イクルン(Ikulun)
台湾の先住民ブヌン族の伝説に登場する有尾人。中国語表記は伊庫倫。
イクルンたちは人間の姿だが色が白く、尾があった。ご飯を食べず、ご飯の湯気ばかりを食べる。なので大便をせず、肛門は針で刺した穴のようである。
昔、シナバルと呼ばれる場所にイクルンたちの住処への入り口の穴があった。ブヌン族たちが過去にここを訪れたことは3回あった。ブヌン族がイクルンたちの住処を初めて訪れた時のこと。イクルンたちは遠いところにいたから一籠の松明を用意しなければならなかった。だが良いところで、ご飯をご馳走してくれるし、肉もご馳走してくれた。そして帰ろうとした際、イクルンたちは「今度ここに来る時には、合図をして下さい、私たちは尻尾を臼に隠さなければならない」と言った。2回目に訪れた時のこと。合図をしなかったら、イクルンたちは慌てて一目散に臼のところに行き、尾を隠した。それで尾が折れてしまったという。3回目に訪れた時のこと。合図はしたが、イクルンの子にイタズラで肉を食わせた。するとイクルンの子は腹痛を引き起こし、命を落としてしまった。前記の通りイクルンはご飯を食べず、ご飯の湯気ばかりを食べる種族である。怒ったイクルンは「人間はここに来てはいけない」と言い、入り口の穴が塞がれて入ることができなくなった。それ以降、ブヌン族はイクルンたちのところへ遊びに行かなくなった。
参考文献
台北帝国大学言語学研究室『原語による台湾高砂族伝説集』596, 667頁
最終更新:2023年06月24日 13:26