カーリー

その名に『黒色』『時間』の意味を持つ暗黒の女神。
シヴァの妻であり、
大母神でもある。
夫と同様に彼女も慈悲深い面と凶暴な面を持つ多重人格な神である。
性格により姿が変わり、パールバティー、ドゥルガー、サティなどの名をもつ。
その中でも特に凶暴で破壊的な人格がカーリーである。
また、女神パールバティーの黒い肌から誕生したとの説や、シヴァのもうひとりの
妻である、女神ドゥルガーが魔人達の跋扈に怒り狂ったときに、その顔から誕生した
ともいわれている。
顔は血でただれ、血走った3つの目に、鋭い牙、その口からだらりと垂れた舌。
腕は4本で一本は武器を、そしてもう一本には血が滴る巨人の生首を持ち、
残りの二本は天に祈りを捧げている。
黒い肌には虎の皮を身に付けて、頭蓋骨のネックレス、切断された腕をぶら下げた
帯をアクセサリーとして腰に付けている。

破壊神でも手を焼く女神

カーリーがラクタヴィジャという魔物と戦ったエピソードにこんな話がある。
ラクタヴィジャは傷つけるとその血から魔物を生み出してしまうため、神々は
ほとほと手を焼いていた。
そこにカーリーが戦いを挑むのだが、彼女はラクタヴィジャの血が流れ落ちるそばから
それを飲み干して、魔物の増殖を止め、最後に残ったラクタヴィジャの体を丸呑み
にしてあっけなく勝利する。
その後の勝利を祝っておどった彼女は忘我の境地に達し、どんどんと激しく踊り狂う。
それを誰も止めることができなかった。
彼女の夫でさえも止める事は出来ず、みずからの体を彼女の足もとに投げ出して、
その体の上で踊らせて、ようやく彼女の狂乱の舞踏は終わりを迎えた。

ヒンドゥー教の神々の二面性

彼女の夫であるシヴァは創造の神であり、破壊の神である。
ヒンドゥー教の神々は、みな、善と悪、生と死、創造と破壊を併せ持った存在であり、
カーリーもまた、創世の慈母パールバティーの悪の一面として、その二面性の一部
なのである。


参考文献

PHP社 「天使」と「悪魔」がよくわかる本 吉永進一

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最終更新:2011年11月28日 21:14