カタパグピンザ(Katapagu Pinza)


片足ピンザ。
沖縄の宮古島に位置する平良第一小学校近くの通りにあるガングルユマタ(ガングリユマタ)という十字路に現れる山羊の妖怪。
宮古島の方言で「カタパグ」は片足「ピンザ」は山羊を意味する。その名の通り、カタパグピンザは後ろ足の片方が無い3本足、または1本足の山羊である。
3本足バージョンのカタパグピンザは夜になると前足を打ち付けて、後ろ足を引き摺りながらやってきて叫び声を上げながら飛びかかってくる。そしてカタパグピンザに頭上を飛び越された者は魂を引き抜かれるのだ。飛び越される瞬間に足を掴めば難を逃れられるともいわれる。缶を蹴る音をさせるともいい、真っ暗闇のガングルユマタで缶を蹴る音が聞こえたら「カタパグピンザだ!」と逃げだしたという。あるタクシー運転手の話では、客から「ガングルユマタを避けて通ってくれ」と言われたことが何度もあったという。食用のヤギが片足を切られた際に3本足で逃げだし、化け物になって人間を襲うようになった。または小さい頃から飛び跳ねていたヤギが足を折って以来、なぜか人間の頭上を飛び越えるようになったのがカタパグピンザだという。
カタパグピンザの出現場所であるガングルユマタの「ユマタ」は四つ辻のことだが「ガングル」「ガングリ」の由来については複数の説があり、カタパグピンザが「ガングリ、ガングリ」と音を立てて追いかけてくる、後ろ足を引き摺る際の擬音である、カタパグピンザが缶を蹴る音である、音ではなくカタパグピンザが歩く様子をガングリ・ガングリと表現した、前足をガンと打ち付けて後ろ足をグリ〜と引き摺る、龕(ガン)という棺を運ぶ道具が関係しているなどの説がある。

参考文献

 朝里樹/闇の中のジェイ『日本怪異妖怪事典 九州・沖縄』312頁
 朝里樹『日本現代怪異事典』97頁
 黒史郎『ムー民俗奇譚 妖怪補遺々々』153頁

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最終更新:2023年11月16日 18:19