針雑魚(Harizakko)


トゲウオ科の魚類トミヨの地方名。針雑魚と書いてハリザッコと読む。

山形県最上郡最上町に伝わる伝承によれば、禿岳南麓に棲んでいた大鬼(おおおに)が寿命で臨終を迎える際に「死ぬだぐねェちゃ、死ぬだぐねェちゃ」と栃の実ほどもある大粒の涙を流し、川に落ちたその涙がこのとげとげの小魚となって泳ぎ出したのだという。

この大鬼は生前、里の人々を困らせていた。そこで大明神山の神は大鬼に勝負を仕掛けた。米か糠を使って一夜で山を造り、高い山を造った方が勝ちという勝負である。糠を選んだ大鬼は鼻息で糠を吹き飛ばしてしまったため勝ったのは米を選んだ神の方であった。悔しがって山を蹴飛ばし逃げた大鬼は二度と人前に現れなかったという。

参考文献

 朝里樹/寺西政洋/佐々木剛一/佐藤卓/戦狐『日本怪異妖怪事典 東北』335頁

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最終更新:2022年10月30日 18:07