カイン(Cain)


 カインとは、旧約聖書に出て来る人物である。

 創世記4章第1節で、彼の誕生と、「私は得た」という台詞が出るが、「得た」、がヘブライ語で「カーナー」なので、なんぞの関係が指摘されている。

 カインは「鍛冶屋」あるいは「槍」の意である。でも彼は農民で、ちょっと後の子孫トバルカインが鍛冶屋の祖先とされる。

 兄弟たるアベルをぶん殴って、エホバに怒られて、印をつけられた。キリスト教圏では伝統的にこの印は「赤毛」とされる。関根正雄訳の『創世記』(岩波文庫だ)によれば、これは「十」の形をしたものと考えられる。

 謎の嫁を娶って子を産む。その子エノクが街を作り、彼の子供の名によって「エノク」と命名したというのは、関根正雄によれば「多分二代同じ名前」。
 エノクjrの子供がイラデで、メフヤエル、メトシャエル、レメクとなる。レメクは第1婦人アダとの間にヤバル(アラビア語アッバールン「ラクダを追うもの」と関連するって文庫版『創世記』192頁に)が産れる。彼は幕屋と群との間の者の祖となる。ヤバルの弟ユバル(「角笛を吹く」の意のアラビア語「ワバル」と関連する名前だと文庫版『創世記』192頁に)は琴と笛の奏者の祖先になる
 レメクの第2配偶者ツィラとの間の方が、アッカド語アバール(「作る」)と関連する語トバルを付けて「銅と鉄の鍛冶屋の祖」とするトバルカイン、妹のナアマ(「美しい者」の意)。


参考文献

 岩波聖書翻訳委員会訳『旧約聖書』
 アト・ド=ヴリース『イメージ シンボル事典』
 松村武雄『ヘブライ・パレスチン神話と伝説』12頁

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月08日 16:03