を受ける事になります。SINがなくとも、捕まえたのがまっとうな警察だったなら私刑に処される事もありません。違法な品物の所持程度なら、せいぜい執行猶予付きの懲役でしょうから、一旦捕まってから保釈金でもなんでも積んでトンズラして下さい。

 警官殺しは手っ取り早いようでいて、後々まで面倒を残す「まずい」やり方です。彼らは治安を守る事に命を賭け、秩序の担い手である事を誇りとしており、警察に手を出す事をその権威に対する冒涜と取ります。ギャングならいくら殺しても、その勢力圏から出てしまえば特に危険はありません(あまりにもひどい形で面子を潰したら刺客が来るかもしれませんが)。しかしながら、警官殺しに対しては、世界中の警官が敏感に反応します。国家規模で対立しているような場合を除けば、例えどこの国の警官であっても、顔も見た事がない同僚の死に怒り、警官殺しの最低野郎を追い詰めようとするでしょう。
 とはいえ、現場に出ている警官にとっては不幸な事に、建前というものが通用してしまいます。「警官殺しをした犯人は捕らえられて法の裁きを受け、権威は保たれた」と面目を保てるなら、身代わりや冤罪がまかり通っているのです。

 さて、ランナーにとってはあまり現実的な解決策とは言えませんが、もう一つ聖域があります。それは企業私有地です。
 企業私有地は公共とは別の法が施行されており、企業側が「必要なし」と判断したなら拘束も処罰も受けません。企業工作員達が犯罪行為(場合によっては警官殺し)に手を染めてものうのうと生延びていられるのはこのためです。
 企業私有地内にも警察はいますが、彼らは企業警察、あるいは企業と専属の契約を結んだ警察企業であり、以上の背景から公共を守る警察とあまり友好な関係にありません。ランナー達も企業警察ならいくら殺した所で、それが罪に問われるのは企業私有地の中だけです(企業側は公共の警察にも手配書を回すかもしれませんが、真面目な捜査が行なわれる事は稀有です。もっとも、だからといって罪は罪ですので、あまり警察をナメない事です。かれらは面子にこだわるのです)。

 2070年の治安を担う組織は民営化・企業化を経て、複雑化しています。別企業ならいわずもがな、同じ企業であっても部署や担当地区ごとに微妙な対立・協力関係にあるのです。対応の遅れや揃わない足並みにつけ込む機会はいくらでもあるでしょう。
 だからといってヘマをしても平気という訳ではありませんが、必要以上に恐縮しては商売になりませんよね。

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最終更新:2007年08月23日 15:49