歯痛殿下(Haita-Denka)
昭和期の怪奇系児童書で紹介された創作妖怪。
ベルギーでは突然歯が痛くなるのは歯痛殿下という目に見えない妖怪もしくは妖精の仕業とされてきた。歯痛殿下が夜中に寝ている人に忍び寄り、小さな電気のような指先で歯に触って悪戯をすると跳ね起きるほどの激痛が全身に走るといい、歯からカルシウムを吸い取ってしまうともいう。歯痛殿下は目に見えず捕まえるのは不可能であるため歯痛殿下に出会ってしまったらその翌日から寝る前に歯を磨くようにするしか対処法は無い。歯痛というものは人類にとって耐え難いものなので古代では抜歯が刑罰や拷問として行われていたほどであり、虫歯の治療法や痛み止めも無かった時代の人々が恐れていた突然の歯痛はまさに妖怪の仕業と言えるほどの凄まじいものであった。目に見えないから記録に残っていないだけで実はベルギーのみならず世界各地に現れているとする説まである。
英語ではハイナソヴトゥーセイク(Highness of Toothache)、ベルギーの公用語であるオランダ語ならホーヘイトファンキスペイン(Hoogheid van Kiespijn)、フランス語ならアルテスデュマルドゥダン(Altesse du Mal de Dent)、ドイツ語ならホーハイトデアツァーンシュメルツェン(Hoheit der Zahnschmerzen)と呼ぶ。
参考文献
水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪ファイル 世界編』62頁
一柳廣孝『知っておきたい世界の幽霊・妖怪・
都市伝説』197頁
ながたみかこ/なかさこかずひこ!『世界の
モンスター&怪人・怪事件事典』25頁
水木しげる『世界の妖怪大図鑑』62頁
水木しげる『世界の妖怪大百科』
水木しげる『東西妖怪図絵』138頁
荒俣宏『水木しげる 日本の妖怪・世界の妖怪』86頁
水木しげる『水木しげるの世界妖怪事典』62頁
最終更新:2023年03月12日 16:31