シャドウランのチーム
シャドウランのチームは、特殊部隊ではありません。
人数も装備も資金も充分とは言えない状況で、一人が複数の役割をこなしながらランをこなす事になるでしょう。ある意味でシャドウランナーは、特殊部隊以上の熟練を求められるといえます。
しかしその反面で、シャドウランナーは特殊部隊員ではありません。彼らは程度の差こそあれ基本的には社会のはみ出し者であり、
SINに管理された社会への所属を拒んだ人達です。
なのでシャドウランナーのチームは、熟練はしていても、洗練はされていない独特のグループとなる事でしょう。
ここではシャドウランのチームについて、その役割や編成の方向から考察してみたいと思います。
※これはルールではありません。しかしGM側は大体、ここに出てくるようなチームを想定していると思われますので、参考程度に目を通すといいでしょう。
シャドウランチームの人数
実際はともかく、ゲームに参加するプレイヤーの人数から鑑みるに、大体のチームが3-5人ほどで編成される事でしょう。場合によっては2人、あるいは6人の場合もあるでしょうが、ここではひとまず考えない事にします。
そのような人数のチームは独自のバランスで運用され、シナリオの構造からGMが調整する必要があるでしょう。
理想のチーム編成
実際にどうしてそれが理想なのかの根拠は後述するとして、先にランナーチームの理想的な「内訳」を説明してしまいます。
当然ながらシナリオの傾向やGMによって最高の「理想」は違いますので、これは「大体どんな依頼にも対応できるチーム編成の理想」と考えて下さい。
戦闘での役割分担
シャドウランは戦争をするゲームではありません。しかしながらシャドウランナーが引き受ける仕事の大半は、暴力依存度の高いものが多いというのも事実です。
まず、チームの半分(最低二人)はいわゆる「前衛」、銃撃される事を大前提にしましょう。
サムライや
アデプトがこの役割を担う事になるでしょう。
残りの1-3人も全く後方支援に徹するのではなく、先の二人をフォローさせられる状況も考えておく事をお勧めします。挟撃や制圧、警備などで、
ツーマンセルを組む状況は大いにありえるからです。
魔法使いの役割は魔法的な支援です。敵の位置を探り、ダメージを回復させ、光や影で「前衛」が有利に戦闘できるようにサポートします。
ハッカーの役割は
魔法使いより更に後方です。情報を割り出し、周辺のシステムを掌握したりして、戦闘のサポートを行ないます。これは事前に役割を終えている事が多いでしょうから、自らも「前衛」に回ったり、可能なら
支援火器などで支援するといいでしょう。後述の
リガーを兼ねるのもいいかもしれません。
リガーの役割はドローンによる兵隊の水増しと、退路の確保でしょうか。軍隊と違って「人的資源を消耗させない為にドローンを使う」というのは考えられません(ストリートでは人命の方が安価です)から、専ら車載の
支援火器で戦列を支えたり、適切な位置に待機して味方を撤退させたり、といった役割が考えられるでしょう。ドローンも戦闘を前提とせずに情報収集だけに用いるなら、トラブルがあった時の出費は悲惨な事になりますが極めて有効です。
それ以外の役割というと、狙撃手や格闘専門の戦士、悲鳴を上げるしか役に立たない
トリデオスターなどになるのでしょうか。限定的に役立つ局面もあるかもしれませんが、いずれの場合も上記のいずれかの役割が副次的に兼任するに留めて下さい(あくまで主に対する従に留め、主従が逆転するべきでもありません)。
戦闘以外での役割分担
前述の通り、シャドウランは戦争をするゲームではありません。暴力依存度が高いといってもランナー達は始終銃を振り回しているわけにも行きませんので、戦闘しか出来ないランナーは「お荷物」扱いされても仕方ないかもしれません。
まず全てのキャラクターは、ある程度銃を使って自衛出来るようにするべきです。銃は簡単で強力であり、戦闘以外でも「見せる事で効果のある」武器です。よく漫画などで、ナイフの達人に「銃よりも速い」と言われて鼻で笑った人間が、無様に殺されるシーンが出てきます。実際ナイフと銃のどちらが強いかの議論はさておき、シャドウラン世界でも「ナイフの真価は認知されておらず、証明したかったら使ってみるしかない」部分があるのは事実です。それ以外の武器もおそらく、「使ってみせないと分かって貰えない」ものが多いでしょう。
しかしながら銃が危険で強力な事は子供でも知っていますので、百の交渉テクニックを駆使するよりも銃を抜いて見せた方が有効である場合は多いのです。(もちろんストリートの人間が銃しか恐れないという意味ではありません。単に威圧のコスト対効果がもっとも高いのが銃というだけです)
職業技術の専門家が一人で活躍するシーンにおいては、一言で言うなら「その分野を分担する人間はいてもいなくても構いません」。
魔法使いや
ハッカーがチーム内にいれば便利な事に代わりはありませんが、
フィクサーなどから信頼できる人間を紹介してもらって依頼すれば済む話だからです。
さて、現場に出て行なう、いわゆる「専門技術はいらないが頭数がないと話にならない分野」においてです。これは調査にせよ、折衝にせよ、基本は「対人」になります。
基本的にこのような作業は分担する事になるでしょうから、一人を安全な場所に待機させて連絡役にするといいでしょう。連絡役は定時連絡を受けてメンバーの所在や状況を把握し、刻一刻と入ってくる情報を整理して必要各所に伝達します。実際のセッションではプレイヤーが請け負う部分がない役割である為、ここでは可能ならば信頼できるオペレータNPCに任せてしまうか、あるいは単に戦闘以外苦手なプレイヤーに担当させてしまってもいいかもしれません(戦闘以外できないキャラクターに任せるのは考え物です。当キャンペーンのキャラメイク方針では、そんなキャラクターは存在しないはずですから)。
残りは
ツーマンセルにして、各所に派遣しましょう。プレイヤー人数的に一人余ってしまう場合があるかもしれませんが、そのような場合には遺書でも書いてから一人で頑張って下さい。あるいはオペレータ人員を削ってもいいでしょう。
ツーマンセルにする理由は三つあります。
一つは単純に、一人に何かあってももう一人が仲間に連絡をつけられるからです。
もう一つは、誰かと会う際には、一人よりも二人の方が相手に取り入る為のテクニックを使いやすいからです。あるいは単純に、性格的な相性が一致する可能性が一人より高いという事もあるでしょう。
最後の一つは、別行動中に戦闘などに巻き込まれた時、一人より二人の方が単純に生還率が高いからです。
この
ツーマンセルは、特に結果が見えているのでない限りは、似通ったタイプのキャラクター同士で組むのではなく、
サムライと
フェイスのように異なるタイプで組むといいでしょう。
いかなる分野においても、「手強い障害」というものはあります。
自然だったり、機械の故障だったり、ギャングボスを取り囲む屈強な護衛だったり、有利な材料の少ない交渉だったり、その種類は様々でしょう。
中途半端な技術で突破できないなら、専門家に任せるべきです。中でも交渉に関わる分野においては、せっかくテーブルトークRPGを楽しむのですから、NPCではなくチーム内に
フェイスを置いて、彼(彼女)に任せるといいかもしれません。専業の交渉人を擁する余裕のあるチームは滅多にないでしょうが、ある程度万能性を持った
フェイスならば普段はチームのサポートをしつつ、いざ交渉の場面になればその専門の分野を生かして活躍する事が出来るはずです。
チーム編成の現実
こんなうまくいくわけねぇよ('A`)ノ
だってそうだろ? せっかく魔力を6にして収束具でガッチリ武装し、呪文もたくさん覚えられるっていうのに、どうして中途半端に隠密だの小火器だのを取らなきゃいけないんだ? せっかくアデプト能力を駆使して最強のパンチを最強のダメージで叩きだせるっていうのに、対人だの知覚だのを取らなきゃいけないんだ? みんな同じじゃつまんないから、俺は敢えて当然取るべき技能を取らないでおくぜ。
…とまぁここまで強気ではないでしょうが、程度の差こそあれ、「ここは好きにさせて欲しい」という領分はあるでしょう。ですから、キャラクターの性能はチームの必要に対して妥協する事になるはずです。それに「あまりにチームに尽くすよう特化したキャラクター」というのもシャドウランナーとしては不気味ですよね。
とはいえ当然ながら、個人個人が好き勝手にキャラを作っていたらチームは機能しませんし、みんなが大好きなカルマも貰えません。
そんなわけですので、妥協できるラインで妥協しましょう。そしてその揃ったいかにもシャドウランナーらしい歪な面子でどうチームを動かしていくか、みんなで考えて見て下さい。
間違っていない事で妥協なんてしたくない? それは多分、周りのメンバーが理解のない頑迷な人達なのが原因ですね、どうぞご自分でプレイグループを新しく作って、そちらでプレイして下さい。きっと楽しいですよ。
最終更新:2007年08月28日 06:11