大蚯蚓(Ōmimizu)
国内の伝説に登場する巨大な蚯蚓。
1996〜97年頃、秋田県大館市の早口川で太いホースのような全長1.5m以上の大蚯蚓が目撃された。
江戸時代にも大蚯蚓の目撃談はある。1702年8月、今でいう兵庫県丹波市青垣町の辺りで川が氾濫して村が泥水に浸食されたときに川から胴回り70〜80cm程の黒い大蚯蚓が流れてきたり全長6〜7m程の青光りする大蚯蚓が現れたりした。
岩手県上閉伊郡に伝わる昔話には途方もなく長い蚯蚓が登場する。とある童(わらし)がいつものように爐の灰を掘っているとその灰の中から蚯蚓がペロッと出てきたので親父の小刀(毛毟りコ)でちょきッと切ったが、どうやらこの蚯蚓は途方もない長さのようで何度ちょきッと切り続けても無限にペロッと出てき続けたという。
朝里樹『山の怪異大事典』によれば、インターネット上で語られた話で熊本県阿蘇市と大分県九重町に跨がる場所に位置する山には幼体でもアオダイショウほどの大きさがあり成体になると少年を丸呑みにできるほどの大きさになる大蚯蚓が棲んでいるという情報がある。この大蚯蚓は雨が降ると山道近くにも現れるようになるため山道を外れて藪に入ってはならないと伝えられている。人目に付かない場所に棲んでいる新種のミミズ、ミミズではなく脚の無い新種のサンショウウオ、あるいは
ツチノコかもしれないという推測も語られた。大型の蚯蚓と言えば現地には青色の
山蚯蚓(シーボルトミミズ)も棲んでいるがこの大蚯蚓は
山蚯蚓などではないらしい。ちなみに山口県岩国市小瀬の持ヶ峠地区では女性が
山蚯蚓に鍬を打ち込んでしまうと子供に禿げができるとされた。
北海道の先住民
アイヌの神謡にも大蚯蚓が登場する話がある。この大蚯蚓は沼に棲み、住処にやってきた人間を何人も殺害していた怪物である。
参考文献
朝里樹『続・日本現代怪異事典』68頁
朝里樹/御田鍬/木下昌美『日本怪異妖怪事典 近畿』206頁
朝里樹/寺西政洋『日本怪異妖怪事典 中国』349頁
朝里樹/寺西政洋/佐々木剛一/佐藤卓/戦狐『日本怪異妖怪事典 東北』261頁
朝里樹『日本怪異妖怪事典
北海道』214頁
柳田國男/佐々木喜善『日本昔話記録2 岩手県 上閉伊郡昔話集』180頁
朝里樹『山の怪異大事典』356頁
最終更新:2023年08月17日 15:41